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第三刃 薬屋と烏天狗

江戸の城下町、一軒の薬屋にて


「クロウちゃん、胃腸薬頂けないかしらー」


一人の女性が店外から呼びかけた。


「はいはーい、あ、きよさんだね、今用意するから待ってて下さーい」


うーんまだ彼女に話したいことたくさんあったのになぁ。

クロウはそんなことを考えながら紙袋に薬を入れ表に持って行った。


「きよさーん持ってきたよー」


柔らかな笑みを浮かべながらクロウはきよと呼ばれる女性に歩み寄って行った。


「はい、胃腸薬、また旦那さんお腹壊したの?」


「そうなのよーうちの亭主昔っからお腹が弱くてねぇ」


そう言ってきよはお金を払い袋を受け取った。


「毎度ーまたのご来店お待ちしてまーす。」


ここは薬屋"白烏"烏天狗ことクロウ・カルティラートが営む城下町の薬屋である。


「それにしても随分と口調や感じが変わるものだな、それが商売用の顔か?」


奥から出てきた花篠はそう言って訝しげな表情を浮かべた。彼女からすると先ほどの事も相まって信じられないという感じだ。


「んーまぁそんなとこかな、暗殺に行く時とおんなじ話し方だとバレるかもしれないだろ?それにこっちの方が良く薬が売れる」


悪そうな顔をしながらクロウは言った。


「ところで店を開くとは珍しい、薬売りは普通歩いて回るものじゃないのか?」


花篠が疑問を持つのも当然である。普通、薬売りは薬を持って売り歩く、言わば行商人のようなものなのである。


「んー、ここ自体隠れ家みたいなものだしなぁそれに夏の炎天下で歩きたくないし...」


「うむ...もっともな意見だ....」


その後しばし歓談を続け、数刻後。


「そういえばクロウ、お前日本人じゃないな。どこから来たんだ?」


「僕は人間じゃなくて妖だよ?烏天狗ね」


「嘘をつけ、そんなはずがないだろう!正直に言わねば奉行所につきだす!」


腰の剣に手を当て睨んでくる、言い逃れはできそうもない。


「わかったわかった、教えるから奉行所は勘弁ね。」


クロウは落ち着けと言う具合に手を当て、宥めてきた。


「僕はイギリス、ここの言葉だと英国かな?そこから来たんだ、これでも元貴族でね。」


「英国...鎖国下のこの日本でか?どうやって来た?」


「簡単なことだよ、色んな国を回って最終的にオランダの商船に乗って来たのさ、まぁ...密入国?」


「当たり前だろうが阿呆!」


その場で怒鳴った花篠はその後も延々とクロウに説教を続け、それは夜にまで及んだ。クロウは憔悴しきっており、花篠は少し満足そうである。結局夕飯は花篠が作ることになった。


「シノーご飯まだー?」


「今作っている、見ればわかるだろ馬鹿者、それと私の名前は花篠だ、間違えるな」


花篠は鍋の前に立ち、不機嫌そうに言った。


「えーいいじゃんシノだって僕のことクロウって呼んでるし...不公平じゃない?」


「....」


「あーらら怒っちゃった。」


そんな事とは裏腹にクロウは無言で料理する彼女が少し可愛いと不覚にも思ってしまった。


投稿遅れました、すいません!

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