表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋愛短編集【過去作品】  作者: 三谷朱花
節分が誕生日の私が、豆で自分を祝う理由【現代・女主人公・切ない・失恋・30歳・管を巻く】
3/45

2 鬼は内

「二つ目」

 当然味は変わらない。

 ……今年も、変わらず隣にいるだけで良かったのに。

 去年は、元彼と特にどこに行くでもなく、ケーキをつついた。

 それで、満足した。


「三つ目」

 カサカサモソモソとしているのは、私の心だったのかもしれない。

 隣にいてくれるだけで良かったのに、言外にそれ以上を望んでいたのかもしれない。

 良い彼女のふりして、元彼に別れを切り出させてしまったのは、私の無言の圧力だったに違いない。


「四つ目」

 25で結婚して、30になるまでには子供がいる予定だったのにな、って言ったのは、2年前くらいのこと。

 何の気なく言ったつもりだった。

 だけど、どこかで望んでいた。

 30までには、って。


「五つ目」

 5年も一緒にいれば、何となく相手が言わなくても伝わることってある。

 今夢を追いかけている元彼には、それがきっとプレッシャーだったんだろう。

 邪魔するつもりがないといいながら、そんなプレッシャー感じさせてるとか、全然良い彼女じゃない。


「六つ目」

 元彼と、6年目を迎えたかったなぁ。

 結婚とか抜きにして、6年目を一緒に迎えたかった。

 ただ、一緒にいたいだけだったのに。

 でも、自分の年齢を気にして、結婚に焦っていたのも事実だった。

 だけど、それは誰でもよかった訳じゃなかったのに。


「七つ目」

 今、元彼が隣にいないのは、結局自業自得だったのかもしれない。

 友達たちに別れたことをまだ言えずにいるのも、元彼の別れの言葉を、自分が引き出したせいだってどこかで気づいていたからかもしれない。

 

「八つ目」

 わかった、なんてものわかりの良い彼女のふりして、もしかしたら元彼がすがってくれないかな、とか期待してた。

 でも、引き留められることなんてなくて。

 だから、心のなかで元彼だけが悪いんだって責めてきた。


「九つ目」

 もちろん、元彼の非がゼロって訳でもないとは思うけど!

 5年も付き合ったら、期待しちゃうでしょ!

 ……2年前には、いつか出来たらいいね、って言われたし……。


「十」

 ただ、私にも十分非はある。

 この別れは、片方だけが悪い訳じゃない。

 私が誰とでも結婚したかった訳じゃなくて、元彼と一緒に居たかったってことを元彼に感じさせられなかったってことも、一因だろう。


「じゅう……いち」

 ボロボロと涙がこぼれていく。

 今さら、別れの言葉に対してすがり付かなかった自分が嫌になる。

 カッコ悪くても、何でも、嫌だって、別れたくないんだって、すがり付けばよかった。


 好きだから隣にいたいんだって、言えばよかった。


「じゅう……に」

 でも、もしそれで付き合い続けてたら、単なる都合の良い女になるだけ、だったのかな……。 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ