第19話 冴先生とお昼
シートベルトを着けると発進する。
「先生って車弄ってるんですね、好きなんですか?」
(美人と車に二人きりって興奮する!)
「わかるのか?若いのに珍しな」
「私も好きなので車高も擦らないギリギリまで低いですし、タイヤもインチアップしてますよね、あとシートとかの内装も凄くこだわってます」
「お前、流石に車は乗ってないよな・・・?」
ーー
楽しく会話しながらあっと言う間に目的地に到着した。
「お、空いてるな」
「良いですね、早速入りましょう」
「待て何故手を繋ぐ?」
「デートの基本ですよ」
そのまま手を繋いで店に入店する。
「カップル2人です」
「ちょ」
「に、2名様ですね奥のお席へどうぞ」
席に着くなり先生からクレームを頂いた。
「おい、変な目で見られたじゃないか」
「先生ダメですよ偏見は、今は女同士でも立派なカップルなんです」
「いや理沙と私じゃただの親子にしか見えないからな?」
「先生これ美味しそうです!これも!」
メニューを見ながら目をキラキラとさせる俺。
「全く聞いてないし・・・」
先生は溜息を吐きながらも何処か楽しそうだった。
注文を終えて料理を待っていると。
「理沙って本当不思議なやつだな、いつも学校じゃ成績上位の優等生なのに、今日みたいに暴徒のような不良っぽい所もある、更には大人顔負けの色々な知識もあるし、後は変態セクハラオヤジの面もあるな、中学生の時女子生徒数名の下着盗んだんだってな?」
「・・・中学の先生方にはやはり教育が必要ですね、流石に私も反省しましたしもう下着泥はしません、でも女子高生の下着欲しいです」
「女子高生ってお前も女子高生じゃないか」
「自分下着じゃちょっとしか興奮出来ないんですよ」
「ちょっと興奮出来るのに驚きだよ」
「あ、あの」
「どうした急に恥ずかしそうにモジモジして」
「冴先生の下着も欲しいです!」
「はぁー、今度気が向いたらな・・・」
「え、本当ですか!ダメ元だったんですが最高です!」
「全くこんなおばさん下着で何がそんなに嬉しいんだか」
2人分の料理が来たので食べながら会話する。
「むぐむぐ、冴先生はまだ全然おばさんじゃありません!私が男だったらほっときませんよ!」
「・・・本気言ってそうだな、なんだ歳上が好きなのか?」
「守備範囲が広いだけです、女性だったら10から45、いや先生みたいに綺麗な人なら50でも範囲内です」
「っ!?全く、お前は大人をからかって」
先生の顔が紅く染まる。
「からかってないですよ、先生は恋人とかいないのですか?」
「ああ、特に気にせず過ごしてたら、いつの間にかこの歳になってしまってな」
「結婚願望とかはないんですか?」
「あぁ、無いというよりこの歳になるともう諦めてしまっててな・・」
「出来るならしたい感じです?」
「出来るならな、子供は好きだし」
「まあ好きじゃなきゃ先生みたいに生徒に対して真剣に慣れませんよね」
「そうってくれると嬉しいよ」
本当に嬉しそうだ、ちょっとかわいい。
「先生!はい、あーん」
食べていた料理を一つ箸で掴んで先生の口に近づける。
「ば、馬鹿者、こんな所ではしたない真似するんじゃない」
先生が慌てて止めてくる。
「はい、あーん!」
ここは押してみる。
「うぅ、あむ、むぐむぐ」
諦めて食べてくれた。
「わーい、先生と間接キッス出来ました!」
「ぶほっ、変な事言うんじゃない」
先生が凄く恥ずかしがってる。
「そんな恥ずかしがられるとこっちまで恥ずかしくなっちゃいますよ、そんなキスなんて先生くらいの美人さんなら3桁人は経験してるんじゃないですか」
「3桁人!?とんでもないビッチじゃないか!私はそんなはしたない事したことない!」
「え、せ、先生もしかしてファーストキスもまだなんです?」
「そうだ、今ままで男性と付き合ったことも無いからな、そういう理沙はどうなんだ?」
「始めては中学の時に同級生の女の子に事故を装ってした時ですかね、わざとだとバレましたが困り顔で許してくれましたよ、最近は妹に人工呼吸の練習するって言って空気の代わりに舌を入れられました」
「お前ら姉妹は一体何をしているんだ!?」
「でも先生がまだなら今度事故を装ってしようかと思ってたんですが、流石に悪いので止めておきます」
「ああ、そこは踏みとどまってくれて良かったよ!まあ大事にしているわけじゃないんだがな」
「じゃあ大丈夫ですね、頂きます」
先生に向かって手を合わせる。
「絶対するなよ!?絶対だぞ!?」
「完全に振りじゃないですか、そんなに私にして欲しいだなんて理沙困っちゃいます」
手を頬に当てていやんいやんとする。
「振りじゃない!はぁ、理沙と話してると疲れるな」
「良く言われます」
「そういう所だぞ」
「そういえば私に話したい一件ってなんだったんですか?」
「ああ、すまん忘れてたな、イジメの件だ」
「そんな重要な事忘れないでください!」
「まああの件は私の中では解決した問題だったからな」
「と言いますと?」
「理沙が提出してくれた証拠を元に生徒を一人づつ呼び出していってな、退学を脅しに使い仲間を売らせて、芋づる式に犯人全員に家族ともども釘を刺していったぞ、次やったら退学とな、後は玲香本人にその事を伝えて常に録音機など証拠を押さえられるようにしたし、それに理沙からも監視して逐一報告してくれれば退学にしていくよ、職員会議でそんな生徒はいらないって結論になったしな、罪に対して罰が重すぎると言われたが、今後再発しなければいいだけなのだから、正しいのはこちらだ、もしこれで何か言ってくるようなら徹底的に争うつもりだ」
「・・・想像していたよりずっと過激なやり方ですし解決が早かったですね」
「これも理沙が初めから何名もの証拠を押さえてくれてたお陰だよ、まあ理沙に注意された生徒が協力的だったのも大きいがな」
まあ不自然にならない程度に催眠使ったしな、暫くして効果が切れても今回は問題無い。
「先生本当にありがとうございました!」
「どう致しまして、ああ、もうこんな時間か家まで送っていくよ」
「あ、ほんとだ、もう晩御飯の時間になってますね」
「理沙はご飯の時間に家に居なくていいのか?」
「休みの日はいつもお店に行ってるので、基本ご飯はいらないって言ってます、それでも門限の20時には帰りますけどね」
「お前なぁ、門限守ってればいいってもんじゃないぞ」
先生が諦観の目をしている。
「まあ悪い事してるわけじゃないのでいいじゃないですか」
「高校生にとって悪い事だが?」
「援交とか薬とか家出とか人様に迷惑かける事に比べれば大分ましですよ」
「まあそれはそうなんだがな、まあいつまでも切りがないから出ようか」
「はーい」
ーー
家まで送ってもらって家の玄関前。
「今日はありがとうございました」
「じゃあまた学校でな」
「はい、先生も帰りの運転気を付けてください」
手を振って車が見えなくなるまで見送る。
家に入ると妹に玄関で壁ドンされた。
「お姉ちゃん、麻衣いつももっと早く帰って来てって言ってるよね?くんくんそれにこの匂いは前学校で遅くなった時と同じ匂いがするね、車で帰ってきたし学校の先生とどこに行ってたのかな?」
「ま、マイちゃん落ち着いて、ほらよーしよーし」
「えへへ、もうお姉ちゃん直ぐ誤魔化すんだから」
何とか誤魔化せた、もう少ししたら妹に身長が抜かされて壁ドン顎クイまでされそうだ。
そうなったらお姉ちゃんはもう駄目そうです。




