友人との会話
今日はモミジが仕事で留守なので友人と会話を楽しむ事にした。
俺も仕事に行きたかったが依頼人にお断りされた。
やれやれだ。
「ジョセフ君。どうかなこの術については」
友人は研究区画で働いている魔術師だ。
「あー駄目だろ」
「何故なんだろうね?」
「お前もう一度研究内容言ってみろ」
「死体を利用する農作物労働者増加」
「死体に農作物作らせるって発想やばすぎるだろ」
「どこが?」
「まず政治の話をしよう。五国同盟と睨みあっている大教国が黙っていない。戦争になる」
「確かに死者を冒涜する術ということで怒りを覚えるだろうね」
「そう。その感情はこの五国にもある。死者は安らかに眠らせてやりたいだろ?」
「めんどくさいね。人の感情って」
「めんどくさいかは人によるな。後は経済面からだ。今働いてる農業者が失業するだろ。大混乱になるぞ」
「文句を何一つ言わない死者が仕事するわけだからね。仕事なくなるか」
「次にどうやって死体を毎日動かすんだよ。大量の魔力が必要になるだろ」
「それは英雄様になんとかしてもらおう」
「英雄は変に正義感あるから死体を動かすなんてことしない。やる奴は邪悪な心を持った狂人だろ。その狂人は死体で農業やろうなんて考えもしないだろうがな」
「協力してくれる邪悪な魔術師が必要なわけか」
「だな。後はそうだな…死体が作った物を食べたいと思うか?」
「嫌だよ。汚ないじゃん」
「もうお前もこれ無理だって答えでてるじゃねーか」
「思いついた時は良い案だと思ったんだけどね」
「お前のその発想力は嫌いじゃないけどな」
「ありがとう。これを上司に言った時に休みをとれと言われた理由が分かったよ」
いや。上司に言うなよ…イカれてると思われてるぞ。いや、こいつはイカれてるとすでに思われていたか。
「そういえば今日この町で同盟国会議が始まるねえ」
「ああ。俺の護衛が仕事に行ってるよ」
「護衛の仕事かい?」
「それもあるが俺が書くのに役立つ話を聞きにだ」
「ふーん。護衛はモミジと言ったっけ?」
「ああ」
「あまり会ってないから分からないな」
そりゃモミジはお前を避けてるからな。
なんでお前を嫌っているかは知らんが。
「美人だったね君の護衛。キスとかしたの?」
「してねーよ。そんなんじゃねーから」
「なるほどね。じゃあ私とするかい?」
「死ね」
「おいおい。私だって女の子なんだよ。傷付く」
「お前水浴びとか何日前にした?」
「一週間は確実にしてない」
「臭うぞ。そんな女としたい奴は少ないんじゃねーかな」
「了解。水浴びはなるべくするとしよう」
「ああそうしとけ。そんじゃまあ俺は帰るわ」
「今日は早い帰りだね」
「護衛が報告に来たときに待ってないと怒るからな。今日は早く帰るつもりだった」
「そうかい…それではまた今度」
一瞬こいつが何か考えたような気がしたが気のせいだろう。
「じゃあまたな。ホーリー」
「ああ。さよならだジョセフ」
そう言い合い、俺達は別れた。