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楽/ラク/落
「ただいまー」
自宅の鍵を開けて、中に入る。当然、「おかえり」の返事が帰ってくることはない。
手を洗って、高校の制服から私服に着替えて、しばしソファーベッドでまったりする。
◆
「……もうこんな時間」
壁に掛けてある時計を見てみると、時刻は既に八時を回っていた。
「そろそろ、ご飯食べようかな」
そう思い、勉強机の鍵付きの引き出しから鞭を取り出す。
「……じゃあ、今日もよろしくね、マキぃ」
私は、イスに縛りつけて設置した「恋人兼ウォーターサーバー」の横っ腹に鞭を打ちつけた。
すると、左目から栄養水が流れ出すため、私はすかさずそれを飲む。
今日も絶品だ。この世のどんな料理よりも研ぎ澄まされた味がする。
「ごめんねぇマキ。口のガムテープ剥がしてあげたいんだけどさぁ、剥がしたら喚くでしょ?」
返事がない。ただの屍のようだ。いや、ウォーターサーバーだった。
「いやー、マキさえいれば、私が飢えることはない。必死こいて働かなくても、生きていけるんだから、楽な人生だよねー。アハ、アハハハハハハッ! ……あー愉しい」