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月島さんは宇宙的!  作者: のりっちょ
2/2

ゴミ拾い2袋目

「月島さん、これ箱から出しといてくれるかな」


「あいあいさー!」


あいあいさー…って、なんだ?

時々、月島さんの発言には年齢の差のようなものを感じるな。

…最近の流行りなのか?


「あーーーーーー!!」


「どうした!月島さん!」


「こ…この景品…」


中身が違うのか、はたまた不良品なのか?

嫌な予感を感じつつ、俺はダンボールの中を覗いた。


「…………ん?」


「銀さん…どう思いますか…」


「どうって…どこがおかしいんだ」


「何も思わないんですか!」


ダンボールを覗き込む俺を押しのけ、月島さんが中から景品を1つ取り出した。

その景品を両手で高々と、まるでサッカーワールドカップの優勝カップを掲げるかのように持ち上げてみせた。


「このクオリティ…もはや、ゲーセンの景品の域を超えてると思いませんか!」


「月島さん…」


「銀さんも思いますよね!ね!ねっ!」


まるで捲し立てるように語り続ける月島さんに、俺の大人の対応が炸裂した。


「月島さん…とりあえず仕事しようか」


冷静な俺のトーンに、ハッと我に返る月島さん。

だが、少し興奮した様子はいまだに続いているな。


「その景品、何?」


「これは、最近話題のゲームのキャラクターです!」


「へぇ…面白いの?」


「スゴく面白いです!オンライン対戦も出来て、全国大会も開催してるんですよ!私はまだ、ランク80って位なんでまだまだなんですけど、前のシーズンではかなりいい所までいったんです!今シーズンも、今のままいけば上位ランカーの中に私のネームがのって…」


「月島、まてぇ〜い!」


興味があるわけでもないのに、迂闊に聞くもんじゃないな。

このマシンガンのような言葉の銃弾を、ずっとあびるのは流石に御免こうむりたい。


「月島さん、それが君の大好物だと言うことは理解した…だが、もう一度あえて言おう」


俺は月島さんから景品をとるとダンボールへ戻し、今度はダンボールごと月島さんへ渡した。


「月島さん、とりあえず仕事しようか」


「はい!」


少し呆れている俺とは対照的に、やたら嬉しそうな月島さんは、景品の陳列を楽しんでいるようすだ。

それじゃなくても、普段からニコニコしたイメージばかりだからスゴいもんだな。


「この景品を私が陳列出来るのも、宇宙の神様の仕業なんですよ!」


「また宇宙か?」


「えぇ!宇宙です!今日、この時間にバイトに私がきて、この景品と出会えたんですよ!」


「ただの偶然だろうに」


「わかってないなぁ〜銀さんは…必然なんですよ」


「なんでだよ、この景品が今日納品されたのは俺達には関係ない事じゃないか」


「そうじゃなくてですね…つまり、自分の好きな事に自分を導くと、必然的に好きな物や好きな事が勝手に集まってくるんですよ」


「って事は…お金持ちになりたいとか思ってたら、お金持ちになれるのか?」


「違います」


「いや、すまん…まったくわからんのだが」


「良いですか?お金持ちになりたいんじゃなくて、もうお金持ちなんです」


どうにも宇宙の発想ってのは難しいな。

正社員にもなれず、ゴミ拾いとアルバイトの日々の俺が…月島さんに言わせると、お金持ちなのか?


「これは一度、銀さんとじっくり話をする必要がありますね」


「…遠慮しておく」


「なんでですか!」


「雲をつかむような話っぽいからな」


「今度教えてくれって言ってきても、教えてあげませんからね!」


少し怒ったような口調でも、どこか楽しんでいるようなアッカンベーに、月島さんが怒っていない事は容易に想像できた。

まぁ、いずれにしても雲をつかむような話どころか、宇宙をつかむような話にはまだまだついていけそうもないな。

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