10話 防具と狂気
現在午後2時。今日の仕事は取材のみだったため、早めに家に帰った。ふとスマホを見ると由美と涼介から連絡が入っていた。ゲームのお誘いだ。……同時に遊んでもいいものだろうか?2人に知り合いもいるがいいかという旨の連絡を入れるとすぐにいいと返信がきた。遊ぶ約束を午後8時からにしたため、それまでは暇だ。ということで、速攻でベッドにダイブし、ゲームを起動する。
一瞬の浮遊感の後、柔らかい感触と胸とお腹付近に重みを感じた。目を開けるとエーデルが胸に乗っていて、モーントがお腹に頭を乗せて寝ていた。うん、広いベッドにしてよかった。アーベントは顔の横でふくふくになって寝ている。何これ可愛い吸いたい。
「とりまんじゅう……」
私がぼそりと呟いたことでみんなが起きた。うん、寝ぼけ眼もかわゆきことこの上ない。モゾモゾと乗ってるモーントたちは移動し、アーベントは軽く羽繕いをして私の差し出した腕に乗る。
「ペスカ、現実時間で午後7時30分にアラームをお願い」
「かしこまりました」
そういうとペスカはふわりと消えた。消え方にも種類があるのかな?
今日はとりあえず防具屋に来た。ちなみにこの街はアジーンの街で最初にプレイヤーが降り立つ場所で、丸い外壁に囲まれた街だ。円のように街並みが広がっていて中心から貴族街、職人街、住宅街の順でできている。
防具屋はNPCがやっていることもあるが、ある程度プレイヤーによる開拓が進んでいる現在はプレイヤーの店のほうが多い。一部の例外を除いてプレイヤーの作るもののほうが品質、性能、見た目などがよいことが多いため、プレイヤーのやっている店のほうが人気がある。
この店は防具屋を求めてふらふらと裏路地を歩いているときに発見した。店の外見はどこにでもあるすすけたレンガ造りの店だ。金属製の看板に[カメリアの工房]と書いてある。
「いらっしゃいませー」
ドアを開けると女性の声とともにぱたぱたと足音が聞こえ、奥から女性が現れた。
「何を探してるんですか?」
気軽い問いかけとともに私を見つめる瞳は黄金。瞳孔は縦に長く、顔の一部にはうろこのようなものが生えている。髪は黒髪でひとくくりにしていて、枝分かれした角が耳の後ろあたりから生えている。頭上にはNPCという文字とともにツバキとキャラクター名が表示されている。NPCの店だったのか。
「テイムした魔物たちの装備と私の装備を探してます。ありますか?」
「んー、ちょっとまっててくださいね」
ツバキは順に私たちを見ると、店の奥に消えていった。
待っている間に店の中に飾ってある装備品を眺めていたら気になるものを見つけた。片手剣で、赤みがかった細身の刀身に、繊細な彫り込みの入った黒い柄、柄頭には透明な宝石がはまっている。持ってみると握り皮がよく手になじみ、扱いやすそうだ。ただ値段も名前も書いておらず、非売品なのかもしれない。残念に思いながら剣を戻そうとした。
「それが気に入りましたか?」
「ひゃっ」
にゅっと後ろからツバキがのぞき込んできた。驚きすぎて思わず変な声が出た……
「その子はですねー、フレンジーズという剣です。使い手と共に成長する魔剣って種類でしてね、癖が強いんですよ。意志を持った剣ってやつですね。非売品ですよ」
「そうなんですか……」
名残惜しく思いながらツバキが差し出してきた手に戻す。するとツバキは驚いたように剣と私を交互に見つめ、ほほ笑み問いかけてきた。
「お客さんはこの子を、フレンジーズを気に入りましたか?」
「はい?まあ、気に入りましたけれども……もしかして売っていただけるんですか?」
「この子もあなたを気に入ったようなので、売るのは構わないんですが一つ依頼を受けていただけませんかね?この子を差し上げますし、これから当店を利用されるとき割引をいたしますので」
この剣をもらえるだけでなく、割り引いてももらえるのか……正直言ってこっちに得しかないから全然いいんだが。
「わかりました。その依頼は何でしょうか」
ツバキはにやりと笑って口を開いた。
「あなた一人の力だけで狩ったフローズンスネークの魔石と、ファントムの魔石をください」
__ストーリークエスト『生きる剣の主と作り手』が発生しました__
受注しますか?(このクエストは一度受注すると破棄できません)YES/NO
推奨レベル__なし__
期限__なし__
参加人数__一人__
内容:クエストモンスター「ファントム」「フローズンスネーク」両者の魔石の納品。このクエストには従魔が参加できません。(討伐対象の経験値は従魔にも加算されます)
……は?
今回も私の作品を読んでくださってありがとうございます!いやー、次回はものふもふのいない戦闘シーン書くのでね、泣いていいですか?って気分ですねーwこの作品をいいなと感じていただけたなら高評価、ブックマークをしていただけると嬉しいです!ではまた次回!




