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恋愛短編集【過去作品】  作者: 三谷朱花
長谷川君は聖人に違いない【コメディ・女主人公・学校・青春?】
23/45

長谷川君は聖人に違いない④

 痛い。


 何とも言えない痛みに、私はおなかを抱え込む。


「純さん、大丈夫?」


 長谷川君が、私に声をかけてくる。


「ん。大丈夫」


 私は少し顔を上げて、一応笑って見せた。

 心配をかけたいわけではないのだ。


「全然大丈夫って感じしないよ? 顔色も良くないし。保健室、行こ?」


 うん。長谷川君、絶賛聖人力が発揮されている。でも、今は発揮してもらわなくても大丈夫。


「本当に大丈夫だから。自分のことは自分が一番よくわかってるから」


 大変申し訳ないが、できたらそっとしておいてほしい。


「純さん、そう言って困ったことになる人だっているんだよ。行こ」


 何だろう。今日の長谷川君は強引そうだ。既に私の腕をつかんでいる。

 珍しく強い口調の長谷川君に、視線が集まっているのも感じる。

 …うん。聖人って、現代日本にいると、迷惑なのかもしれない。


「長谷川君、声小さくしてくれる?」


 とりあえず、声のトーンは落としてほしい。


「あ、ごめん」


 慌てたような長谷川君は、いつもの声のトーンに戻った。


「でも、保健室行こうよ」


 心配そうに重ねてくる声に、長谷川君は心配性なんだなー、とか思う。

 まあ、心配してもらえるのはありがたいことなんだろう。でも、今の現状は、本当にそっとしてほしいというか…。


「大丈夫だって。薬も飲んだし」

「薬って! やっぱり大丈夫じゃないんでしょ」


 …長谷川君には、全然通じないらしい。

 もう、これは言うしかないんだろうなぁ。


「女の子の日なの。そっとしといて」


 私の小さな声に、長谷川君が耳を赤くする。


「ごめん。…いつも元気そうなのに元気ないから…」


 聖人は、これまでどうやら女子との交流は少なかったらしい。

 流石聖人?

 でもね、聖人力もちょっと迷惑なんだって、今日ようやく気付いた。

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