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第43話 入院生活2

 3日目から病室が一般病棟に移った。


 理由はわからない。


 俺が看護師さんにセクハラばかりしてたことが原因では無いと思う。


 患者さんが4人で一部屋の病室だった。


 一応カーテンで仕切られているので、隣の人は見えない様になっている。


 隣の患者さんの声は何となく聞き覚えがあるが、声を潜めていて良くわからない。


 若い女の子のお見舞いも来ているみたいだ。


 その子の声も聞き覚えがある。


 あと俺の所には誰かが交代で見舞いに来る事になったと香織さんに聞いた。


 理由はわからない。


 監視されるわけでは無いと思う。


 一番手は恵だった。


 何故か朝早く面会時間より前から来てくれて、少し距離を取り椅子に座り、無言でジトッとした目でずっと見つめてくる。


「め、恵もっと近くに来てお喋りしようよ」


「・・・」


 この様にずっと無言で見つめてくるだけだ。


 看護師さんが来た時は近寄り至近距離で見つめて圧を掛けてきた。


 これは監視ですね。


 恵は結局一言も喋らずに2時間程すると次の人と交代して帰った、学校のジャージを着ていたので部活に行ったのだろう。


 交代でお見舞いに来たのは聡美だった。


 恵と同じで少し離れた所から、無言で見つめてくるだけだった。


「さーとみ!お話しよ!」


「・・・」


 無視だった。


 お見舞いに来ておいて無視するとか新たなイジメなのかもしれない。


 無言でジッと見つめてくるので、こちらもジッと見つめ返す事にした。


 次第に聡美の顔が赤らみ始めて俯いてしまった。


 勝った。


 ーー


 次は百合だった。


「対よろです」


「・・・?」


 この子は聡美よりチョロいから余裕だ。


 頭撫でて、わしゃわしゃとしてやれば堕ちるだろう。


 百合も同じ様に距離を取り、遠くからジトッと見つめている。


「ゆりちゃーん!ほら、おいでおいで」


 手を広げて呼び込む。


「・・・」


 予想に反して胸に抱き着いてこなかった。


 それどころかちょっと眉間にしわが寄った。


 何だか怒らせてしまったようだ。


 仕方がないのでいつも通り百合ハラしようと思って近づく。


 バチバチッ!


 威力弱めのスタンガンで威嚇してきた。


 病人相手になんて奴だ。


 退院したら百合ハラで足腰立たなくしてくれるわ。


 今は分が悪いので大人しくベッドに戻った。


 意外と百合は強敵なのかもしれない。


 スタンガンを懐にしまってまた見つめてくる。


 患者衣をはだけ下着もずらして百合に見せつける事にした。


 顔が少し赤くなった。


 これなら行けそうだ。


 百合の顔を見ながら自慰をする振りをする。


 次第に顔を真っ赤にして涙目になってきた。


 演技で悩まし気な声と表情をしてみた。


 百合は完全に俯いてしまってしまいにはどこかへ行ってしまった。


 勝った。


 その後、涙目になって帰って来たので、楽しくなってもう一度同じ事をしてあげる。


 あれ、効き目が薄い・・・?


 魂が抜けたように無表情で見つめてくるようになった。


 何か怖いから本当にやめてほしい。


 ーー


 次は琴美先生が百合と交代で来た。


 先生は普通に話し掛けてくれた。


 でもノートパソコンとお仕事を持ってきた。


 まあ暇だし丁度良かった。


 だがセクハラ出来ない。


 何故か最近琴美先生はセクハラするとスイッチが入ってしまう。


 是非とも入れたい所だが突っ込み役が居なくなってしまうと仕事にならないし、こんな所で歯止めが効かなくなって、おっぱじめるわけにはいかない。


 普通に一緒に仕事して終わった。


 ーー


 玲香は説教から始まった。


「ねえ理沙」


「はい」


「私前に言ったよね?女の子をあんまり誘惑しすぎない方が良いって、恵はまだ何とか大丈夫そうだけど、琴音先生をこれ以上誘惑すると大変な事になるから気を付けてね?」


「はい、でも琴音先生ならそれでも良いかなと思っていますので、これからもセクハラしたいと思いますです」


「さて、女の子にセクハラを繰返す理沙にはおしおきが必要かな?」


「あ、大丈夫だと思います」


「琴音先生が何だって?」


「これ以上琴音先生を誘惑しないように気をつけます」


「はい、よろしい、でも看護師さんにセクハラを繰り返した、理沙にはお仕置きをします」


「玲香さんそれでは話がちが、むぐっ」


 2時間程色々なお仕置きをされた、でもまたお仕置きをされたいと思ってしまった。


 ーー


 みんな交代では来てくれたけど、締めの監視は母と妹だった。


 ママは来て早々に問い詰められた。


「何で理沙はそんな事ばかりするの?あんたは時と場所を考えなさい!」


「入院してる今この時この場所でしか出来ないじゃん!」


 ゴツンッ!


 反論したら頭に強めの拳骨が落ちた。


 たん瘤ができて妹がずっと撫でてくれた。


 腹パンじゃ無くて良かった、今ママに腹パンされると傷口から何か出て来る。


 そして妹は来て早々俺の患者衣のしたから、中に入ろうとしてきた。


「お姉ちゃん!この服中に入れない!」


 グリグリとお腹と服の間に頭をねじ込んでくる。


「あ゛だだだだ!麻衣ちゃん駄目!そこで暴れると傷口が開いちゃうから!」


 仕方が無くタオルケットの中で許して貰った。


 面会時間が終了しても俺のタオルケットの中に隠れていたが、あっけなく看護師さんに見つかって追い出させていた。


 看護師さんが包帯を変えるとき血が再び出てて少し悲鳴をあげてた。


 あと妹は暇つぶしに本を買ってきてくれた。


【妹のスープ】【目指せ妹マスター!妹の堕としかた百選】【妹の心臓を食べたい】


 俺は妹に何を求められてるのだろう。


 妹の鞄にまだ一つ本が残っているので覗き見た。


【姉の完全飼育マニュアル】


 俺は何も見ていないことにした。


 あと俺の愛用しているピンク色のマッサージ機も持ってきてくれた。


 病院で使用するつもりも無いし、何で妹が隠し場所を知っているのか気になったが、取り合えず受け取っておいた。


 面会時間が終わり監視がいなくなって、やっと隣のベッドを覗けるようになった。


 カーテンをこっそりめくって見るとやはり佐夜子だった。


 声かけてみる。


「佐夜子さんですよね?私理沙ですが覚えていますか?」


 突然話かけられて驚いてこちらをみる佐夜子。


「勿論ですよ、お墓参りの時は凄く印象深かったですし」


「あれからお財布はちゃんと大きくしましたか?」


「ふふ、またあの人と同じようなことを言うんですね、残念でした、お財布の大きさは変えてませんよ」


「もう、また落としちゃいますよ!」


「その時はその時です」


「そういえばどうして入院してるんです?」


 見た感じ佐夜子の左手が骨折している。


「ちょっと仕事でミスしちゃってね」


 どうせ昔見たいに転んだんだろ。


「仕事でミス?保育園で転んだんですか?」


「保育園?転んだのは確かだけど私が保育園で働いてたのはもう昔の話よ、何で理沙さんがその事を知っているの?」


「あ、ああ!何か勘違いしてました、子供が好きそうだったから保育士をしているのかと思いました」


「そう?確かに子供は好きですが、今は事務職とコンビニのアルバイトを掛け持ちしてるんです」


 そうか・・・、夢だった保育士の仕事だけじゃ、やっていけなくなって掛け持ちできる仕事にしたのか。


「また余計なお世話だと思いますが、働き過ぎじゃないですか?」


 うーん?俺の貯金って葵が大きくなるくらいまであった気がしたんだが・・。


「良いのよ、もう少し葵が大きくなれば、今の仕事を止めてまた保育士の仕事に戻る予定ですので、今はまだこうでもしないと生活出来ないのですよ」


「少し突っ込んだことを聞いてしまいますが、昔の旦那さんの遺産とかは無かったんです?」


「え?えぇ・・・、遺産と言える物は殆ど無かったのですが、生命保険はありましたので数年は持ちました、こんな話理沙さんに言う事ではないですね」


 遺産が殆どない?貯金3000万はあったはずだぞ、どういう事だ・・・?


「ここまで聞いたついでに聞かせてください、旦那さんの貯金は無かったんですか?」


「貯金ですか?私と主人は一つの共通口座を使用していたので貯金はそこにあるのしかありませんでしたよ?」


 ああああああ!忘れてたわ、貯金があるのってコッソリと自分で口座作って給料の半分を入れてた自分用の貯金だわ。


 どうしよ?15年経ってもまだ遺産って相続できるのかな?確か暫く取引が無い貯金って休眠されるけど手続きすれば引きは出せるはずだ、出来たとしてどうやって伝えよう?ふーむ?


 通帳も家にはあるが、隠してあるしなぁ、引っ越しとかで家中ひっくり返さんと見つけれないだろうし。


「話は変わりますが、引っ越しとかする予定あります?」


「本当変わりますね?あの人と暮らした家ですので私だけでも死ぬまで暮らすつもりですよ」


「そうですか・・・」


 その後は当たり障りの無い世間話をして終えた。


 ーー


 その日の夜中、微かに佐夜子のベッドから声がするのでこっそりと覗いて見る。


 小刻みに震えている、泣いて居るのだろうか?


 まだ何かをずっと呟いているので、耳を澄まして聞いてみる。


 前世俺の名前をずっと繰り返しているようだ。


 目を凝らして見ると涙は出ていない。


 目を瞑って顔が火照っている。


 左手は下腹部の当たりでもぞもぞしてる。


 あ、これ致しているわ。


 入院中でも我慢出来ないくらい欲求不満なのかよ!


 そっとベッドに戻って寝ることにした。

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