7
淡々として作業のように生きてきた。そんな俺も16歳になっていた。
目覚めた公園のベンチの上でしばらくぼーっとしている。
(ピリリリリッ…ピリリリリッ…)
静かな早朝の公園に携帯の音が響いた。
『はい、もしもし』
「おう。ヤスか」
『なんだ、お前かよ』
「お前かよはないだろ。いま何処だよ?うち来たら」
電話の相手は友人のケイからだった。ケイとはよく遊ぶ仲間で泊まる事もよくある。昔からの腐れ縁てやつだ。
(とりあえず行く場所もないし、ケイの家に行ってみるか…。)
『おす。元気か?』
「俺は元気だけどお前いま何処にいんの?」
ケイはニヤケ顔でこちらを見ていた。
『ん?公園で過ごしたり、誰かの家に泊まったり』
「相変わらずだなぁ。女の家?金あんの?少し俺にも紹介しろよ」
『女の家もあるけど、紹介出来るような相手はいないな。金はバイトしながら株でもやって回転させようとしてる』
こんな会話は日常茶飯事で、俺達の中では当たり前な事だった。
このケイとも先の話だが絶縁する事になろうとは、この時は思いもしなかった。
『俺、旅しようと思ってる。色々な景色や人を見たいから。自分の幸せってやつ?をあるなら探してみたい』
「旅?なんで幸せになりたいから旅?」
勿論、ケイに限らず誰にも夢の事を話した事はない。笑われてバカにされて終わりなのが普通に想像出来たからだ。無理もない。繰り返し見る夢を現実に追い求めるなど、理解出来るわけがない。
それは自分自身でもよくわかっているつもりだ。ただ何かにすがり付きたい思いだったのかも知れない。
この後に俺は色々な場所を歩く事になる…。
目的は…夢…




