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ホームレス娘と仲良くしたい!  作者: 結城 新太
8/19

ホームレス娘との約束。

005


朝日のまぶしさで目が覚める。


結局、昨日は女の子はうちに泊まることとなった。

当面の見通しも立たなく、不安も多いが、とりあえずはこの子の様子をみよう。


居間に行き、テレビをつけ、朝食の準備を始める。

朝はパンに目玉焼き。これに限る。

冷蔵庫から卵と食パンを取り出している時に印象的なニュース番組の音が耳に入ってきた。

耳だけ傾けていたニュース番組を思わず注視してしまう。


「行方不明の少女ですが、行方がわからなくなったのは下校中の……」


これって、あの子だよな……。

テレビにあの女の子の写真が映る。

やっぱり、あの子が言っている事は本当だったのか。

虐待なんて、本当は嘘であってほしい、あの怪我は実は転んだだけでした、とか、そういうことであって欲しい。と、心のどこかで考えていたのだろうか、何故か冷や汗が一筋、額を伝った。


「心配でしかたないです……。はやく帰ってきてほしい」


インタビュワーに向かって涙を浮かべている人がカメラに映った。

この人が、あの子を? 顔は映っていないが、清楚で上品な洋服を身に着けている母親らしき人物がそこにいた。


「世間の目が気になるんだよ。この人は……。こうなったのもこの人のせいなのにね」


気がつくと、後ろに女の子が立っていた。

この子のことを考えテレビのチャンネルを回す。


「この少女は……」

「下校中に……」

「行方は依然として不明です」


どのチャンネルもこの女の子のことを取り上げていた。よっぽど他のニュースがないんだね。

と、女の子はせせら笑った。


「ねえ」


女の子が口を開く。


「こんなニュースになっちゃって……もし私が見つかったらお兄さんは捕まっちゃうのかな」


たしかに、少女誘拐犯として、メディアは喜んで晒しあげるだろう。しかし……いまこの子を帰したら……。


「……大丈夫だよ、そうならないように……君を守る」


女の子の方を見る。少し笑みを浮かべたように見えた。


「じゃあ……賭けをしようか」


「賭け……?」


「私が見つからずに親が諦めて、この騒ぎが終わったら……」


女の子は何か決心したように、大きく息を吸った。




「私と……結婚しよう?」



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