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第15話 パソコンショック

 嘘告の公開処刑を阻止してから1か月経った。


 やはりあれから玲香に対する軽いイジメが発生していた。


 イジメの内容は知ってたから、あの日から早めに学校に登校して玲香の靴箱や机やロッカーに悪戯している所を不自然ならない様に撮影したり録音しながら注意したり。


 それでも捕らえきれずに犯行現場を抑えられない時は痕跡を消して玲香が気づかない様にしている。


 そんなことを考えながら部活中にパソコンを使って執筆している時だった。


(あれ、おかしいな、ネットに接続できなくなってる)


「いやーーーーーー!パソコン壊れた!私の今日の執筆分がーーーーーー!夏希ちょっと来て!」


(パソコンが壊れた?ブルーバックでもしたのかな?)


 夏希先輩が秋先輩にやれやれと言った感じで近付く。


「騒がしいわね、何よちゃんと動いてるじゃない」


「違うの保存しようとすると固まるの!」


 あぁ、ネットが死んでるのをパソコンが壊れたと勘違いしたのか。


「あら、本当ね、どうしようかしら」


 夏希先輩困った様に眉を潜める。


「あの先輩私達も同じで保存出来無いんです」


 また別の生徒が同じ現象が発生しているようだ。


 そりゃネット死んでたらそうだろうよ、まあ誰かそれくらい分かる人いるだろ。


 所が皆わからないようでワチャワチャしている。


 パソコン持ってる奴おらんのかい、いや今時の女子高生はスマホしかイジらないのかな?


「ねえ理沙ちゃんはどう?」


 隣に座ってる百合が眉をひそめて困った様に聞いてくる。


「ん、ネットワークがダメになってるから取り敢えずローカルに保存しとけば良いんじゃない?」


「ローカル?」


「一時的にこのパソコンに保存しといて、ネットワークが復旧したらまたクラウドに保存すれば良いと思うよ」


「どうすればいいの?」


 百合のパソコンを操作して執筆用のフリーソフトの保存先を変更する。


「しばらくこれで保存しとけば執筆続けても大丈夫だよ」


「理沙ちゃんありがとう!」


 百合の笑顔に癒やされたので執筆を再開しようとすると視線を感じて辺りを見渡す。


 縋る様な目をした人達が静かにこちらを見ていた。


 気にせずそのまま画面に視線を戻すとカタカタとキーボードを叩き始める。


 こちらに近付いて来た足音がして視線をあげると、案の定秋先輩がいた。


「ねえ理沙ちゃん皆が困ってるの助けて?」


 流石に皆の面倒は見切れないぞ、わからない人に説明するのも大変過ぎる。


「理沙ちゃん、お・ね・が・い」


 秋先輩がおっぱいを頭にのせて誘惑してくる。


(こ、こいつ俺の弱点を的確についてくる・・)


「理沙ちゃーん」


 そのままおっぱいを押し込みむにむにして来た。


(おっぱい!おっぱい!)


「任せてください!」


「理沙ちゃん・・・」


 おっぱいに絆された俺を百合ジトッとした目で見ていたのには気付かなかった。


 皆説明しながら操作するのに30分は掛かった。


 部活が終わる時間なってもネットワーク復旧はしなかったので、明日も皆同じパソコンを使う様に言って解散となった。


 帰り支度の為に百合と一緒に教室に廊下を歩いていると職員室から先生達の慌てて言い争っている声が聞こえたので気になって中を覗いて見る。


「今日中にでも必要なんだよ!何とかしてくれ!」


「そ、そんなこと私に言われてもわからない!電話じゃ駄目なのか?」


「成績データを送らなきゃならないんだよ!」


「田中先生から連絡はまだなのか!?」


「田中先生はまだ休養中でいつ連絡が返ってくるかわからん!」


 教師達がサーバーラックの前で言い争っている。


 良く見てみるとUPSが赤いランプを灯してアラームが鳴っている。


 ランプの光の感じバッテリー切れかな?サーバー2つと増設ユニットもあるな。


 あーファイアウォールだと思われる装置のランプ付いてないな。


 故障だったら暫くネットワークの復旧は無理だな・・・


 百合もそれを見て何かを察してこちらに話しかけてくる。


「あー、今日パソコンがおかしかったのは先生達も一緒だったんだね、あのビービー鳴ってる音が原因なのかな?」


 百合の方を見て頭を撫でながら答える。


「あー、あれはUPSって言って停電対策の装置だから多分関係無いよ、一部の機器の電源入ってないから壊れてるのかな?壊れれたら暫くインターネット使えないね、フラッシュメモリってこの学校持ち込みして良いのかなぁ」


 百合が素早くバックステップして頭をガードした、悲しい。


「ゆーぴー?理沙ちゃんやっぱり詳しいね」


「ちょっと齧った程度だから素人に産毛が生えたようなものだよ、まあ帰ろっか」


 前世の仕事で社内サーバーに少し関わっただけだから本当に詳しく無い。


 百合から視線を外し踵を返すと、突然肩を掴まれてビクッとしてしまった。


 恐る恐る後ろを振り返ると担任の琴音先生が肩を掴んでいて、先程まで言い争っていた先生達が黙ってこちらを見ている。


「え、何ですか?」


「理沙さんってパソコン事詳しいの?」


「パソコンってサーバーの事ですか?別に詳しく無いですよ」


「さっきあれを見てすぐに状況把握してなかったかしら?」


「素人目で見たまんま答えただけですよ」


「それが出来る人が今いないの、少し見てもらえないかしら?」


「あれ学校の基幹システムですよね?生徒が触って良いものじゃないし、責任も持てないので触りたくないですよ」


 学年主任の冴先生もいつもまにか側に来ていた。


 冴先生は40歳の美熟女って感じで前世の俺からしたら全然頂けてしまう容姿をしている。


「頼む、この学校であれの事がわかるのは今病気で休んでる田中先生しかいないんだ」


「えっと保守とか入ってないんですか?」


「保守?何のことだ?」


 詳しく話を聞いてみるとあのサーバーは10年ほど前に田中先生と、もう止めてしまった先生が二人セットアップしたサーバーで、色々な管理は今は全て田中先生が行っているらしい。


 まああるあるな話だった。


 中小企業とかだとサーバー管理をする人が1人しかなく、結構危険時な状態で運用しているけど何とかなってしまっているから表面化しない。


 問題が発生してから気づいてもその人が退職してしまっているから、あわあわするやつ、まさに今この状況なわけだ。


「責任は私がとる、少し見てくれるだけでもいいから、今のこの状況を何とかしたい」


「・・・わかりました、本当に少し見るだけですよ?百合先に帰っていいよ」


「んーん、邪魔にならない所でみてる」


「そう?」


 サーバーに近づいて周辺機器を観察する。


 やっぱりUPSはバッテリが切れてるだけで現状の電源供給に問題はない。


 他のサーバーなどは異常のランプも付いていないな。


 後はやはりファイアウォールの電源ランプがついていないな。


 サーバーの裏に回ってみると、ファイアウォールの電源プラグが抜けている。


「なんでファイアウォールの電源抜いてあるんです?」


「ファイアウォール?何のことだ、故障してるのはこっちの音がなっている装置じゃないのか?」


「UPSはバッテリーが切れてるだけなので電源供給は出来てますよ、ファイアウォールというのはこの赤い機械の事です、これは以前から抜いてありました?もしかして今日この機械のアラームが鳴ってから抜きましたか?」


「ああ、それはこっちの爆発しそうな機械と繋がっていたからな、誘爆しない様に抜いておいたんだ、因みに爆発しそうな方は抜いても爆発しそうだし怖いから触ってない」


「爆発って・・・・、まあ詳しく説明してもしょうがないので、ちょっとファイアウォールのコンセント挿しますね」


「あ、ああなんだかよくわからないけどやってみてくれ」


 ファイアウォールのコンセントをアラームの鳴っているUPSに差し込み、少しすると周りから声が上がった。


「っ!?繋がった!インターネットに繋がりましたよ冴先生!!」


「おおおお!よくやってくれた!」


 復旧を待っていた先生達が何かに取り憑かれたように自分の端末に齧りつき始めた。


 ばしばしと肩を叩かれる。


 出来ればおっぱいで叩いてくれると助かります。

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