ぬいぐるみ
あらすじでは、『物語』と称されていますが、実際は『詩』…ですね。ちょっとシリアス系です。
ねぇ。ボクは。
キミの役に立つ事ができたのかなぁ?
『ぬいぐるみ』
ねぇ。キミは、何でボクを可愛がってくれたの?
ねぇ。キミは、ボクと出会って、幸せだと思ってくれたの?
ボクは、キミに何もしてあげられなかったのに。
なぁんにも、できなかったのに。
ねぇ。ボクは、キミに何もねだっていないよね。
だから、最後に一言だけ。わがままを言っても良いかなぁ?
ボクも、そっちに連れて行ってよ。
ボクだけ置いていかないで。
ボクの心残りはね。キミの最期を見れなかった事なんだよ。
最後に、ボクをぎゅーっと抱いて欲しかった。
最後に、キミの綺麗な目でじっと見つめて欲しかった。
もう叶わないなんて。
だから、ボクもそっちに行きたいな。
迎えに来て欲しいな。
お願いします。
神様。
ボクを、連れて行って。
もうすぐ、キミと会えるね。
そしたら、いっぱいぎゅーっと抱いてね。
そしたら、また綺麗な目で笑ってね。
ずっと大好きだったよ。
キミの事。
――ねぇ。キミは、何でボクを可愛がってくれたの?
ねぇ。キミは、ボクと出会って、幸せだと思ってくれたの?――
キミが、ボクを呼んでる声が、聞こえた。
キミが、ボクを待ってる姿が、見えた。
キミの声が聞こえるんだ。
きっと、キミはボクを待ってるって分かるんだ。
これからはキミと一緒だね。
ずっと、ずっと。
望んでたことなんだ。
キミも思ってくれてるかな?
きっと思ってくれてるよね。
今、行くよ。
待っててね。