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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

短編 9 俺だけが襲われるゾンビ世界

作者: スモークされたサーモン


 タイトル通りの話を書いてみたくなったのです。自分、天の邪鬼ですから。





 世界の人口の大半がゾンビになった。


 原因は分からねぇ。でもゾンビになったんだ。


 人間ってのは傲慢な生き物だ。たとえゾンビになってもそれは変わらねぇ。


 ゾンビに死を。


 ゾンビはみんなぶっ殺せ。


 そんな風に言ってた奴等もみんなゾンビになっちまった。早かったぜ。一週間経ってねぇよ。


 ゾンビになった奴等はすぐに手のひらを翻した。


 ゾンビに権利を。


 ゾンビは人間だ。


 とな。


 弾圧する側から弾圧される側になった途端、奴等は人ではない別のナニカに成り下がった。


 まぁゾンビだな。ゾンビだし。


 つまるところ、腐った奴等だよ。性根も体もな。


 まぁ……自分の両親もゾンビになっちまったし姉もゾンビになっちまった。妹だってゾンビだし後輩もゾンビばっかりだ。


 この世界はゾンビだらけになっちまったんだよ。


 そしてそんなゾンビどもは以前と変わらない社会を継続させていた。


 まるで自分達は人間であると言わんばかりにな。


 奴等はゾンビの癖に喋れるし飯も食える。でもゾンビだ。見た目が人間っぽいゾンビも少なからず存在する。でもゾンビだから生きてない。心臓は止まり体は冷たいままなんだ。


 動く死体。


 それがゾンビってもんだろ。あんまり臭くはねぇがな。


 そんな世界での俺の生活は……中々にディストピア感が満載だ。


 まずは朝だ。狂ってるとは思うがゾンビだらけの今も学校は普通にありやがる。社会活動を止めるわけには云々とゾンビ総理が言ってやがった。腐ってる頭だから納得ではあるがな。


 ま、ゾンビになる前とあんまり変わらねぇから元々腐ってたんだろう。


 俺の朝は姉に襲われる所から始まる。起こされる、ではなく襲われるだ。襲われて起きるから起こされてる気もするが多分違う。


 ゾンビ姉は勿論俺を食うつもりで襲ってくる。なので金属バットでご挨拶して俺の朝が始まる。ベットにはバットが常備だ。ベットバットヘッドヒット姉怒る俺も怒る、という流れになる。なんかラップみたいだが笑えねぇ。


 姉ゾンビの第一波を越えたら妹ゾンビの出番だ。妹は流石にバットで殴れない。兄としてガジガジされるのを我慢する。噛み千切りは無しという条件だが普通に血は出る。俺はいつも傷だらけだ。だが妹の為に付いた傷なら兄として勲章……いや、普通に痛い。もう少し兄を労って欲しい。


 妹も姉も一見するとゾンビに見えないゾンビだ。レアケースと言えるだろう。ゾンビによっては普通にゾンビだ。まぁゾンビだからな。肉が腐り落ちて骨が見えてる奴も多い。というか大半のゾンビがこれだ。


 父と母がこのタイプ。正直勘弁して欲しい。顔とか筋肉丸出しで怖すぎる。これでも普通に会話できるからゾンビは恐ろしい。


 当然だが両親も俺を襲ってくる。ゾンビだからゾンビ風に動いて襲ってくる。わりとスローだ。反抗期真っ盛りな俺としては願ってもない状況だがいつもゾンビ姉が間に立って仲裁してくる。そしてゾンビ姉が笑顔で俺に差し出すのだ。


 ひとつのビーカーを。


 あれだ。理科の実験で使うようなビーカーだ。目盛りの入ってる透明なガラスのビーカーだ。なんでうちにそんなもんがあるのか分かんねぇが毎朝これを差し出される。


 これに俺の血を入れろ、という事だ。狂ってやがる。だがこれを与えないとゾンビ両親が暴れだす。スローにな。反抗期でも思春期でもねぇのにどういうこった。


 妹は妹で朝は大体俺にしがみついたまま肉をかじり続けてる。たまに『あにーうまー』と呟く。

 

 カオスだぜ。


 ディストピアだろ。


 ビーカーに入れた血は精製水で希釈して飲むんだそうだ。俺はいつもその場面から逃げている。

 

 ゾンビになっても食事は普通に出来る。糞も出る。人を食う必要はねぇ。


 だが俺はいつも狙われている。


 この世界の全てのゾンビから食料としてな。


 狂ってやがるぜ。ゾンビ世界。



 ◇



 どう考えても狂ってるこの世界だが俺もその狂った世界の歯車のひとつでしかねぇ。


 嫌々だが学校に行かなきゃならねぇんだ。流石に不登校で退学は勘弁してもらいたい。ゾンビじゃねぇ奴には風当たりが強い世の中になっちまったからな。せめて高卒の資格だけはキープしとかねぇと。


 この狂った世界で学歴が役に立つとも思えねぇが、それが社会ってもんだ。馬鹿みてぇだがな。


 ゾンビだらけの世界で生きるってのは人間にはキツすぎる。


 俺は人間だ。数少ないゾンビになってねぇ人間だ。勿論俺の他にもゾンビになってねぇ人間はいる。少しだけらしいが。


 ゾンビになってない奴はほとんどがシェルターに避難して閉じ籠ったままだ。俺は一般人だからシェルターなんぞに馴染みがねぇ。だからこうしてゾンビに囲まれて生きる羽目になっちまった。


 ま、シェルターに馴染みのある上級国民様はみんなゾンビになっちまったがな。上級ゾンビも普通にゾンビだ。腐った死体が偉そうにしても滑稽でしかねぇ。さっさと土に還れってんだ。


 奴等はゾンビ化現象が始まる前からシェルターに籠ってたらしい。だのに全員ゾンビになっちまったそうだ。奴等は絶対に分かっていやがった。世界がゾンビで満ちる事をな。


 今更騒いでも仕方ねぇって事で開き直りやがったし。本当に腐った奴等だ。まぁゾンビだからな。


 ま、ゾンビになってもしっかりしてる人は、それなりにいる。電車は普通に動いてるし、電気も水道も動いてる。ゾンビになっても社会のインフラは維持されている。外国だと暴動で国が滅んだ所もある。隣の大国とか北の大国とかな。


 ゾンビになると知能が低下する……場合もあるらしい。大体は生前と変わらねぇ。だからゾンビになって変わっちまった奴は元々がそんな奴だったって事になる。


 例えばこいつ。


「先輩。今日こそ私のものになってもらいますからね」


 俺の後輩だ。毎日電車で一緒になるので学校まで馬鹿話をしながら登校するのが以前のルーティーンだった。


 そんな後輩もゾンビになっちまった。制服姿だが右足全体に包帯を巻いている。乙女心で醜い場所は好きな人に見せたくないそうだ。少しキュンとしちまうが、よだれを垂らしてるのは乙女的に大丈夫らしい。


 こいつは足がゾンビだから動き自体は遅い。それ以外は普通の女の子に見える。足を怪我してる女の子だな。


 電車には『女性専用車両』ならぬ『人間専用車両』が新たに用意された。まぁ流用しただけなんだが。


 この地域には俺の他にも何人か人間がいる。俺と同じでシェルターに逃げられなかった一般人だ。そいつらも以前の生活を送ることを強いられている。ゾンビに囲まれてな。だからこの車両には毎日それなりの人数が乗ってたりする。朝のラッシュアワーと考えればすげー少ねぇけどな。


 でだ。俺はその『人間専用車両』に乗っているんだが……。


「先輩の匂い……じゅるり」


 後輩の女の子ゾンビに押し倒されていたりする。床じゃなくてシートの上なのがまだマシなのかも知れねぇ。人が少なくて良かったのか悪かったのか。


 俺も後輩の事は嫌いじゃない。ゾンビになった今も女として見てる。むしろ今も後輩にのし掛かられて嬉しく思ってる。俺の股間のテントは……まぁ仕方ねぇだろ。


 俺を押し倒してる後輩は性欲じゃなくて食欲に支配されてるから普通に俺の首を噛みつこうとしてくるけどな。


 俺は基本的にゾンビからいつも襲われる。知人だろうが知らねぇゾンビだろうが関係ねぇ。

 

 だからいつもバットを装備してる。正当防衛って奴だ。駅に着くまで五十人くらいゾンビを叩きのめしたし、駅のホームでも三桁のゾンビを返り討ちにした。大体のゾンビは動きがトロい。


 元高校球児を舐めんなよ。


 でも俺に好意を持ってる女の子をバットでドつくのは流石に無理だ。


「食わせろぉぉぉぉぉ! 一口だけでいいからぁぁぁ!」


 ……好意を抱いてた筈なんだ。かじられないように顔面を掴ませてもらってるがよ。


 こいつの他にも『人間専用車両』に乗り込んできたゾンビはいる。全員膝を砕かせてもらった。腕もな。小学生の女の子もいたが慈悲はねぇ。俺に向かって獣のように飛び掛かってきたから真っ向からバットを振り下ろさせてもらった。活きのいいガキんちょだぜ。


 季節外れのスイカ割りになったが相手はゾンビだ。頭を粉砕しても翌日には元通りになってるらしい。車両の掃除が大変だと駅員さんに言われるがそんな駅員さんも襲ってくるので油断ならねぇ。


「好きなだけおっぱい揉んでいいから食わせろよぉぉぉぉぉ!」


 ……乙女心よ、それで良いのか?


 あと後輩よ。お前……揉むほどの乳は無いだろ。まぁ嫌いではないがな。



 ◇



 残念な後輩に襲われるのは毎朝の事なので後輩の首をゴキリとして電車を降りる。


 不思議な事にゾンビに襲われるのは俺限定である。他の人間にはゾンビ共が襲い掛からない。むしろ俺が襲われている所に遭遇すると彼らは安心する素振りを見せる。


 今日の電車内もそうだった。


 俺は生け贄じゃねぇんだけどな。何となく気持ちは分かるが納得はいかねぇ。

 

 駅からは十五分ぐらいで学校に着く。歩きになるが駅から商店街を抜けていく必要がある。朝はまだいい。ゾンビ会社員に襲われまくるがそれでもなんとかなる。困るのは小学生の登校と被る所だ。


 無論容赦なんてしてやらねぇ。

 

 俺のバットが大活躍ってもんよ。


 朝の商店街はチビッ子ゾンビで死屍累々って奴だな。動きは遅いが何せ数が多い。囲まれるのは毎朝の事だ。


 まぁどう考えても惨劇にしか見えねぇ。高校生の凶行ってやつだ。お陰で何度警察を呼ばれた事か。その警察もゾンビだから大変なんだよ。


 拳銃を使わないのはギリギリで理性が残ってるからなのか。


 朝の登校は市街戦だ。


 部活で走り込みをしてなければ俺も食われていただろう。邪魔する奴だけバットをぶちこみ小走りで商店街を駆け抜ける。開いてない店ばかりだが油断は出来ねぇ。俺と同じように登校してる学生ゾンビも襲ってくるからだ。


 最近は学生ゾンビも知恵を使うようになりやがった。


 水着だ。


 水着のゾンビが通学路に潜んでやがるんだ。


 何故かは分からんが男女比は大体同じだ。海パン姿の男ゾンビと競泳水着の女ゾンビが道の角や建物の裏に隠れてやがる。


 大体のゾンビは普通のゾンビだ。グロいだけの腐った死体が露出に目覚めたんだろう。警察もこいつらを逮捕するべきだと俺は思う。普通に変態だろう。ゾンビ以前によ。


 通学路は俺も前屈みになりつつ走り抜ける事になる。いや、股間がな。俺も男だし。いくらゾンビでも体がきれいなゾンビちゃんもいるからな。可愛いゾンビちゃんも結構いるし。みんなよだれを垂らして俺を追ってくるが。


 ここで足を止めると水着ゾンビに囲まれる。だからここも小走りで駆け抜ける必要がある。相手がゾンビで助かった。これで普通に走れるゾンビとかハイスペックゾンビだと俺の人生は終わってた。


 水着姿のゾンビに食われて死ぬとかどんだけアホらしい死に方だっつーの。


 人間には厳しくてゾンビには甘い世の中になっちまったと痛感するぜ。内臓垂らしてる男ゾンビとか完全にアウトだと思う。せめて詰めろや。そして隠せや。


 歩いて十五分の道を駆け抜けるから大体五分で学校に到着する。まぁ学校が一番ヤバイんだがな。


 一応俺の保護対策として俺は自分の教室ではなく他の場所で遠隔授業を受ける事になっている。大体が校舎の屋上だ。青空教室ってやつだな。ここなら階段から繋がるドアを施錠しとけばゾンビに囲まれる心配が少ない。


 もしゾンビが来ても屋上から落とせばいいし、雨どいを伝って一階に逃げることも可能だ。非常階段は付いてねぇ。


 ……ここまでして学校に来る必要は絶対にねぇよな。でも俺を待ってる奴もいるんだよ。俺の恩人とかな。




 俺はかつて高校球児として甲子園を目指していた。まだ世界にゾンビが現れる前の話だ。


 実際に一年生の時から甲子園にも行った。まぁすぐに負けちまったがな。だから今年こそはと思って頑張っていたんだ。だがチームメイトが夏目前に問題を起こした。


 小学生に淫らな行為をしやがったんだ。それも監督と一緒に。


 これにより野球部は一発アウト。公式試合も全部がキャンセルになった。勿論甲子園もアウト。選抜なんて夢のまた夢。


 野球部は廃部が決定し俺は学校で行き場を失った。野球の特待生として入ったのに野球部が消滅したんだ。居場所自体が無くなっちまった。


 俺は怒り狂った。


 問題を起こした野郎と監督の家に押し掛けて股間にバットを振り下ろしてやった。そして学校から二ヶ月の停学処分を受けた。


 この時世話になったのが同じクラスの委員長だ。俺の家にまで来てくれて勉強を見てくれたが……普通に変人だとは思う。


 だって俺はいくら罪を犯したとはいえ仲間だった奴と監督の股間を本塁打しちまったんだぞ?


 停学中、学校で俺に新たについたアダ名が『ボールクラッシャー』だ。


 停学明けで学校に行ったら男共は怯えて俺を見ようともしなかったし、女子は女子でドン引きしまくっていた。


 だが委員長は変わらなかった。あの事件の前も。あの事件のあとも。


 委員長は眼鏡の女の子だった。いかにも『委員長』というような委員長だ。夏でも黒タイツで暑くねぇのかと聞いたら『夏用だから』と返された。


 まぁ恩人だ。彼女のお陰で俺は学校に居場所が出来た。あと後輩な。電車で首をゴキリとしたあいつだ。二人のお陰で俺は学校に通える事が出来ていた。


 俺は恩人の為にこの狂った世界を駆け抜けて学校に通ってる。一人はアレだが仕方無い。少しくらいなら俺も食われてやっても良いんだがな。


 問題は委員長なんだよ。


 委員長もゾンビになっていた。それはもう完全なるゾンビだ。いや、もうゾンビというかスケルトンだ。肉が全部腐り落ちて骨だけになったらしい。


 本人も骨丸出しは恥ずかしいらしいので全身タイツに頭は包帯でグルグル巻きという意味の分からねぇ格好をしてやがる。勿論眼鏡は忘れてねぇ。


 新種のミイラか? そして包帯の上にセットした眼鏡に意味はあるのか?


 肉がねぇのに言葉を喋れるから本当に意味が分からねぇ。肺もねぇのにな。まぁ委員長の自己申告だから本当に肉が無いのかは分からねぇ。


 今日も青空教室には俺と委員長の二人だけだ。教師も全員ゾンビだから先生役は委員長だ。


 全身黒タイツで頭は包帯グルグル巻きの先生なんだぜ?


 どう見ても体のラインが丸見えの全身黒タイツなんだぜ?


 骨がゴツゴツじゃなくて女の子らしい丸みを帯びたエロボディの全身タイツなんだぜぃ? 委員長はかなりの巨乳だ。そして尻は安産型だ。


 俺も突っ込むべきだとは思うんだが……委員長は俺の恩人なんだ。彼女がそれを望むなら、俺はそれを叶えたい。


 委員長がゾンビだと言うのなら、俺はそれを信じよう。あ、スケルトンか。随分エロいスケルトンだがよ。


 今日もエロい委員長に勉強を教わった。正直言うと理性との戦いだ。恩人にエロい事をするほど、俺は腐ってねぇ。


 だから俺は耐えた。


 俺のすぐ横に座り密着してくる委員長からは女の子の匂いがしていた。間違ってもゾンビや骨の匂いじゃねぇ。


 だが俺は耐えた。委員長が俺の太ももに手を乗せて来た時は俺のベスビオ火山がボルケーノしかけたがなんとか耐えた。


 だが委員長が俺の膝に乗ってきた所で心が折れた。


 俺は気付くと彼女を抱き締めていた。微かに震える彼女をな。俺の腕の中にいる委員長は小さな声で聞いてきた。


「スケルトンでも愛してくれますか?」


「スケルトンにしては重くね?」


 全身タイツのミイラ女は、ずっしりとした重みを俺の太ももに伝えて来ていた。発言も重いぜ委員長。


「……ゾンビでも愛してくれますか?」


「ゾンビにしては熱くね?」


 全身タイツのミイラ女は驚くほどの熱量を俺の体に伝えて来ていた。スケルトン設定はどうした委員長。


「……腐女子でも大丈夫かしら?」


「そっちかよ!?」


 委員長も人間だった。まぁある意味で腐ってたけど。




 ◇



 全身黒タイツのミイラ女は実は人間だった。スケルトンでもなくゾンビでもない普通の人間だったのだ。


 何となくそんな気はしてた。


 いや、タイツが汗でさ。ゾンビってその辺の代謝が低いみたいで滅多に汗をかかねぇんだよ。全身黒タイツに包帯グルグルしてりゃ、そりゃ暑いわな。


 何せ青空教室で日差しが直撃だ。


 汗だくの委員長は頭の包帯を外していき……全身タイツも脱いだ。ぺろんと脱いだ。俺の前で。下は驚きの競泳水着だ。汗が光って超エロい。


 委員長もやはり変態だった。ちょっとショックだがガン見させてもらった。委員長が真っ赤になって殴ってくるまでな。


 それから……それからは普通に勉強した。保健の勉強とかじゃなくて普通の勉強な。試験が近いから仕方ねぇ。


 俺も委員長も真面目な所がある。委員長は水着のままだったけど。

 

 委員長は友達との関係でゾンビを装っていたそうだ。一人だけ人間だとやっかみがとんでもない事になるらしい。


 女の子ってのも大変なんだなぁと思ったぜ。ゾンビになってもその辺は変わらねぇんだな。


 この日の勉強は午前で終わった。


 お昼になった辺りで屋上のドアが破壊されてゾンビが屋上に雪崩れ込んで来たからだ。


 教師も生徒も関係なく俺を食べようとゾンビ共が集まったのだ。確かに昼だけどよ。俺はランチか?


 俺は予定通りバットを担いで雨どいを伝いゾンビからエスケープ。委員長は元からゾンビに襲われない。


 不思議だけど、気にしても仕方ねぇ。とりあえず家に帰ることにした。


 腹が減ってるので道中のゾンビはなるべく無視して駅まで急いだ。昼は昼で危険な時間帯になる。おばちゃんゾンビだ。お昼はおばちゃんゾンビ達の時間なのだ。


 奴等は超怖い。パンチパーマのおばちゃんゾンビが奇声を挙げて追いかけてくるんだ。超怖ぇ。

 

 駅に駆け込んで電車に飛び乗ってからも油断は出来ねぇ。おばちゃんゾンビに『人間専用車両』なんて常識は通じねぇ。


 奴等は目的地に着くまでエンドレスに乗り込んで来やがる。ゾンビだから動きはトロい。だがおばちゃんゾンビは重くてタフな個体がやたらと多い。


 バットを太い腕でガードする個体もちょくちょくいる。おばちゃんゾンビ手強すぎだろ。


 わりと死ぬ思いをして目的地に到着。掃除は駅員さんに丸投げだ。まぁゾンビの山に駅員さんも追加されたがいつもの事だ。


 そこから家までまたダッシュ。もうおばちゃんゾンビを相手にするガッツがねぇ。バットも既にベッコベコだ。もう野球には使えねぇ。使うつもりもねぇけど。おろしたての金属バットが一日でこうなる。おばちゃんゾンビはやっぱり怖ぇな。


 流石に家の中までは外のゾンビ共も入っては来ない。


 母もパートに出掛けているのでこれでようやく安全地帯で休める、って事になる。


 

 これが俺のカオスでディストピアな一日の大体だ。まだ午後が残ってるが家の中にいる限りはある程度大丈夫だ。


 世界は狂っちまった。でも以前と変わらねぇ生活は続いてる。俺以外の話になるけどな。


 そのうち偉い学者さんがゾンビに関してレポートでも出すんじゃね? と淡い希望を持ちながら俺は昼飯を作ることにする。


 とりあえず……委員長はエロかったなぁ。写真に撮っとけば良かったぜ。


 というわけで昼は委員長の水着ボディを思い出したのでムッチリパスタに決定だ。


 パスタあったかなぁ。




 今回の感想。


 委員長が濃い。おばちゃんゾンビ怖い。



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