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ゴールデンウィーク

「ふひ~やっと着いた……」


 東京まで夜行バスで送って貰った後、自宅の最寄り駅まで電車移動しなくてはならない。朝一番にも関わらずかなり混んでいる電車を乗り継いで、やっとの思いで実家の最寄り駅に到着した。


「お兄ちゃん~!!」


「穂香! 迎えに来てくれたのか!」


「もっちろん! 疲れたよね? 荷物、持つよ!」


「いや、荷物ってこの鞄だけなのだが……」


「……」


「……」


「と、取り敢えず、お父さんが車を出してくれたから、こっち着て!」


「っと。ちょっと引っ張るなって……」



「それでそれで? クラスメイトとも仲良くなったのね?」


「まあ、うん。ああ、そうそう。伊藤と言えば、いっつもすっごい大食いでさ~。例えば昨日は……」


「へえ、それは凄いわね……。食費が凄い事になりそう」


「ああ、実際、食費はめっちゃかかるって言ってたよ」


「やっぱり若い内はすごいなあ。俺も高校生の時はラーメン大盛りとかガツガツ食べてたけど、今は一人前も食べれないよ……」


「え、父さんも昔は結構大食いだった感じ?」


「まあ、陸上部に入ってたからな。部活帰りにみんなでラーメン屋行く、みたいな?」


「へえ~。そういう高校生活って想像できないや」


 俺が(前世で)高校生だったときは、ほぼ毎日まっすぐ家に帰って勉強していた。そうしないと、親がグチグチと叱るからな。……なんか前の人生の俺って空しいな。就職するまで必死で勉強し、就職したら今度は仕事漬け。心身が追い込まれて、退職し、そのままニートに。はあ。


「お兄ちゃん、大丈夫? 急に寂しそうな顔して……」


 俺の隣に座る穂香が俺をのぞき込んできた。ああ、幸せ。うん、そうだよ。今が幸せならそれでいいじゃないか!


「穂香~!」


「ふえ? 急に抱き着かないでよ、びっくりするじゃない……」


 と言いつつ受け入れてくれる穂香。



(なあ、俺達は何を見せられてるんだ?)

(そっとしておきましょ。仲がいい事は良い事じゃない)

(そうだけど……。ま、まあ。二人が幸せならそれでいいか……)



 ブランチ(朝食兼昼食)を食べ終えた俺は、部屋でのんびり寝転んでいた。そんな俺の隣にちょこんと座る穂香に、俺は問いかける。


「今日の予定ってある? 先に言っておくと、俺は特に何も考えてない」


「私も特に考えてない……。なにか考えておくべきだったかな?」


「ん~いや。特に思いつかないなあ。フォルテメイアに行く前は、こういう時、何してたっけ?」


「ん~? そう言われると、特に何かしてたわけじゃないよね~。よし、取り敢えず私もゴロゴロしよっと! 頭なでて~」


「……懐かしいなあ」


「……うん」


「「……」」


 こうして一日目は、特に何もせずに終わ……らなかった。


「あ、そういえばお兄ちゃん」


「ん?」


「ケーキ作ってくれるって約束したよね? この連休中、何か作ってくれる?」


「……そういえばそんな約束をしたな。うし、思い立ったが吉日。早速何か作るか!」


「え? いいの?! でも、お兄ちゃん疲れてるでしょ?」


「いや、帰ってきてから5時間くらい、こうして寝転んでた訳だし、そろそろ体を動かそうかなって」


「そう? じゃあ、一緒に作ろ?」


「だな! 材料はあるかな?」



 その後、材料を確認したり、足りない分を買いに行ったりした。準備も整ったところで、調理開始だ。


・バター

・ビスケット

・クリームチーズとヨーグルト

・砂糖

・イチゴジャム

・レモン汁

・ゼラチン

・イチゴ


「クリームチーズとヨーグルト、砂糖を混ぜておいてくれるか? 俺はビスケットを砕くよ」


「合点承知だよ!」


……

………


「出来た!」


「ありがと。じゃあ、ここにレモン汁とイチゴジャム、ゼラチンを入れっと。あ、このバター、溶かしてきて」


「はーい。これをビスケットと一緒にこねたらいいんだよね?」


「Yes」


「OK~」


……

………


「出来たよ~! ビスケットが良い感じにしなしなになった!」


「じゃあ、これの底に詰めてくれるか?」


 丸いケーキ型の底に、ビスケットを砕いたものを敷き詰める。後は、このイチゴ味のレアチーズケーキの元を流し込めば……。


「おお~! レアチーズケーキの完成だね!」


「だな。だけど、もうひと手間かけるぞ」


「え? そうなの?」


「取りあえず、これをそっと冷蔵庫に入れてきてくれる?」


「はーい」


 それじゃあ、いったんキッチンを片付けてっと。暫く待機!



 ふと視界に入ったボードゲームで遊びつつ、2時間ほど経った。


「そろそろ固まったかな?」


「まだ奥の方までしっかり冷えてないんじゃない?」


「それで大丈夫。ここからもうひと手間加えるぞ~!」


「?」



 大量に買ってきたイチゴを、それぞれヘタを取ってから半分に切る。というのを俺がしつつ、穂香には余っているゼラチンを溶かしてもらう。


「切ったイチゴをケーキの上に並べて……」


「並べて?」


「上からゼラチンをかけると……」


「おお……?! すっごく美味しそうだね!」


 一番下がクッキー、二段目がレアチーズケーキ、三段目がイチゴの入ったゼリーという、三段構造のケーキが完成だ!


「今日の晩御飯の後、食べようね!」


「あー、一日ほど固めないといけないな」


「そ、そんなあ……」




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