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他の乗客が寝静まった深夜、展望デッキへ。
昼間の光景が嘘のように見渡す限り誰一人としていない。
(雑音が入らずいい感じだな…)
自分だけの世界のように思えた。
聴こえて来るのは波の音だけ。
心が安らぐ世界。
寝転がって空を見上げてみた。運が良い事に晴天で、無数の星がキラキラと輝いている。
(俺は何のために生きて、何のためにこんな旅をしているんだろ…。)
360度に広がる夜空と大海原のあまりの大きさに自分がちっぽけに思えた…。
1時間は経っただろうか。ほんのり吹く風が肌寒くもあり、心地よくもあり、軽い眠気が襲ってきた頃…
「きゃっ」
『わっ』
静かな夜に突然響き渡る悲鳴に心臓が止まりそうになった。
『なになになに…何なの』
「ごめんなさい、急に人がいたものだから」
『あーびっくりした…』
「本当にごめんなさい」
一息深呼吸をして改めて上を見上げるとそこには1人の女性が立っていた。髪はちょっと長めのセミロングってやつだろうか。真っ白な薄手の服と、膝丈くらいのスカートにサンダル。年齢は俺と同じくらいだろうか…。




