第1話 プロローグ
俺は前世の記憶がある、今思えば相当クズな男だった。
顔は平凡で性格は少し、いや結構悪かったと思う。
普通の高校に通い、会社はIT関係の会社に勤めていた。
一応妻と幼い子供はいたがお世辞にも良い父親とは言えなかった。
妻は大人しい性格で、強引に迫り既成事実を作ったら結婚できた。
家庭内暴力は振るわないが、家に帰っても亭主関白で子供の面倒は殆ど妻任せ、家族サービスなんてものは殆どしない。
妻には毎日の様に性欲を発散するだけ、色々諦めたような目で俺の事を見ていたはずだ。
後は動画やWEB小説を読み漁るかパチンコやゲームをしていた。
一時期WEB小説を自分で書いて見たが、少しの間熱中するも、結局中途半端で殆どの作品は完結させずに放置。
そんな人生はいつの間にか終わっていた。
年齢は細かく覚えて居ないが30過ぎくらいだと思う。
多分夜中に脳卒中でも起こして死んだんだろう、流石に妻に刺されたわけじゃないと思いたい。
気づいたら赤ん坊になって、おっぱいをしゃぶっていた。
リアルな感覚からすぐに転生したことに気付いた。
内心歓喜した、人生をやり直す事が出来ると。
見覚えのある家具もあるし、両親は日本語を話していたから、転生した所は現代日本のようだった。
今世の名前は濡田理沙、不本意だが女の子だった、所謂TS転生だったようだ。
それでもやり直す事が出来るのは嬉しかった。
この体はとてもスペックが良いようだ、何しろ幼いうちからわかるほどかわいい容姿、頭の出来、動ける体。
前世の経験があるとその差がはっきりとわかる。
しかし記憶を持って産まれ変わったのは、性格、性癖、性自認が前世のままという多大な弊害があった。
幼稚園、小学生の時は前世の記憶のせいで全く周りに馴染めない。
男のクソガキは嫌いだが、小さな女の子は好きだ、だから自分が女の子なのをいい事に周りの女の子に欲望をぶつけようとした。
直ぐに避けられ完全にぼっちになった。
中学になって知らない顔が増えて、今度こそは失敗しない様にしたつもりだった。
普段の女の子同士のコミュニケーションは嫌われないように適度に距離を取り、友達と言える友達も出来るようになった。
少しづつでも親密度をあげていればいつかはイチャイチャ出来ると信じていた。
だがそんな日々も2年生になって終わってしまった。
それはある日のプールの授業がある日だった。
プールの時間の時、数名の女子生徒の下着が盗まれる事件が発生した日だった。
状況から内部犯の可能性が高いとの事で荷物検査が行われた。
俺の鞄から該当の下着が見つかった。
以前から何度か盗んでいたから、いつの間にか目星をつけられていたらしい。
明らかに俺の鞄を念入りに探していた。
生徒指導室に連れてかれ、親も呼び出され、なんでこんな事したんだと問い詰められた。
ムラムラしてやった、後悔はしていないが興奮はしたと回答した。
今世の母親に初めて本気でピンタされた日になった。
その日からは虐められることは無かったが、女子生徒たちから距離を置かれ、変態扱いで下着を盗まない様に警戒されるようになった。
代わりに顔だけはいいので男子生徒から話しかけられるようになった。
男子生徒とかかわるといつ襲われるか分かったものじゃないので基本は塩対応だった。
前世で男の欲望を身をもって知っている俺は賢い立ち回りを知ってるのだ。
強引に既成事実なんて作られたら堪ったもんじゃない。
そんなこんなで中学生活もぼっちで過していた時、一人の女子生徒が俺に話しかけてくれるようになった。
メガネで三つ編みの典型的な委員長タイプで名前は常闇愛で通称愛ちゃんだ。
愛ちゃんは一人ぼっちになった俺に話しかけてくれて、ぼっちから救ってくれた。
そして俺が女の子の下着を盗む常習犯だってことも知っていたようだ。
俺が下着泥を再犯しないように定期的に自身の下着を俺に提供するかと提案してくれた。
俺は二つ返事で了承した。
頭のおかしな子だなと思った。
そして下着が洗濯済みなのは納得行かなかったが流石に文句は言えなかった。
中学2年は愛ちゃんと仲良く過ごし、とても幸せだったしおかずにも困らなくなっていた。
だけどそんな幸せな時間も中3になりすぐに終わりを迎えた。
愛ちゃんが親の都合で他県へ転校してしまったのだ。
最後の挨拶の時、最後まで愛ちゃんが心配をしてくれていた。
「私が居なくなっても女の子の下着を盗むの我慢出来る?もうこれから新しい下着が手に入らないんだよ?人の下着を盗むことはいけない事なんだから絶対にやっちゃダメだからね?後私にしてたみたいに女の子の服の中を覗き込むのもダメだし、おっぱいばっかり見るのもダメ、バレ無いとでも思ってるのかも知れないけど全部バレてるんだからね?あと私は許してあげたけど、女友達だからっていきなり相手の唇奪ったり、気軽に相手のおっぱい揉まないし、パンツの中に手を入れて来るのなんて論外だからね?」
ダメ出しが非常に多かった。
息継ぎ無しで言えて凄いなと思った。
最後に今履いてる下着以外全て俺にプレゼントしてくれた。
こいつやべえと思った。
俺は最後だしと思って、今履いてる下着が欲しいと言ったら赤くなりながらも脱いで渡してくれた。
流石にノーパンは可哀そうなので貰った下着の中から一枚渡して履かせてあげた。
お礼におっぱい揉ませて貰った。
中3になった俺は親にスマホを買ってもらい、おかずに困らなくなったので、別にそこまで下着は重要ではなくなったんだわ、と思ったが口には出さなかった。
だが、1ヶ月もするとやっぱりなんか物足りなくなってしまった。
パチンコに行くことにした。
中身は30過ぎたおっさんだから合法だ。
容姿の問題もマスクとグラサンを装備し、慣れた様子で電子タバコを咥えながら堂々としてると意外とバレれなかった、時代のお蔭で声がかけ辛かったのもあるのかも知れない。
電子タバコの機械は親が捨てたお古をコッソリ回収し、カートリッジは親がタバコをまとめ買いするタイプなので数箱拝借してもバレなかった。
パチンコは資金が少なかったので、前世の知識を総動員して期待値だけを追った。
暫く通ったが、期待値を求め過ぎたのがいけなかったのか出禁になった。
多分台パンと台蹴りや『当たれゴラァ』と叫びまくってたせいでは無いとは思う。
その際に容姿の確認をされ未成年だとバレて学校に連絡された。
第二回三者面談が開催された。
母親になんでこんな事したのかと問い詰められた。
期待値がそこにあったからと回答した。
前世も含めて初めて親に往復ピンタされた。
虐待だと言ったら腹パンされた。
男には無い臓器に当たったせいなのか、今まで感じた事の無い痛みに膝をついた。
痛みで号泣しながらもうやらないと謝った。
次の日からは別のお店に通うことした。
店を1店に絞ったから駄目だと学んだのだ。
あと念の為台パンと台蹴りは少し控えめにして、叫ばすにぶつぶつ言う事にした。
親には友達と遊んでると言っているが、前科がある上に一度も家に友達を連れて来ないので、怪しまれているが何とか誤魔化してる。
多分この体は転生時にパチンコで当たる確率がアップするチートを貰ってるんじゃないかと勝手に思っている。
前世なら行けば大体負けてたのに、この体になってから大体勝ってるからだ、お金もかなり貯まってきた。
その間も学校はボッチだが勉強は前世の復習だし基本優等生で通っていた。
先生には何でこんなしっかりしてるのにあんな事したんだとよく言われてた。
身長は140cmとかなり低めだが、顔だけはいい俺は何度か男子には呼び出しを受けることになったが、言いたいことがあるならここで言え、と言って一度たりとも付いて行った事は無かった。
多分付いて行くと8割は襲われる、2割は告白後に襲われると思ってる。
男の欲望は30年近く人生経験があるので熟知している。
男は隙あらば襲ってくることを。
家では特にやる事が無いので3つ下の妹の麻衣を可愛がる事にしている。
良くゲームなどをして一緒に遊んでいた。
ついでに最近では愛ちゃんが居なくなって発散出来なくなった性欲を妹にぶつけた。
流石にそこまで直接的なことはしていないが、妹は基本俺が何しても嫌がらないし寧ろ喜んでくれる。
特に妹は俺の声が好きなようなので調子に乗って色々耳元で呟いてあげている。
少しボイストレーニングをしてみると意外と色んな声が出せるようになった。
そして声の練習している時にもう一つチートがあるのがわかった、ある声色で喋ると催眠が出来てしまうのだ。
妹にASMRをしてた時に、妙に素直に言う事を聞く時があり、不思議に思って色々試したらわかった。
試しに母に使っても出来てしまった。
肩揉んでっていったら揉んでくれたし、腹パンの仕返しに腕立てと腹筋50回づつやってと言ったら泣きながらやってた。
しかし催眠中は記憶がある。
何故いう事聞いてくれたのかと問うと、そうしないといけない様な気がするらしい。
少し検証してみたが効果時間がバラバラで直ぐに切れることもあれば数日持つ事もあった。
永続的な物では無いようだ。
流石にこのチートはヤバすぎるし、少し使い勝手が悪いので緊急時以外は封印することにした。
なので今は妹をカウントダウンで絶頂させる時にしか使って無い。
今は毎日寝る時に妹の耳元で囁きASMRをしてドロドロに脳を溶かした後に催眠で絶頂させて強制的に寝かしつけてる。
『5・4・3・2・1・ぜろ!絶頂しながら寝なさい♡』
みたいにすると泣きながらビクンビクンして眠りにつく。
毎晩切なそうな声で「おねえちゃん、おねえちゃん」と寝言を言うようになった。
少し目のハイライトが消えて来た気がするが気のせいだろう。
だけどちょっと怖いから高校入学する前には一応止めるようにした。
寝言は止まったが、ハイライトが戻らない、どうしよう。
後は男の怖さを小さい時から繰り返しある事無い事叩き込んでおいた。
曰く、数秒目が合うと襲われる。
曰く、肌に直接触れられると腐る。
曰く、半径1m以内に入ると妊娠する。
曰く、壁ドン、頭ポン、顎クイされると最悪死ぬ。
その他色々教え込んだ。
今ではもう男を視界に入れる事すら嫌がる程の立派な男嫌いに育った。
学校では男を見ない話さない近寄らないを徹底しているらしい。
ちょっとやり過ぎたのかも知れない。
単身赴任中の父親の事も毛嫌いしそうだったので、今は頑張って軌道修正しているが効果があったのか帰って来るまで分からない。
まあこの調子なら男に取られる心配はないようでお姉ちゃんは安心だ。
俺は男と結婚なんてまっぴらごめんなので、一緒に住んでくれる女の子が居なければ最悪妹と一緒に暮らしたいと思ってる。
そんなこんなで何とか志望校に合格して新しい生活が始まった。




