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砂ウナギ

 荒野という訳あって、21~30層の地面はごつごつした岩で覆われており、非常に歩きづらい。おおよそ、山奥の河原に近いと考えてもらって差し支えないだろう。


「くれぐれも捻挫には気をつけて。七瀬さんはともかく、二人は自己回復が出来ないから」


「うーん、やっぱり今後はヒーラーも必要かな?」

「もしくはヒールが込められた人工魔道具」


「ヒーラーなあ……。せっかく作ったパーティーを解散するのは嫌だし、どうしても行き詰まるまではこのままで。あと、回復系統の魔道具はそうそう作れないぞ」


「ヒールとリカバリーが込められた魔道具が五億ドルで落札されたってニュースで聞いたことがあります! 流石にそんなお金ないですし……」


「むしろ、そんなお金があったら、一生働かなくて済むね!」


「おそらくそれだけ高額になったのは希少性を鑑みての価格じゃないかな? ヒール単体、あるいはリカバリー単体ならそこまでの価格にはならなかったはずだから。それでも俺たちが買える値段じゃあないけどな」


 ヒールのような光系統の魔法を付与するには、それに適した「○○の意思」系アイテムが必要で、それが手に入るのは200層以降だ。つまり、めちゃくちゃ希少。学生がポンと買える物ではないな。


「けど、毎日ポーションを使うくらいなら、魔道具を買う方が安くつくよね」


「そうだな。だけど、そんな毎日ポーションを使わないと生き残れないような階層に挑むのはそもそも実力不足だし」


「「「それは確かに」」」



「……っと。そう言っている間に。来たな」


「? 近くに敵ですか?」

「どこ?」

「あ、もしかして!」


「お、七瀬さんは気が付いた?」


「うん、さっきまでおっきな石がごろごろしてたけど、ここから先は砂利って感じ。これって……そういう事だよね?」


「な、なるほど」

「つまりこれって……」


「「「砂ウナギの巣?!」」」


「おそらくな。リポップ待ちって可能性も無きにしも非ずだけど……間違いなくいると思って大丈夫かと」


「けど、砂ウナギってそんなに強くないよね?」


「まーな。とは言え、土魔法を使って放ってくる泥団子が顔面に当たると、目がめっちゃ痛くなるらしい」


「それは恐怖ですね」

「だから昨日、目薬を持ってくるようにって言ってたのね」

「目薬もこんな風に使われるとは思ってなかっただろうね」


「泥団子が来たら七瀬さんと神名部さんはシールドを起動、宮杜さんは水球で相殺を狙ってみようか?」


「了解~!」「はい! 分かりました!」「ん!」


 ただの同意の返事も、三者三様だなあ。



 サラサラ……


  ササササ……


 ガサガサ……



「ねえ、赤木君。あれって……」


「うん。明らかにあそこにいるよな。ちょっと魔法を放ってみるか。『バレット』」



 ピョーン!



「出てきた~!」

「すっご、めっちゃ跳ねた!」

「蛇みたいで気持ち悪いです……」

「なんか滑稽」


 樽に剣を指したら海賊が飛び出てくる某玩具みたいに、ウナギが「ポーン!」と勢いよく砂から飛び出した。その体が地面に着く前に、ウナギは泥団子を投げつけてきた……!


「『アクアボール』!」


 宮杜さんがすぐに巨大な水球を放って、相殺を行う。


「ナイス、宮杜さん!」

「すご! 相殺した!」

「完璧なタイミング。というか、咄嗟の魔法にバフをかける赤木君も凄いね」


「俺からも! 喰らえ『カッター』」

「私も、『鈍足』」


「じゃあ、とどめは私が! っと『シールド』! からの吹き飛べ!」


 最後は七瀬さんの強烈なパンチを喰らって、ウナギはドロップアイテムになった。


「ナイス、七瀬さん。さっきのシールドの使い方は上手かった!」


「ありがと!」



「これって、ウナギの格好をしてるのに、ウナギ関連のドロップアイテムが落ちないんですよね?」


「だな、こいつのドロップアイテムは珪砂と砂鉄、ボーキサイトだ」


「残念」「石ウナギもウナギ関係の物が落ちないですし、なんかずるいですよね」


 残念ながら、ウナギ関連の物が欲しいなら、20層の裏ボスを倒さないといけないんだ。やっぱりウナギは高級だからな、そう簡単には手に入らないのだ。




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