暁瑠璃の受難
私の名前は暁瑠璃。フォルテメイアの二年生だ。
ゴールデンウィークの間、実家に顔を出したのだけど……。
「えー。ただいまから家族会議を始めます」
「わー」「パチパチ~」
お父さん、お母さん、そして妹に囲まれる中、正座させられています。どうしてこうなった……?
◆
ゴールデンウィーク6日目。私は日曜日の予定を立てていた。
「お花見~♪ イチゴフェス~♪」
ゴールデンウィーク最終日、私は逢魔湖公園の「五月のお花見フェス」に行く予定。天気予報では晴れるみたいだし、凄く楽しみ。
逢魔湖公園には大規模なシバザクラの花畑があり、それがゴールデンウィーク前後に満開になる。それを機に「五月のお花見」が開催され、ちょっとした屋台やイベントが開催されるの。
中でも私が注目しているのが「イチゴフェス」、多種多様なイチゴスイーツが食べ放題と、私にとって天国のような場所。赤木君も気に入ってくれると良いのだけど。
「あ~このイチゴのパンケーキとかおいしそ~! あ、イチゴのムースも……!」
っといけない、いけない。スイーツの魔力に惹きつけられて、本来の目的を忘れそうだった。予約を入れて、そこから逆算して当日の集合時間を決めないと。
「えっと、予約は……ん?」
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☆☆☆☆☆イチゴ・フェス☆☆☆☆☆
~苺を使ったスイーツ食べ放題~
☆ラインアップ
( 略 )
☆お値段
・おひとり様:3000円
・団体様(5人以上):2800/人
・シニアクーポン(60歳以上):500円オフ!
・学生カップル応援クーポン:二人で5000円!
※こちらのクーポンを使用される場合は、事前予約が必須となります
☆御予約
○×△-△□□-□×□○
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「学生カップルクーポンなんてあるんだ~! 1000円も安くなるのね、よしこれで予約しておこうかな!」
トゥルルルルル……
「あ、もしもし。はい、イチゴフェスの予約で……。はい。えっと、ゴールデンウィーク最終日の日曜日に。はい。あー、なるほど。でしたら10時からでお願いします。あ、二人です。はい。あ、ホームページにあった『学生カップル応援クーポン』っていうのを……」
◆
(あれ、お姉ちゃん、電話中みたい。何かの予約……? が、学生カップル応援クーポン?! こ、これってつまり、デートの為の予約?! お父さんに報告しないと!)
◆
「という訳で、お姉ちゃんは有罪です!」
「まさか彼氏がいたとは……。そりゃあ、瑠璃も高校生。そろそろできてもおかしくないと思ってはいたが……。ううううう。うわああん!」
「どうどう、お父さんはそのみっともない泣き真似を辞めてちょうだい。うふふ、ママは応援するわよ。パパもこう言ってるけど、ちゃんと応援してるから。で、で? 相手の子、どんな子なの?」
おのれぇ……妹め。勝手に聞き耳を立てたばかりでなく、その内容をママとパパに報告していたなんて……。取りあえず、誤解は解かないと。
「違う違う、そういうんじゃなくって……」
「そうなの? でも、二人で予約してたよね? 相手の子は男の子じゃないの?」
「えっと。男の子だけど……」
「二人きり?」
「う、うん……」
「「「デートじゃん」」」
「違うの~!!」
誤解を解くまでに30分がかかった。




