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バックオブスマイル~『ひと』の裏の顔~  作者: 春華秋闘
第一章
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怪奇現象部

翌日。

今日も優と登校して、教室に入る。

昨日と同じように俺以外には花月さんしかいない。

(そういえば花月さんも魔術師なんだよな)

社会科準備室で話を聞いているときにはなにも話さなかったけれど、やはり近寄りがたいオーラを感じた。

そう考えながら席に着くと、突然彼女が俺の方を向いた。

え、なに?

花月さんは立ち上がると、俺の前の席に腰を下ろした。

「え、っと…?」

「君、部活に入るの?」

直球に尋ねてくる。

「…まだ、決めてない。」

「…そう。」

話が途切れ、気まずい雰囲気が流れる。

そんな時、優が教室を訪ねてきた。

「おい、しょう、ま…」

彼は俺たちを見て動きを止めた。

そしてなんとも言えない感情になる。

「お前ら、仲良かったの?」

「いいえ、部活に入るのか聞いただけ。ごめんなさいね、突然話しかけたりして。」

優の質問を否定して彼女は自分の席に戻っていった。

彼に視線を戻すと、昨日の体育のときのように花月さんを見つめていた。

(…無自覚、か。)

自分でも気づいていないのだろう。

彼女を無意識に視線で追っていることに。

「ところで優、何か用?」

「あ、あぁ。今日さ、サッカー部の方に行かないといけないから、悪いけど一人であそこ行ってくれ。」

あそこ。

社会科準備室のことか。

でも、少し心細いな。

「じゃあ、そういうことで。もし一人が嫌だったら、花月と白咲さんと一緒にいけよ。」

いたずらな表情で教室を去っていった。

なんだよ、その顔は。

少しムカつきながら、俺は勉強を始めた。

「で、ここからが本題だけど。昨日、才の話したよね?

部員の才については共有しておこうと思って。

一人ずつ、改めて自己紹介と自分の才の発表してもらいまーす。

 じゃあ、もかから。」

先生がもかを指した。

「はいっ!白咲望楓しらさきもかです、才は植物を操ることができます!

 こんなふうに、」

もかが近くに飾ってあったパンジーに手をかざす。

すると、にょきにょきと上に伸びていった。

「まぁ、ざっくりこんな感じです。よろしくお願いします!」

元気な自己紹介が終わった。

「はいありがとう。優は今日いないから、また今度ね。

 じゃあ次、エミちゃんよろしく。」

「…花月笑美はなつきえみ。才は言葉だと説明しにくいから、実戦のときに教える。」

その一言で終わってしまった。

先生は次に俺を見る。

「じゃあ最後は、君。」

三人の視線が集まる。

全員圧倒的美形のため、よくわからないが緊張してきた。

鼓動が速くなるのを感じる。

軽く深呼吸をして、

「荒川翔真です。まだ何もわからないし、才も本当にあるのかわからないけど、頑張っていきたいと思っています。これからよろしくお願いします。」

少し硬くなってしまったが、無事終えることができた。

「みんなありがとう。じゃあ、これから正式に活動を始めるわけだけど、」

そう言った先生の言葉を、もかが遮った。

「露九先生は自己紹介しないんですか?」

確かに、先生は自分のことを何も話していない。

名前しか知らないし。

「僕?まぁ確かにした方がいいよね。僕は灰神露九。世界史教師だよ。ここまでは前翔くんがここに来た時に話したよね。そうだなぁ、これ以上話すことがあるとすれば…」

ううん、と少し考えたあと、思いがけない言葉を発した。

「この業界の、ナンバー2ってことくらいかな?」

…と。

さらっと。

とてもさらっとそう告げた。

どうやら驚いているのは俺だけじゃないらしく。

「…え?」

第一声はそれだ。

もかも花月もあっけにとられた表情をしている。

「あれ、どうしたの?みんな魂抜けた?」

ふふ、とニコニコしながらお花を飛ばしている。

いや、この人がナンバー2?

とても失礼だが、そんな風には…。

「先生、そんな強いんですか?」

「まぁね、最強ではないけど、それなりに強いんじゃないかな。多分この中だったら僕が一番強いよ。」

そう言い切った。

ここまで言い切るということは、それほどの自信があるのだろう。

えっへん、と腰に手を当てて胸を張る先生。

「まぁいいじゃない。君たちはこれからなんだから。実践とともに力もついてくるよ。僕なんかすぐに追い越されちゃうかもね。」

先生の実力はわからないけど、俺は努力するしかない。

「じゃー、さっきの続きだけど、これからの活動において、翔くん、君にはやらねばならないことがあります。」

俺を見る先生。

やらねばならないこと?

「それは…魔術会への登録です!」

「登録ですか?」

「そう。一応この登録をすることによって、悪魔の退治許可が下りる。魔術会に登録すると、ある魔力がこもったバッジがもらえるんだ。実際はそのバッジ目当てなんだけどね。そのバッジがなかなか便利なんだよね~。そこらへんにいる弱い悪魔はこのバッジに近づけない。一気に退治するときとか、警護のときにめちゃくちゃ使うからね。持っとかないと。てことで、明日日曜だから、翔君行けるよね?」

「あ、はい。一応用事はないです。」

「じゃあ、明日行こう!って言いたいところなんだけど。ごめん、僕が用事あっていけないんだ~。ってことで、エミちゃん、ついて行ってあげて?」

こてん、と首を倒す先生。

それをすごい表情で見る花月。

…何を見せられているんだ。

「…はぁ、分かりました。私が連れていきます。」

「えぇ~?エミちゃんと二人で行くの?私も行きたいです先生~」

「ダメ。明日はモカ、任務入ってるでしょ?そっちが優先だよ。」

「は~い」

結局花月と二人で行くことになった。

「明日、渋谷駅に午後八時集合。遅れたらおいていくから。」

そう言うと教室を出ていった。

「もう、エミちゃんったらー。硬いなぁ。まぁ、翔君明日は送れないようにね。」

そして俺たちはパーティーをしばらく続けてから解散した。

 帰路につきながら考える。

明日魔術会に登録したら、俺もとうとう魔術師。

悪魔を倒すために活動する。

…でも。

俺にはみんなが言う、才がない。

モカが言うには、俺にも才があるらしいけど。

しかしそんな力が自分にあるとは思えない。

こないだまで悪魔も見たことがなかったのに。

…でももうそんなこと言ってられないか。

やると決めたから。

精一杯頑張りたい。

それに、父方の祖父母に会う機会がこんなところで巡ってくるなんて。

チャンスはつかみに行かないとな。

軽く拳をにぎって、密かに気合を入れる。

それからの家への足取りは軽かった。

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