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真実  作者: misa
4/5

あれから1週間。


平和すぎる程平和だった。


「あれから刑事さん来ないねー」


由紀が頬杖を付きながら言った。


「来なくて良いよー」


「でも未来に話聞くって事は家にも行ってるのかもね」


「えぇ!」


「だってそうじゃん」


「んー」


そういう風にはなってほしくない。


迷惑なんてかけたくないし。


内心怖かった。


あの2日間いろんな事がありすぎた。


たったあれだけって思う人もいると思う。


でも私にとっては充分すぎる。



その日の放課後の事だった。


「有沢、ちょっと来てくれるか?」


「はい」


由紀が後ろで遂に来ちゃったと言っている。


私はそれを無視して先生の元にかけよった。


「お前、なんかしたのか?」


「な!してないです!!」


「ホントか?」


先生が私の顔を覗き込んだ。


「嘘なんかついてません!」


「分かった分かった。ちょっと着いてこい」


と言って先生は歩き出した。


「あのどこ行くんですか?」


「感付いてるんじゃないのか?」


私は立ち止りUターンした。


「おいおいおいおいおい」


先生はそう言いながら走ってきて、私の手首を掴み止めた。


私は涙が出てしまっていた。


振り向いた私の顔を見て、先生は面食らっていた様だった。


「そんなに辛かったのか。・・・・・・・・・でもな、刑事さんを追い返すわけにはいかんだろう?」


「分かってます。・・・・・・でもなんで私なんですか?私・・・何もしてない」


「・・・・・・そうだよな。有沢が警察に世話になるやつじゃないもんな。・・・よし、分かった!俺が説明してやる!!だから来るだけで良いから。な?」


「分かりました。お願いします」


私は半べそになりながら着いて行った。


私たちは応接室の前で少し深呼吸する。


・・・コンコン・・・


「失礼します」


「私たちはこういう者です」


「あの、有沢が何をしたというんでしょうか?」


「・・・・・・・・・いや、実はこの件についてはお話出来ないんです」


私は落ち込んだ。


やっぱりか・・・・・・・・・。


「先生、もう良いです」


先生の袖を掴みそう言った。


「少し、席を外して貰えませんか?」


刑事さんが先生に向かって言った。


「でも・・・」


「大丈夫です」


私は力強く言った。


もう後戻りは出来ない。


何を言われても落ち込まない。


「そうか、分かった」


先生は出て行った。


「有沢さん、なんで呼ばれたか分かんないよね?」


「はい」


「でもね、ここでは話す事出来ないんだ」


え?


「じゃあなんで来るんですか?」


「君の身辺を少し調べさせてもらったんだ」


今まで話していた刑事さんとは違う40代半ばくらいの刑事さんが言った。


「なんでですか?」


「それが言えないんだ」


「どうしたら良いんですか?」


「署まで同行して貰わなくちゃいけない」


「・・・・・・・・・け、警察に行けば・・・教えて貰えるんですか?」


「教えてあげられる」


「分かりました」


私は行くしかないと思った。


「いつ来れるかな?」


「明日、行きます!学校終わってすぐに伺います」


「迎えに行くようにします」


若い刑事さんが言った。


「良いですか?君はどちらかといえば被害者なんだ。だから・・・」


「被害者なんですか?!」


私は思わず大きな声を出してしまった。


刑事さんはゆっくり頷いて言った。


「だから引け目を感じる事なんてない」


でも何の被害者なんだろう。


「何の被害を受けたのか知りたいんだったら・・・明日来てくれる?」


「行きます。・・・・・・全部話してくれるんですよね?」


40代の刑事さんが頷いた。



応接室を出たところに先生が待っていてくれていた。


「どうだった?」


「明日警察に行きます」


先生は目を見開いて驚いた。


「私被害者らしいです」


「そうだろうな」


先生は納得した様に言った。


「でも内容は明日警察に行かないと言えないらしいです」


私は淡々と説明した。


「そっか」


「はい。もう行くしかないんで。先生は心配しないでください」


私は笑顔で先生にそう言って、教室に向かった。



「由紀ー、どっか行かない?」


「どうしたのー?やけに元気じゃん」


「そう?ねー行こう」


私は子どもの様に由紀を急かす。


「分かった分かった。遊びにいこ」


由紀は子どもをあやす様に言った。


私たちは街でプリクラを撮ったり、買い物やお茶したり久々に遊んだ。


今までのストレスを発散させる様に・・・。


「今日は付き合ってくれてありがとね」


「うん。私も遊びたかったし。・・・・・・・・・なんかあったら言いなよ」


「うん。ありがと。・・・・・・じゃあ、おやすみ」


「おやすみ。気を付けて帰りなよ」


お互い手を振り別れた。


帰っている途中、義人に会った。


「よう。珍しいな」


「義人。うん、ちょっと由紀と遊んでて・・・こないだはごめんね」


「なんでお前が謝るんだよ」


義人が困った様に言った。


「・・・・・・まぁあの事は忘れてよ。また、落ち着いたらコクりに行くから」


「分かった。・・・・・・・・・明日ね、警察行く事になった」


「え、それって・・・」


「私、被害者なんだって」


「そっか。行かなきゃいけないのか?」


「漏らせないらしいよ。分かんないけど」


私は笑った。


私たちの家は向かいにある。


義人は自転車を停めると私の肩を掴んで向かい合わせる形にした。


「未来、お前には俺とか由紀がついてるから」


私に言い聞かせる様に言ってくれた。


「分かった。ありがとう。・・・・・・じゃあ1つだけ、良い?」


「あぁ」


「警察から、帰って来た時・・・誰かに頼りたくなったら、頼って良い?」


「おぉ、いつでも飛びこんでおいで」


と義人は笑顔で腕を広げて言った。


「そうさせてもらう」


私も笑ってそう言った。


私たちは別れてそれぞれの家に入った。

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