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第一章


 第一章


 1


 ARSS、と呼ばれている組織がある。

 正式名称は『世界警備機関(All Response Security System)』というのだが、この組織は怪物『鵺』を倒すためのものであり、二十万もの特殊能力者(アーベント)によって構成されている。

 このARSSは世界に十二の本部を構えており、アーベントはその内のどこかに所属することになる。

 逆立ったオレンジ髪が目立つ少年ルアン=ラディーベも、ARSS南アフリカ本部に所属しており、本来は南アフリカのどこかで鵺退治に勤しんでいる……はずなのだが実際は少々異なる。

 彼も鵺退治自体には勤しんではいるのだが、その地域は南アフリカに限らない。

 ヨーロッパ、中国、アメリカetc。

 彼は世界中を飛び回って鵺退治を行なっているのだが、それは勤勉だからとかそんなのではなく、ただ『仕事してんだからそれでいいだろーが』という言い訳のための極めて不真面目なものだった。

 彼の目的はただ一つ。

『強い奴と戦って、楽しむこと』。

 そのために世界各地を飛び回っており、つい先日はU.S.A.で遊んできた。

『一通り遊べたな』と思った彼は、無軌道にロシアに移動すると、モスクワに在るARSSロシア本部に訪れて、


「ここは貴様が来る場所ではない。帰れ」


 これ以上ないほどわかりやすい門前払いを食らっていた。


「貴様の話は聞いている。貴様みたいな戦闘狂が立ち入っていい場所ではない」


 そう言い放つのは二十代半ばの背の高い金短髪の女。

 名を、マルファ=イロフスカヤ。

 ARSSロシア本部に所属するアーベントだ。

 彼女の態度はあまりにも厳しく、二十歳にも行ってない初対面の少年に対してはやや大人げの無いものだが、ルアンの『噂』を知っていればそれも当然の反応だろう。

 だが、どんなに威圧をかけられようが、そんなものに大人しく従う少年でなくて、


「さっさと退けよ、女。俺はアンタにじゃなくて、ロシア本部長代理ってヤツに用があるんだよ」


「退くわけないだろ、馬鹿が」


「……はぁ」


 ルアンは溜め息を吐きながら、首をゴキゴキと鳴らす。


「……俺、力ずくってのは好みじゃないんだよな。喧嘩は好きだが、恨みとか鬱陶しいし、後腐れ無い方が断然好みだ。だから、基本的にキチンと口で喧嘩を売ってから喧嘩をしてる」


「そうか。だから?」


「アーベントつー人種は、売った喧嘩はなんだかんだ買ってくれるからありがたいって話で、そもそもの会話すらさせないのは同僚としておかしいだろって話だよ」


「『喧嘩を売るために会話する』ということを堂々と言う奴を通すわけないだろうが、アホか」


「……チッ」


『埒が明かない』。

 ルアンはそう思い始める。

 だから、もう、無理矢理でも――


「――マルファ。一体何してるの?」


 金短髪の女の後ろから、鈴の音のような高い声が響いた。

 マルファは苦虫を潰したように顔を顰めながら後ろに振り返る。


「……『不良』を追い返してたところだ。それより何故ここにいる、本部長代理?」


「事務仕事終わってちょっと暇でね。そんな時に、『客人』が来たみたいだったから」


 マルファの後ろから、鈴の音のような声の主――腰まで伸ばした青白い髪が目立つ少女が現れた。

 彼女の名前はアンナ=ヴェルデニコフ。

 十八歳という若さにして、ARSSの十二しかない本部の一つを任されているロシア本部長代理である。


「あなた、私に用があるんでしょ。ついてきて」


「本部長代理!」


「大丈夫。『そんなに』危ないことするつもりないから」


「……」


 マルファはまるで『こうなるのが嫌だったんだ』と言わんばかりに額に手を当てる。

 そんな彼女の横を通り過ぎ、そのままルアンの横も通り過ぎて、


「私の後ろについてきて」


 そう言ってスタスタと歩き出した。


「……」


 途中まで思いっ切り難航していたのに、いきなりすんなり話が通ってルアンは面を食らう。

 だが、文句を言ってもしょうがないどころか、望み通りの展開だったため、ルアンは黙って金短髪の女に背を向けて、青白い髪の少女アンナのあとについて行った。




 2


「……あ、そういえば」


 真っ白な雪道のど真ん中で、前を歩いていた少女が振り返る。


「確認するの忘れてたけど、あなたの目的って、能力を使った喧嘩で合ってるよね?勿論、殺しは無しの」


「……ああ、そうだ。お前と闘り合うために俺はここまで来た」


「そう。……思い込みで間違えてたらどうしようと思った、合ってて良かった」


 そう言うと少女は微笑みを浮かべ、顔を前に戻し歩みを再開する。

 そんな少女の様子はあまりにも穏やかで、『本当に喧嘩するつもりあるのだろうか』とそんなことまで思ってしま――。



「Bwooooooooooooooooo!!!!!」



 何かの、叫び声が聞こえた。

 それは明らかに動物のものでも、ましては人間のものではなかった。

 異形の怪物。

 鵺。


「!!」


 ルアンは声の元……上空数千メートルに目を向ける。

 すると、そこには、旅客機もかくやというほどに大きさの、獅子の顔を持つ怪鳥型の鵺が居た。


「……数十キロ先で鵺が現れた報告あったけど、取り逃しちゃってたみたいね」


 アンナはのんびりした様子でそう呟く。

 直後、その少女の言葉が聞こえたわけではないだろうが、五十メートルほどの大きさを誇る怪鳥が、二人に向かって落下してきた。


「……ハッ」


 ルアンは鼻で笑いながら己の手を横に向け、『能力』を発動しようとする。

 しかし、それより先に、


「私がやる。強いらしいといっても、あなたは一応『客人』だしね」


 青白い髪の少女が、一歩前に出た。


「Bwooooooooooooooooo!!!!!」


「……」


 彼女は右手を、叫び声を上げながら向かってる巨大な怪鳥に向ける。

 そして、



「狂気解放――」



 己が異能を解き放つための、祝詞を囁いた。



「――『凍氷の主(モイニョート)』」



 アンナの周辺に、数メートルの大きさの氷塊が十個ほど現れる。

 花のように広がった十の氷解は一瞬にして砕け散り、無数の細氷の礫となり吹雪と化して怪鳥型の鵺に向かう。

 怪鳥は自身に向かってくる吹雪に対して何かしらの反応をしようとするが、それよりも早く無数の細氷が怪鳥を包みこみ、外から中にかけて怪鳥の全身が一瞬にして凍結される。


「――よし、と」


 そう言いながら青白い髪の少女は、広げていた右掌を閉じる。

 すると、空中で氷のオブジェと化していた怪鳥が、粉々に砕け散った。

 鵺は高い再生能力を持つが、そんなものを完全に無視してしまうほどの、完璧で明確な瞬殺。

 そんな少女の戦闘……いや『処刑』を見たルアンは、


(……今の、中級(オルデン)なら、ちょっとは手こずるぐらいの鵺だったろ)


『ロシア本部長代理は強力な氷使いらしい』と聞いてはいたが、想像以上だったようだ。

 つい、オレンジ髪の少年の口角が上がる。


「……報告、完了っと」


 アンナは『鵺討伐』の旨を携帯端末で情報管制にメッセージを送ると、


「待たせてごめんなさい。早く、行きましょうか」


「おう」


 短く言葉を交わし、二人は歩みを再開させた。

 そんな二人の様子は、さっきの怪物程度は何でもないことのようだった。




 3


 ARSS本部には、それぞれ訓練所がある。

 訓練所と言っても、その大部分が巨大なグラウンドみたいなもので、そこでアーベントは主に能力を試し撃ちや練習をするが、極一部のアーベントは能力による模擬戦を行う。

 ここに居る二人の少年少女がやろうとしているのも、正に『それ』だった。


「丁度、人が居なくて良かった。他の人の被害を気にしながら戦うのもなんだしね」


「そうだな」


 ロシアの寒空の下で、アンナとルアンは三十メートル離れた距離で会話する。

 とはいえ、その時間は、


「じゃ、()ろうぜ」


「うん、()ろっか」


 十秒にも満たないものだった。

 オレンジ髪の少年が、右手を横に向ける。

 青白い髪の少女が、右手を前に向ける。

 そして、



「狂気解放――『虹の武器(セブンアーツ)』!」


「狂気解放――『凍氷の主(モイニョート)』」



 己が狂気(いのう)を、全力で解放した。





 アンナの周りに、巨大な氷の花が咲く。

 直後、その花は粉々に砕け散り、怪鳥だろうと容赦なく凍らせる地獄の吹雪がルアン=ラディーベに向かって吹き荒れる。

 普通の人間なら、いやアーベントでさえも確実に死んでしまうような攻撃。

 しかし、それをオレンジ髪の少年は、


「オラァ!」


 力技で、突破した。

 ルアンは右手の中に現れた戦鎚を両手に握り締め、勢いよく真下に振り下ろす。

 すると、まるで大量のダイナマイトが炸裂したかのような大爆発が起き、それによって生じた突風が吹雪の軌道を捻じ曲げることでアンナの必殺の異能を回避する。

 これが、『虹の武器(セブンアーツ)』。

『七つの特殊武器を作り出す』というルアン=ラディーベの固有能力である。


「行くぜッ!」


 ルアンが武器を戦鎚から直槍に切り替え、それを前方に向けて突く。

 アンナとの距離が三十メートル離れていることを考えるの無意味な行動のように思えるが、ルアンが持つ直槍はただの槍ではない。

虹の武器(セブンアーツ)』の槍は、少年の意思のままに伸びる如意の槍である。


「!」


 自分の腰あたりに向かって弾丸のように突き進む穂先に気付いたアンナは、直ちに分厚い氷の盾を己の前に張る。

 三十メートル伸びた槍の穂先はその氷に当たると、氷の盾の表面を滑るようにして地面の方に穂先が向かう。

 正に、その瞬間、


「ハッ」


 ルアンは短く笑うと、槍を横に払う。

 すると、丁度地面に向かっていた槍の棒の部分がアンナの足首に勢いよく当たる。


「……!」


 足払いを受けたアンナは転びそうになるが、下半身と地面を氷で固めることで何とか体勢を崩すことを回避する。

 しかし、


「――俺の勝ちだな、アンナ=ヴェルデニコフ」


 青白髪の少女の首元には、直槍の穂先が向けられていた。

 アンナが転ばないことに意識を向けた隙に、ルアンはすぐさま槍を手繰り、少女の首の方に槍の向きを変えていたのだ。

 明らかに命を奪える体勢。

 つまりは、これにて決着。

 中級(オルデン)の中でも強者とされる二人の決闘は、少年の勝利という形で呆気なく終わった。


「……ハッ」


 ルアンは短く笑うと、直槍を虚空に消滅させる。

 その直後、


「――もう一回」


「あ?」


「もう一回、()ろう」


 先程まで首元に槍を突きつけられていた少女は、指を一本立てながらそんなことを言い放った。


「……本気か?」


 ……ルアンは今まで色んなアーベントと喧嘩してきたが、喧嘩が終わった直後に『再戦しよう』なんてこと言ってきたアーベントは初めてで、少なからず困惑する。

 そんなルアンに対してアンナはしっかりとした様子でコクリと頷くと、自身の下半身を覆っていた氷を溶かし、決闘始めた時と全く同じ体勢――つまり戦闘開始の体勢を取った。


「……ハッ」


 喧嘩が終わった直後と同じようにオレンジ髪の少年は笑う。

 しかし、明らかに、今の笑みの方が口角が鋭く上がっていた。

 だから。


「いいぜ。もう一回、()るか」


 ルアンも、先程と全く同じ構えを取った。


「狂気解放――『虹の武器(セブンアーツ)』」


「狂気解放――『凍氷の主(モイニョート)』」


 二人はタイミングを合わせることもなく、同時に能力を発動する。

 ルアンの右手に握られているのは巨大な戦鎚。

 先程と同じように、吹雪が来たら吹き飛ばすためだ。

 それに対し、アンナは、


「……っ」


 やはり先程と同じように吹雪をルアンに向かって吹かす。

 しかし、一つ違うのは、それが正面からではなく左右と上から迫っていることだ。


「……ハッ」


 確かに、戦鎚でこれは捌ききれない。

 どれか一方の吹雪を防いでも、残りの二方の吹雪によってルアンは凍らされてしまうだろう。

 だから、ルアンは、


「よっと!」


 そんなこと言いながら真っ直ぐ目の前に向かって走る。

 その彼の手に戦鎚はもう無い。

 オレンジ髪の少年の腕には籠手が、そして脚には脚鎧があった。

『身体能力を上げ、触れたものを弾く』効果を持った籠手と脚鎧だ。


「ハッ!」


 ルアンは笑いながらアンナに向かって駆ける。

 それに対しアンナは、


「ふっ……」


 正面に向かって、更に吹雪を追加した。


(当然そうするよなぁ!)


 囲うように吹雪をし逃げられなくしておいて、正面から攻撃しないわけがない。


「ハッ!」


 ルアンは笑いながら籠手に包まれた腕を使って四方から迫る吹雪を弾く。

 そうしながら、足元の大地を蹴り、高速でアンナの元に接近しようとする。


「ハハッ」


『近付いた時が決着だ』と思いながら、真っ直ぐに突き進んでいたその時。


「……ッ!」


 アンナは足場に巨大な氷を作り出し、己の体を凄まじい勢いで押し出した。


「は!?」


 駆けるルアンは困惑する。

 こう言ってはなんだが、接近戦だと明らかに自分の方に分がある。

 なのになぜ、そんな自滅めいた真似をー。

 ルアルがそう思ったのと同時に。

 オレンジ髪の少年の右脇腹が、弾け切れなかった吹雪によって凍らされた。


「チッ!」


 自分のミス――いや、認識不足にルアンは舌打ちする。

 青白い少女は、何も勝負を捨てたわけではない。

 距離を狭めることで、攻撃の密度を上げたのだ。


「……やるじゃねぇか」


 ルアンは腕と脚を止めず、一言だけそう呟く。

 それに対して、アンナは返事をしない。

 ルアンも言葉を続けない。

 なぜなら、長くベラベラ喋ったところで、致命的な隙を生むことにしかならないからだ。


「……ハッ!」


「……っ!」


 アンナは氷の足場を大きく前に進ませることで吹雪の密度を高める。

 ルアンは強化された脚で大地を駆けながら、強化された腕で吹雪を弾く。


「……!」


 弾き切れなかった吹雪で、ルアンの全身のあちこちが凍っていく。

 しかし、ルアンの脚は止まらない。

 吹雪が段々と激しくなっていくにも関わらず、前に突き進む。


「……ハハッ!」


「……っ」


 少年と少女の距離が、加速度的に縮まる。

 少年から見れば、これ以上近付けば更なる吹雪で全身が凍りつくことによる敗北が。

 少女から見れば、これ以上距離が縮まり接触したら少年に殴り倒されることによる敗北が待っている。

 それなのに、互いに脚を止めず、相手に向かって突き進む。

 だから、ある意味、こうなるのは当然の結果だった。


「……」


「……」


 オレンジ髪の少年と青白い髪の少女の距離は一メートルもない。

 そして、少年の肉体は八割近く凍っており。

 凍ってない少年の右拳は、少女のこめかみに触れる直前まで迫っていた。

 どちらも、一瞬後には相手の意識を刈り取れる。

 つまりは、引き分け。

 それが、オレンジ髪の少年と青白い髪の少女の再戦の結果だった。


「……」


「……」


 二人は互いの息が相手にぶつかる距離で、相手の瞳を見つめ合う。

 次の瞬間。

 二人とも指を一本立てて、こう呟いた。



「「もう一回、()ろう」」




 4


「はぁはぁ、っはぁ」


「……っはぁ……」


 オレンジ髪の少年と青白い髪の少女が息を切らしながら汚れることも気にせず雪の大地に転がる。

 結局、十戦も闘った。

 結果としては、ルアンの四勝、アンナの三勝、三引き分け。

 つまり、ルアンの方が一回多く勝てた計算になる。


「……悔しい……」


 仰向けに寝転がりながら、アンナはボソリとそう呟く。


「……ねぇ、ルアン君」


「はぁはぁ……なんだ?」


「あなた、いつまでこっちにいるの?」


「……は?」


「もしかして、明日には別のとこ行くとか、そんなこと言わないよね?」


『勝ち逃げは許さない』と、言外にそう語る。

 だが、それは、


「……俺みたいなの、追い出さなくていいのかよ?俺は別の本部のアーベントだぞ」


 ……ルアンは黙認されているとはいえ、ARSS南アフリカ本部の業務をサボっている形だ。

 そんなルアンを前にした他本部の本部長代理の正しい対応としては、さっさと少年を追い出すことだ。

 なのに、横で寝っ転がる少女は、


「別にどうでもいい」


 軽々しく、そう言い切った。


「負けっぱなしなのが悔しいし、何よりルアン君と闘うのは鍛錬として一番良さそうだしで、私としてはルアン君にはまだ居て欲しいと思う」


 青白い髪の少女は、本部長代理としては不適切なことを堂々と言い放つ。


「……お前、結構自分本位な奴なんだな」


 ルアンはニヤリと笑いうと、上体を起こしてアンナを見下ろす。


「お前みたいな自分勝手な奴、嫌いじゃないないぜ」


「私はあなたみたいな人好きよ。一生懸命がんばってるのがわかるから」


「……どこかだよ」


 ルアンは嫌そうに顔を顰める。

 それに対してアンナは笑いながら、


「あなた、『遊び』って言って喧嘩吹っかけてるみたいだけど、本当は修行目的でしょう?手段は褒められたものではないけど、強さを求め続けて努力するのは良いことだと思う」


「……なんでそう思った?」


「勘」


「そうかよ」


 ルアンは適当に吐き捨てるが、肯定も否定もしない。

 なぜなら、アンナの言葉は図星そのものだったからだ。


(だと言っても、遊びなことには変わりねーっての)


 ルアンはぼんやりと、暗くなった空を見上げる。

 そして、三秒ほどだけ考えて、決めた。


「――わかった。あともう少しだけ、この辺に居てやる」


 ――アンナ=ヴェルデニコフは、強い。

 ここ最近戦った相手では最も強く、故に戦う相手として……鍛錬の相手としてもってこいだと思ったのだ。


「そう。良かった」


 アンナはまるで『そう答えられるのが当然』みたいな態度で頷きながら、ゆっくりと立ち上がる。

 そして、ルアンに手を差し出して、


「ようこそ、ロシア本部。ゆっくりと、遊んでいって」


「……飽きるまで、な」


 ルアンは適当にそう返して、アンナの手を取ることなく一人で立ち上がった。





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