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恋愛短編集【過去作品】  作者: 三谷朱花
節分が誕生日の私が、豆で自分を祝う理由【現代・女主人公・切ない・失恋・30歳・管を巻く】
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3 鬼は外?

「じゅう……さん」

 でも、元彼が都合の良い女を作るだろうか?

 少なくとも、私は元彼に誠実さを感じていた。

 だから、5年も付き合った訳だし。


「……十四」

 元彼は誰からも、イイ人、と言われる人だ。

 誰もが、その誠実さを誉めていた。

 それは、5年間そばにいた私もよく理解している。

 ううん。もっと前から、元彼が誠実なのは知っていた。


「十五」

 だから、忙しい、って言葉も、変な勘繰りをすることもなく、素直に理解できた。

 本当に元彼は忙しくって大変なんだって。

 私と会わないための言い訳だとは少しも思わなかった。


「十六」

 ただ、元彼はちょっと決断力に欠けるところはあった。

 優柔不断なところ。

 だから、結婚を言い出さないのは、そういう部分のせいだと思っていた。

 だから、5年も待てた。


「十七」

 だから、元彼が別れの言葉を告げたのも、相当な覚悟なんだって、すぐに理解できた。

 だから、受け入れたくなかった。

 私との別れを、元彼がもう決めてしまっているんだって、信じたくなかった。


「十八」

 だから、精一杯虚勢を張った。

 きっと私があっさり受け入れたら、元彼は焦ってくれるんじゃないかって、どこかで思いたかった。

 ……そんな現実は、起こりもしなかったけど。


「十九」

 もう、受け入れるしかないんだろうな。

 私は元彼にふられてしまったんだって。

 元彼の心が、自分に戻ることはないんだって。


「二十」

 本当は、ふられてすぐに受け入れて泣けばよかったのに。

 受け入れられないまま、自分の誕生日も祝えない心境で過ごして、こんな風に豆食べてるとか、本当にダメだな。

 私は苦笑して、こぼれてくる涙をぬぐった。

 でも、せっかく始めたんだから、最後まで数えよう。


「二十一」

 小学生の頃から好きで好きでずっと片想いしてた元彼が、私たちの周りに流されたとはいえ、告白に応えてくれて付き合ってくれた。

 しかも、5年も。

 それだけでも奇跡的だし、素敵なことだった。


「二十二」

 最初から、好きの気持ちが強いのは私の方で、それはずっと最後まで変わらなくて。

 だから、結局、気持ちが釣り合うことがなくて、ふられてしまっただけだ。


「二十三」

 女は好きになるより好かれる方が上手くいくよって、ずっと片想いを諦めないでいた私にアドバイスをくれる友達もいた。

 きっとそれは、本当のことなんだろう。

 それでも、私は元彼を好きだった長い時間も、元彼と付き合っていた間の時間も、宝物だと思うから。


「二十四」

 私と過ごした時間を、元彼が無駄だったと思っていなければ良いな、って、思う。

 大切にしてもらっていると感じていたから、余計に、元彼が自分の気持ちを曲げてまで付き合っていなかったんだと、思いたいだけだけど。 

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