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大嫌いな上司に怒られるたびに、すかしっぺしていたら半年後にばれた

作者: おばれ

営業二課の佐伯には、誰にも言えない日課があった。

嫌いな上司・村井課長に怒られたとき、必ず、すかしっぺをするのだ。


発端はある日、書類の提出が遅れた佐伯が、課長に説教されていたときだった。

背後から同僚がくすっと笑い、それに乗せられるように佐伯は、そっと静かに放った。

課長は何も気づかず、ただ部屋の空気が妙にこもっただけだった。


「……あ、これ、面白いかも。」

以来、佐伯は“怒られたらすかす”を信条にし、半年間、実行し続けた。

プレゼンの失敗、顧客への電話ミス、印鑑の押し忘れ――怒られるたびに、佐伯は無表情で静音攻撃を放ち続けた。

村井課長は「なんか最近、この部屋こもるな」と首をひねるが、原因までは分からない。


そして運命の朝。

前日の取引先へのメールミスで、課長室に呼び出された佐伯は、いつも通り説教を受けながら、例の習慣を発動した。

……が、その瞬間。


「おい、今なんかしたな?」

「え? 何のことでしょうか。」

「いや、音はしなかったけど、空気が…変わったぞ。」

「えっと…エアコンのせいでは?」

「暖房28度でそんな匂いがするか!」

「……じゃあ、机の下にネズミでも…」

「佐伯!」

「……はい。」

「半年も毎回やってただろ!」

「な、なんで知って…」

「昨日、他部署から“説教中に変な匂いがする”ってチクリが来たんだよ!」


佐伯は観念した。

その日、課長室のドアには「空調点検中」の札がかけられ、説教は廊下で行われるようになった。


――静音攻撃、半年で終戦。

ただし、廊下は廊下で、通行人の苦情が増えたらしい。


クスリと笑ってください。笑いという薬を処方します。クスリだけに笑

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