37
そんな中…。
冬のある日の事だった。
「えっ~~~…ヤス君…これ…」
そう言って見せられた物は妊娠検査薬。
検査結果は陽性の反応を示していた。
『うそ(汗)ちょっと…やったじゃん』
本当に嬉しかった。
子宝は天からの授かり物ともいう。
作ろうとして簡単に出来るものではない。
勿論まだ結婚をしていなかったのだから、世間的には順序が逆と非難されるのはわかっている。
でも素直に嬉しかった。
「ど、どうしよ?」
『どうしようって?嫌?』
「複雑な心境だけど…嫌じゃないよ。」
『だったら…産んで…。』
彼女としては確かに複雑なのだろう。
俺との関係を親が認めたわけでもない。
ましてや人生の初妊娠である。
色々な思いが交差するのは当たり前な事なのだろう。
後日、産院にて検査してもらったところ、妊娠が確実なのが判明した。
運命のいたずらなのだろうか…クリスマスの出来事だった。
しかし大変なのはここからである。
彼女の両親をどう説得するのか…問題はそこが焦点になる。
妊娠が判明して、しばらく経った時の事。
彼女の口からついに親に知らせる事になったのだが
、反応は予想通りだった。
俺の過去の事。
俺の両親や兄弟の事。
また、親が酒乱な事もあり、俺へのその遺伝的な事までも疑われた。
さらには母親の男遊びの激しさなども不安材料なのだろう。
普通の親ならそれを聞くのが当たり前だとは思う。
けれど、俺は確かに親の血縁は避けられないが、性格や生き方はまったくの別人である。
父親のように酒に呑まれて暴れもしなければ、母親のように恋人をとっかえひっかえもしない。
正直ショックだった…。
彼女の両親だし、結婚ともなれば必然的に関わりが出てくるのは理解しているし、統計学で言えば両親に似る可能性が高い事はわかる。
けれど俺は俺である。
それをもう少しだけ考えて発言して欲しかった。
ここでまた出てきてしまった親世代への不信感。
この不信感が俺を長く長く苦しめる事になる。
彼女を本気で愛している。
だからこそ、彼女の両親にだけは本気で当たらなければならない。
お遊びで交際していたのなら、適当に流しながら付き合えばいいのだろうけど、彼女の両親とあってはそうはいかない。
常に監視されているようなプレッシャー等がこれでもかってくらい荒波のように押し寄せる。
過去のトラウマがある俺が、これに耐えるのは容易な事ではない。
案の定、この先に潰れる事になってしまった。




