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入学式

 ピコーン!


 今日は四月二日。自分で作ったミニゲームで遊んでいると、突然メールが届いた。送り主は……学校のようだ。


「なになに……。明日の入学式のご案内、ね」


 ざっと目を通すも、事前連絡以上の内容は書いていなかったので、スルーする。おそらく、念押しの為に送信したのだろう。入学式への出席を忘れたりしないように。(そんな奴いるのか?)


「8時~9時にクラスが発表。9時にホームルームへ集合。9時半から11時まで入学式か。よし、明日寝坊したら元も子もないし、早めに寝ますか」


 そういえば、これは前世の話だが、高校の友人A(名前は思い出せない)は入学式に遅刻して、それ以来「あいつは不真面目」と思われるようになって、苦労してたっけ? 第一印象を良くすることは大事なのだ。



 入学式の朝。8時半に自分のクラスと思われる場所へ向かう。一年生の中でもフォルテのクラスは1から16まであり、各クラスは約30人である。そして、俺は3組だ。1-3と書かれた教室を探す。


「ここか」


 中には既に半数近くの生徒がいた。緊張故か、あるいはただ駄弁る相手がいないからか、教室の中は静かである。

 出席番号が一番の俺は、窓際の一番前の席に座る。春のあたたかな日差しは、眠気を誘うなあ。授業中に寝てしまわないように、夜更かしは控えるべきだな。


 ところで、この学校は制服で授業を受ける事になっている。少し軍服っぽさが残っているものの、モダンでカッコいいデザインとなっており、使われている繊維も最新の魔法科学技術で作られた合成素材だそう。肌触り、魔法防御力、通気性が抜群で、私服を持たず制服だけで過ごす生徒も多いらしい。ちなみに、学校の購買で購入する事が出来る。


 これから共に授業を受ける仲であり、またこれから共に戦う仲間である。どんな人がいるのか、とても気になるが周りをジロジロ観察するわけにもいかない。適当にネット小説でも読んで時間を潰すか。



 その後、9時になると担任と思われる先生が入ってきた。元から静かな教室がさらに静かになる。


「おはよう、3組の皆。俺が一年間このクラスの担任を務める、(はた)悟志(さとし)だ。よろしくな。詳しい自己紹介は後にして、まずは入学式で使う資料を配布する」


 入学式で使う資料? 先生から受け取ったそれは、分厚い冊子で「フォルテメイアへようこそ」と書かれている。中身をパラパラとめくってみたが、この学校での諸注意などが書かれている。


「それじゃあ、入学式の会場である特別講堂に移動する。今渡した資料と筆記具を忘れず持ってくるように。……全員、筆記具は持ってきてるよな? 持ってない奴は、隣の人にでも借りろ。んじゃ、出席番号一番の奴からついて来い」



「それでは、入学式を始めさせていただきます。まずは、学園長からの御挨拶です」


「えー。どうも。入学おめでとう。長い挨拶は時間の無駄だし、手短に話すぞ。本学は魔物に対抗するスペシャリストを育成する場だ。信賞必罰という言葉もあるように、優秀な者には相応の報酬が与えられるが、同時に校則違反者には罰が与えられる。なお、罰が厳しいのは、諸君らの命を守るためだ。直接戦闘するフォルテらはもちろん、魔物の研究を行う研究者も、ルールを守らないと命の危険が待っている。くれぐれも、ルールを順守するようにしてくれ。そういう訳で、早速ルールについて話していくぞ」


 マジか。なんかこう、入学式らしい長々とした挨拶があるのかと思えば、まさかの校則についての話が始まったよ。しっかり聞いておこう。


「事前に配られた資料を見てくれ。えー、当然のことながら未成年の飲酒や喫煙は禁止している。いじめや暴力沙汰も厳しく罰する。この辺りはこの学校特有というよりは、人として当然のことだな。――中略――。あと時折『恋愛は禁止ですか?』と聞く生徒がいるが、別に禁止していない。この学校で出来たカップルがそのまま結婚するケースも多々あるしな。だが、恋愛にかまけて勉強を疎かにすると、補修が待っているからその点は注意するように。一般的な校則はここまでだな。次に、この学校の設備について話していくぞ」


 前にも思ったが、恋愛ってOKなんだな。勝手ながら禁止だと思ってた。だって、ここはシューティングゲームの世界だぞ? 恋愛なんてNGじゃないのか? まあいいや、俺には関係ないだろうし。

 さて、この学校の施設についてかあ。これはゲーム知識で事前に知っているが……まあ念の為に聞いておくか。


「次のページに学園の地図が載っている。順番に設備の説明をしていくぞ。


 まずは右側の地図。大雑把にどこに何があるかが載っているな。


 研究機関はその名の通り魔物に関する研究がおこなわれている区画だ。

 ショッピングセンターはもう利用した学生も多いと思うが、そこにフードコートや日用品売り場がある。

 寮は説明しなくてもいいよな。学生寮が林立している区画だ。

 教育機関は小学校、中学校、高校、なんかがある区画だな。次ページに細かい地図が載っている。

 第Ⅴ訓練場は、400メートル四方の正方形型の訓練場で、第Ⅳ訓練場は200メートル×100メートルの訓練場だ。訓練に利用される他、フォルテ同士の模擬戦にも使われるな。一番大きな試合『魔法杯』はテレビでも放送されるから、見た事がある人も多いだろう。


 

 んじゃ、次のページ。教育機関の詳しい地図だ。


 教育機関の中には教育棟a~gと第Ⅰ~第Ⅲ訓練場、農園、公園やプールや植物園と言った娯楽施設がある。それぞれ詳しく説明していくぞ。


 教育棟aは小学校だ。子供のころから能力が発現していた場合、ここで過ごす事がある。そして教育棟bは中学校だな。この二つは、高校生のお前たちには関係ないな。

 その間に立っている教育棟gは特別教室がある。家庭科室、音楽室、美術室、技術室などなど。ここはお前たちも利用する事があるから、何階に何があるか後で確認しておくように。

 教育棟cは高校一年生の教室がある区画だ。dは二年生、eは三年生だ。

 教育棟fは今まさに私たちがいる場所だな。式典の他、特別講演などでも利用される。


 第Ⅰ訓練場は人工芝のグラウンドだ。体育の授業や、部活動などで利用されるな。横にはテニスコートもあるな。

 第Ⅱ訓練場は体育館だ。三つの体育館があるのだが、まとめて第Ⅱ訓練場と呼んでいる。

 第Ⅲ訓練場は人工芝じゃないグラウンドだ。第Ⅰ訓練場の予備、みたいな扱いだな。


 農園では、中学生が農業実習を行っている。間違っても畑を荒らさないように。


 公園は……公園だ。小学生が遊ぶための遊具しかないから、お前らではちょっと物足りないと思う。

 プールは娯楽として、また授業の一環として使われる事のある施設だな。屋内プールだから、冬でも楽しめるぞ。

 植物園って所は、簡単に言うと整備された雑木林みたいな感じだ。のんびりするのにお勧めの場所だな。



 研究機関についても、簡単に紹介しておこう。


 A区画では能力や魔法についての基礎研究が行われている。魔法とは何なのか、能力とは何なのか、遺伝子と関連があるのか、みたいなことが研究されている。

 B区画では能力や魔法についての応用研究が行われている。どうすれば強力な魔法を使う事が出来るのか、みたいな研究だな。お前らの指導カリキュラムも、ここで練られている。

 C区画では魔物についての基礎研究が行われている。魔物の生態とかを研究している。

 D区画では魔物についての応用研究が行われている。魔物の素材をどう利用するか、みたいな研究だな。お前らの学生服も、ここで作られた技術が元になっているんだぞ。

 E区画では実験動物や魔物の飼育が行われている。



 他にも細々した施設はあるが、その説明は割愛する。




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