第8話 聡美曇らせ回避
部活動の時間が終わり、百合とバスケ部の聡美を一緒に見学に行こう言い体育館に向かう。
体育館に着くと邪魔にならない様にして見学している。
「理沙ちゃん、さっきはありがとね」
「ん?何のこと?」
「ほら、私が秋先輩に絡まれてる時助けてくれたじゃん・・・」
「知らなーい」
ちょっと照れ臭くなり誤魔化す。
しばらく雑談しながら女バスを見学していると、何故か男子バスケのイケメンと噂の先輩が声をかけてきた。
「君達もバスケ部を見に来たのかい?良かったらもっと中に入っていきなよ」
イケメン(笑)先輩の方を振り向きもせずそう答える。
「いえ、女バスを見に来たのでここでいいです」
「女バスよりも男バスの方がスピード感もあって面白いよ?」
尚も食い下がってくるイケメン(笑)先輩。
「いいえ、スピードも技術的にも全く変わりありません、それなら女バスを見てた方が、皆可愛くて華があるので目の保養にもなります」
百合を挟んで言い合う。
「遠慮しなくてもいいんだよ?」
「別に遠慮してないです、早く練習にもどってください」
先輩と俺に挟まれた百合があわあわしている。
「もう、つれないなぁ、じゃあこっちの君はどうかな?」
そういってイケメン先輩が百合の頭を触ろうとしたので、即座に百合の手を引き俺の後ろまで引っ張る。
「えっ、えっ!?」
百合は何があったのかわかって無い様だった。
「百合に触らないでください、痴漢と大声をあげますよ」
「くっ、まあいいや、気が向いたら声かけてよ」
そういって悔しそうにイケメン(笑)先輩が離れていく。
「な、何があったの?」
百合は未だに状況を把握できてないようなので説明する。
「あの腐れ外道先輩に百合の頭を触られそうになったんだよ」
「ん?確かにあんまり良い気はしないけど、そこまで大袈裟にすること?」
何もわかってない百合に溜息を吐きながら向き直り百合の両頬を軽く、むにっとさせる。
妹にしている教育を百合にもする事にした。
「いい?百合、良く覚えておきなさい!男なんて奴は女の子の頭をぽんぽんする事しか頭にないの!ぽんぽんすれば簡単に女の子は堕ちるとか考えてるの!常日頃から今日のぽんぽんはどの子にしようかな?今日はどんなぽんぽんしようかな?とかそれしか考えられない悲しき獣なのよ」
「ぽんぽん・・・」
「そう!ぽんぽん!ほんと男って奴はしょうもない!気軽に女の子の頭ぽんぽんしようとするんじゃねーっての、予備動作は笑顔で近づいて手をこちらに伸ばしてくることだからちゃんと回避行動をとる事!バックステップが有効です!」
「よびどうさ・・?ばっくすてっぷ・・?」
「まったく、隙あらばすぐぽんぽんしてくるんだから、絶対に気を付けなさいね?百合なんてぽんぽんされたら、すぐにポン堕ちして相手のいいなりになってしまうんだから」
「ポン堕ち・・・いいなり・・・」
百合は真剣に聞いているようで俺の言葉の一部を復唱している。
説教の間も百合の両頬をむにむにさせる。
意外と癖になるなこれ。
「ちょ、ちょっと理沙ちゃんほっぺたむにむにしないでよ」
我に返った百合が抗議してくる。
「じゃあ私のほっぺたも触ってみる?」
「何でそうなるのよ、でもちょっと触ってみたいかも」
「ん、どーぞ」
お互いのほっぺたを触りあう二人、当然周りからみたらイチャイチャしてるように見えるわけで。
「さっそく見学始めたと思って張り切ってたら、わざわざ私に見せつけるようにイチャイチャし始めて、君たちは嫌がらせに来たのかな!?ほら二人もっと距離とって!百合ちゃん気を付けてあんまり理沙に近付くと堕ちるよ!でもさっきの腐れゴミクズ野郎から百合を守ってくれてありがとう!」
一旦休憩になったのか聡美が飛んできた。
「堕ちっ、わ、私聡ちゃんみたいにそんなチョロく無いもん!」
「私もチョロくないから!」
「まあまあそんな言い合いしてないで、折角二人で聡美のカッコいい所見に来たんだしみせてよ」
「それじゃあイチャイチャしないで大人しく見学しててよ・・・」
「はーい」
今日ここに百合と一緒に来たのは勿論理由がある。
聡美が好きなバスケで初っ端から骨折をして部活を休んでしまう事になるからだ。
ボールを追いかけて壁に激突してしまう予定なので壁があるゴール付近で見学している。
しかしバスケコート付近に壁は二箇所あるので、反対側だった場合は防げない、その為怪我した後の介抱要因としても百合を連れてきた。
怪我しても百合を付けとけば多少は癒されればいいなって感じだ。
聡美を常に注意してじッと観察する。
聡美は本当にバスケが好きな様で楽しそうで、それでいて真剣にプレイをしているようだった。
俺も何かスポーツやってみたいな・・・。
その時だった、聡美がボールを追いかけてこちらに走り込んで来る。
聡美がボールがラインを切る前にボールをコート内に戻す。
だがそのままだの勢いだと壁に激突する。
百合が「聡ちゃん!!」と叫んでいる。
わかっていた事なので壁に突っ込みそうな聡美に瞬時に近づき横から抱きしめて少し持ち上げ、勢いを殺すため立ったまま1回転して受け流す。
勢いは全然違うが妹と似たような事を何度かしてるのでスムーズに出来た。
想定より重たくて体勢を崩してお姫様抱っこの体勢になってしまったが不可抗力だ。
聡美は何が起きたのかわからなくて呆然としているようだ。
そのまま立たせて百合の方に戻ると「理沙ちゃん凄いね」と言って目をキラキラさせている。
そんな様子が可愛くて自然と顔がほころぶ。
近づいて百合の頭をぽんぽんっとして定位置の百合の隣に戻る。
百合が両手で頭を抑えながら小声で「えがお・・・ぽんぽん・・・・」といっているが、意味がわからないので無視だ。
そんな俺の様子を聡美はぼーっとしながら目で追っていた。
程なくしてバスケ部の練習試合が終わったので、もう怪我をする事も無さそうなので、聡美に手を振ってから帰る事にした。
百合はそのまま聡美が部活が終わるのを待って一緒に帰るらしい。
帰り際百合頭を触ろうと微笑みながら腕を伸ばしたら素早い動きでバックステップしてかわされた。
俺何かしたのだろうかと疑問に思ったがまあどうでも良いやと思ってそのまま手を振り帰路つく。
家に帰ると妹がダッシュで近寄ってきて飛び付いてくる。
俺は少し横にズレてから妹を持ち上げ一回転して受け流しその場に立たせる。
何故かこれが最近妹のお帰りの挨拶のブームらしい。
最初の頃は正面から受け止めて倒されそうになり、結構危なかった。
でもそろそろ妹に身長抜かれそうなので止めて欲しい。
いつか失敗して大怪我するから。
「お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃん、クンカクンカ、すぅーーーーーーーーー、うヘヘ」
妹が変態見たいになってる、全く誰に似たのやら。
「麻衣ちゃん麻衣ちゃん麻衣ちゃん、すぅーーーーーーーー、ぐへへ」
うん、相変わらず妹吸いは脳が蕩ける。




