第3話「巫女の能力」
涼の能力は、武器の姿形を強くイメージし。
特殊能力の有無を固定して。
魔力を注ぎ込む。
これで、武器が出来上がる。
一度作ったものは記憶に残るため、名を呼ぶだけで何度も出すことができる。
他の魔法使いが呪文を必要とするものが多い中で、涼のこの力はかなりアドバンテージが高いのだ。
そして、そんな武器を二振り携えて涼は飛んでいた。
お互いに高速で移動しているので涼と魔物差はどんどん縮まってゆく。
魔物の大多数は飛行しているが、海中を移動しているもの、海上を走ってきているものもちらほらと確認できる。
「毎回思うけど・・・、海上のやつら戦う前からヘトヘトなんだよね、なんで陸上の塔の周りで戦わないのかな~、
やっぱりバカ?」
そう言いながら涼は背に背負うように魔力を集中させる。
「・・・『シーカ・レイズ』」
シュワァァァァ!
ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンッ!
背後に光の珠が現れた。
といっても、眩しいのではなく、ただ白い球なのだが。
球は現れた場所から動かず、どんどん涼と離れていく。
その球から剣山やハリネズミを思わせる量の、刃渡り15cmはある短刀が次々と出てきた。
短刀はイワシの群れのように集まり球の周りを旋回しながら数を増やしていく。
そして・・・。
涼と魔物の距離が1000mを切った。
「喰らえぇぇぇぇ!」
両手を後ろに下げる。
背で草薙の剣が交差し光を発し始めた。
両腕を伸ばしたまま、体の横から腕を広げるように剣を前へ持っていく。
草薙の剣は光を増幅させて2本の光の柱となった。
次の瞬間、両剣は涼が横に両手を広げきったときに魔物と接触。
ジュヲァァッァァッ!
草薙の剣・絶は光に触れるものを鋭い切り口を残して塵に変えながら。
草薙の剣・乱は光に触れるものをズタズタに千切り、やはり塵に変えながら。
巫女服の防御機能で自分の身体が傷つかない涼は、一気に魔物の群れの中心に向かいながら両腕を前へと動かす。
群れの中心で腕を前に振りぬいたとき。
魔物の群れは扇形にぽっかりと削り取られた空間が生まれた。
草薙の剣の光は収束して、その力を残したまま刀身を光らせるのみとなっている。
「解放」
涼のその一言で、背後で短刀を出し続けていたイワシ・・・、もとい短刀が流れるようにいくつもの群れとなる。
そして・・・。
ドスッ!ドスドスッ!ドスドスドスドスドスドスドスドスドスッ!!
魔物を捕捉しては次々と突き刺さった。
一瞬で魔物の群れは草薙の剣で、腕を、足を、身体を、頭を、全てを削られたもの。
身体じゅうに短刀が突き刺さり短刀の柄を外に向けた、逆針の山のようになったもの。
これらが次々と落下していく。
ここまでの数秒で100体近い魔物を倒した。
涼は、この光景を見て戸惑う後続の無傷の魔物の群れの中心へと踊りこんだ。
「シーカ・レイズ」は、進もうとする魔物と海中及び海上の(バカ)魔物を標的として、川が流れるように短刀を生み出しては逆針の山へと変えていった。
また、生きたまま落下していく魔物にしっかりと短刀がとどめを刺していく。
その針の山となった魔物を見た他の魔物たちは慌てて身をひるがえした。
しかし、それでも短刀は容赦なく近くの魔物を狙い攻撃を続ける。
魔物たちは必死に短刀から逃げようと後方へと移動していき、見つけた。
ただ逃げるだけで苛立ちが募る中、それを発散するための標的。
涼に狙いをつけた。
涼は舞う、その名の通り。
近づいてくる猿と虎を足して2で割って蝙蝠の翼をつけたような魔物を右の剣で袈裟がけに両断し。
その勢いのまま下にいた猫から耳を取りはらったような魔物の首を刎ねる。
空中で前回りの要領で一回転するように回りながら、背後に近寄るボール型の魔物を左手の剣で刺し貫く。
剣が間に合わないときは、足で力の流れをいなす。
バランスを崩した魔物がそのまま、まるで魔物が自ら剣に飛び込むかのように切られていく。
向かってくる魔物を如才なく倒すという戦いを続けた。
はた目からは飛び込む魔物が勝手に剣に体当たりをして死んで行くように見えた。
涼は鼻歌でも歌うかのように軽やかに、淀みのない動きで魔物を狩っていく。
海中・海上の魔物は全滅。
空中にいるのも残り100体程が、短刀に追われて涼の周りにいるのみとなっていた。
「よし、そろそろかな」
涼はそんなことを呟くと草薙の剣を一度瞬かせて消してしまった。
魔物たちは光った剣を見て警戒心を抱く。
しかし、剣が消えると今が好機と一斉に襲い掛かった。
「『天女の羽衣』」
涼は一度ほほ笑むと両腕を左右に広げる、巫女服の袖から白い半透明のリボンが一筋ずつ真っ直ぐ伸びていく。
リボンはその見た目と、柔らかな動きからは想像もできないような鋭さを持って近くの魔物を貫いた。
そのまま貫き続け、何体かの魔物を仲良く串刺しにした。
身動きが取れずに暴れる魔物をしり目に、涼は腕を軽く動かした。
リボンは涼の動きに合わせて動き、魔物の身体をブチブチと引きちぎりながら外へと赤い血や、緑の血、紫の血を滴らせながら飛び出した。
「さあ、終幕だ!」
そう言った涼の巫女服の袖から同じリボンが幾十も噴き出した。
リボンは緩やかに曲線を描きながら。
涼を中心に縦横無尽に動き出す。
魔物たちは成す術なくやられていく。
硬い亀の甲羅のような皮膚を持つ魔物は幾筋も纏まったリボンに刺し貫かれ。
象のような体格に人の手を10本つけたような魔物は抵抗する間もなく両断され。
スライムのように切っても無駄な魔物はリボンが広がり包み込み、さらに何重にも包んだ後に内部が爆散!跡形も残らなかった。
その姿は巫女というには勇猛すぎた。
その姿は戦乙女というには優美すぎた。
その戦いぶりは強靭であり。
その戦いぶりは流麗であり。
猛禽類を思わせる金色の瞳には愛しさすら感じさせ。
幼さの残る顔立ちは美少女と断ずるに申し分なく。
肩口まで伸びる輝き現す白銀の髪を軌跡に残し。
清廉な純白に蒼の筋を持つ巫女服を身に纏い。
醜い魔物の中で舞う姿はどこか雄大である。
人々は教えられなくとも、彼女の戦う姿を見て、
彼女が望もうが望むまいがこう言った。
『白銀の舞姫』・・・・と。
涼はこの戦場を。
目で確認し。
知覚で魔力を読んで認識し。
リボンで触れることで触角を共有しているので感覚が伝わる。
それらを瞬時に理解、判断することで魔物個別に的確な攻撃を行っていた。
その戦況を見るために、涼は舞を踊り続けた。
ここは戦闘区域から10kmほど離れた艦上。
「今日も瞬殺だな」
「あぁ、もうすぐ終わりそうだよ」
双眼鏡を右手に、「5分で終了」という賭け札を左手に持った乗組員が話している。
「それにしても毎回思うけど、あのリボンは反則だな~」
「どんな奴も狙われたら死ぬだろうな」
「ワン○ースのマンガに出てくる自然系の能力者でも勝てないかな」
「いや分からねぇし、けど・・・、勝てねぇんじゃね?」
「なんでよ」
「なんとなく」
「そうか・・・」
「ああ・・・」
実に平和であった。
「これで終わりっと」
最後の魔物を仕留めた涼はリボンを納める。
そして、遠く海上に浮かんでいる軍艦に向かって飛ぶ途中に、『シーカ・レイズ』をしっかりと止めていった。
艦上では皆が喜ぶ中、何人かが手元の紙を見て落胆の表情を見せていた。
戦闘の描写って書くの難しいです。
読みにくかったら申し訳ない。
今回の話で涼の能力がだいたい説明できたと思います。
これからもいろいろな種類の武器や強力な武器を見せていきたいと思うので、のんびりとお待ちください。