第四刃 和蘭人と烏天狗
ある日の白烏。
「クロウちゃんいらっしゃるー?」
外から女性の声が聞こえてきた。
「はいはい、いますよー、きよさん?また旦那さんお腹壊したの?」
奥から金髪の男性、クロウが出てきた。
「いやいや、違うのよ、この前和蘭の何かの上演会の券みたいなのをもらったんだけど私達こういうの興味ないのよね、だからもらってくれない?」
そう言ってきよはクロウに派手な柄のの券を渡した、表にはオランダ語で何かが書かれている。
「へーでもいいの?結構いいやつそうだよ?」
「いいのいいの、私達なんて見たところでわからないから、それじゃあね」
そう言って嵐が通り過ぎたようにきよは去っていった、クロウはどうしようかと券を手に持っては眺めている。
「クロウー、何か貰ったのか?」
部屋の奥から花篠が出てきた。
「いやーね?きよさんがオランダのなにかの上演会の券を持ってきたんだよ、行きたい?」
少しぎこちない笑みを浮かべながらクロウは花篠を見た。
「うむ、ここ最近はあまり外出もできていないしな、それで、いつ行くんだ?」
「明日のお昼みたいだよ、ところで外出できるような服、持ってるの?」
尋ねると花篠は自信満々で言い放った。
「無論、これだ」
「よーしこの話はなかったことに...」
「なんでだ!?これ以上に外出に向いた服などないだろう!」
そう言って道着?のようなものの袖をヒラヒラさせながら訴えてくるが、根本的に何かが違うことに彼女は気づいていない。
「あのねぇ、外出って言ってもそこら辺を散歩するとか歌舞伎を見に行くとかじゃないんだよ?もっとこう、ドレスコードとかあるでしょ?」
「どれすこぉど?」
「ダメだこりゃかなりの重症だ...今回は新しい服を買いに行く時間もないから僕ので我慢してね、男っぽいから多分違和感ないよ」
そう言って店の奥に引っ込んで数分、クロウは使い古された燕尾服を持って戻ってきた。
「とりあえず着てみて、多分ちょうどいい大きさだと思うから」
そう言って花篠を一旦部屋の奥に押しやり、着替えさせた、着替えさせたのだが...
「これでいいか?」
出てきた花篠は上着のボタンがとまっておらず、さらにパンツも腰上に履きすぎて、足首が見えているという、とても不恰好な状態であった。
「シノー...子供じゃないんだからそのぐらいちゃんと着てよ、何?それとも僕が着させないといけないの?」
クロウは呆れかえり、ガクッと顔を下に向け崩れ落ちた。
「うむ、やはり着付けしてくれ、私にはどうも一人で着れそうにない服だ」
そういって崩れ落ちたクロウを引きずり奥の部屋へ連れて行き、シノはやっとのこと着替えさせてもらった。
この後クロウが気疲れで深い眠りに落ちたことは言うまでもない。
投稿遅れてしまい申し訳ありません、これからも多分不定期更新なので、ながーい目で見ていただければ幸いです。
追記:読めないらしいので一応読み方を
花篠=かしの
白烏=はくう