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有沢未来 17歳。
高校2年生。
何処にでもいる高校生…のはずだった。
こんな事になるなんて思いもよらなかったよ。
ピーンポーンパーンポーン
「2年4組の有沢未来さん、至急職員室まで来て下さい」
「あれ?未来なんかした?」
親友の由紀がいたずらっ子の様に笑い聞いてくる。
「何にもしてないよー」
私はうんざりした様に答えながら教室を出た。
なんなんだろう。
私、なんかしたかな?
職員室の前で、1つ浅く呼吸をする。
コンコン
「失礼します」
「有沢さん、ちょっと」
入るなり、担任の正木先生が私を呼んだ。
私は恐る恐る校長室に歩み寄り、ゆっくり深呼吸、そしてドアをノックする。
「どうぞ」
奧から校長先生の声が聞こえた。
「し、失礼します」
恐る恐るドアを開けると、校長先生の前に2人男の人が座っていた。
「入って」
校長先生は笑顔でそう言って、部屋を出ていってしまった。
「あのー」
「まぁ、座って」
中年の細身な男の人に声を掛けられ、向かい合っているソファに腰掛ける。
「私たちは警察のものです」
そう言って2人の男の人は警察手帳を開き私に見せた。
……なんか…ドラマみたい
「あー、はい。…どうして、私に?」
「……君の名前は?」
「有沢未来です」
私の質問には一切答えてくれないんだ…
「どういう字書くの?」
「未来と書いてみくです。有沢は有るに簡単な方の」
「誕生日は?」
「6月10日生まれです」
「ありがとうございます」
若い刑事さんが笑顔でお礼を言ってくれた。
「あ、はい。あの、これ何に使うんですか?」
「…うーん、それがまだ言えないんだ。ごめんな」
刑事さんは困った様に言った。
「分かりました。…失礼しました」
あの質問はなんだったんだろう?
何に使うのかな。
私は考えを巡らせながら教室に向かった。
「どうだった?」
由紀は面白そうに聞いてきた。
「ただ質問されただけだった」
「え?何それ?」
由紀は大きい目をさらに大きく見開いて問い詰めてきた。
「分かんないよー」
私も分かんないんだよね。
質問されただけなんだもん。
私は知らなかったんだ。
衝撃の真実だった。