後日談①
確かに私はあの男と今後一切関わりたくないと言った。
同じ会社に働くあの男と今後一切関わらないなんて無理だと思うけど、あのいけすかない従兄弟ならやってくれるんだろう、と確かに信頼はしていた。あの会場の中では誰よりも。
でも、まさか自分の立場を変えられることになるとは思わなかった。
確かに、職場の上司や同僚まで呼んで結婚式まであと5分ってところで、結婚式を取りやめにしたのだ。職場の居心地がいいわけがない。
でも従兄弟は私に前の職場と同じ条件…いや、あの居心地の悪い状況から抜け出すには破格とも言える条件で、私の立場を簡単に変えた。
あの男が果たしてあの居心地の悪い職場でいつまで耐えれるかは、私にはもうどうでもいいことだ。
私は従兄弟の弁護士事務所の事務員になった。
いけすかない従兄弟は私がいけすかないと思うだけあって頭が切れる。それに私以外にはすこぶる愛想がいい。だから顧客は沢山いて、仕事には困らないし、もう一人の事務員を雇うくらいのお金はポンと出せる、らしい。
でも、従兄弟が出した条件は、それだけじゃなかった。
傷物の私を引き取ろうと言い出した。
…つまり、結婚しようと。
曰く、人のものになると分ったら、急に惜しくなった。でも、結婚する話を聞いた時には、既に結婚式の準備を進めて居たから、合法的に奪うのは難しいと思った。だから諦めていたら、土壇場で神様がほほ笑んでくれた。
…あのいけすかない従兄弟が、神様を信じているとは到底思えないんだけど。
いやそれ以上に、他の人には愛想がいいくせに、私を目の敵にするような態度をとっていたのが、私が好きでつい、と照れながら言うならそもそもその態度を改めろ! と言いたくなる。
今も従兄弟は絶賛いけすかない。




