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「ヤス君…ヤス……。」
また彼女が呼んでいる。すごく輝いていて吸い込まれそうな瞳。顔全体はわからないがこの頃には目だけが記憶として残るようになっていた。
ハッとして目が覚める。
(またあの夢か…。)
時刻は早朝6時…。
ボケっとしながらも目をさますつもりでまた展望デッキへ行った。朝日が出て明るく海を照らしている。もうすぐ今回の旅も終わりがやってくる。1つの旅を楽しめた感じと、結局何も見つからなかった脱力感が半々に押し寄せていた。
「おはよう~~」
高々とした元気の良い声が聞こえてきた。
『なんだまたお前かよ……』
「またお前かよはないでしょ。朝の挨拶くらいしなさいよ~!!」
『はいはい。おはようございます。』
「元気がなーい!」
『はいはい……。』
そんな会話をしながら彼女の顔を見た。
(あれ?意外と可愛い顔してんな)
昨日は夜遅くだった事もあり、まともに顔も見ていなかったが、改めてマジマジ見るとかなりの美少女で愛くるしい表情をしていた。
「ちょっと…そんな見つめないでよ…」
『いやー、性格の割には美人だと思って。』
「性格の割にはって何よ(怒)」
「あなただって性格の割にはまぁまぁ格好いいね~。ヤスアキ君(笑)」
(まぁまぁで悪かったな……。)
「そう言えば今日でお別れだね。」
『そうだね。』
「良ければだけど連絡先教えてくれない?」
『嫌だね(笑)』
「なんでよ、教えろ~」
「あっ。そういえば夢の意味教えなさいよ」
『お断りします~。』
「……。」
ふと彼女の瞳を見てみた。
『うん。君が俺の夢ではないな。』
「私が夢じゃない?なにそれ…」
『なんでもない』
「意味ありげな事言ってるんじゃないわよ。ますます気になるじゃない~。」
「ぷん…いいわいいわ…どうせ赤の他人だし……」
「………………。」
(ふぅ…やれやれ…)
『連絡先は教えるからそんなにスネるなよ。』
「え。本当に?」
『あぁ。エミさんには負けましたよ…。』
このあとお互いの連絡先を交換した。そんなこんなしているうちにあっという間に船は目的地の港に着いた。
「またね~。ちゃんと連絡するからね~!!」
『はいはい。』
これで1つの旅が終わりを告げた。
(エミ…か…。変なやつだったなぁ…。まさかあいつが…いや…まさかねぇ…。)
そんなこんな思いながら帰路についた。まぁ帰路と言っても友人の家だったのだが。




