「ぼうしゅう」ウイルス
ある研究所。
ヒトや、ほかの生物にきわめて有害な病原体を扱う施設。
ヒトのXX、つまり女性だけに効力がある、「ぼうしゅう」ウイルスを開発した。
「ぼうしゅう」とは、膀胱収縮。
飲食物を通じて体内へ。
潜伏期間は数時間から、最長でも24時間。
ウイルスは女子の膀胱だけに作用を及ぼし、そのサイズが通常の 1/3
以下になり、
元には戻らない。
感染者の尿に、ある程度のウイルスが排出されるが、前述の通りで、感染ルートは経口。
それ以外の経路では、感染力がない。
この病原体を開発したのは、研究所で働く若い女子。
彼女は研究者としてかなりの実績があり、学界での知名度は高い。
才色兼備でメディアへの露出も多々。
その彼女。
唯一の困りごとは頻尿。
そして、おもらし。
トイレまでがまんできないので、小用は紙おむつに。
仕事でも、プライベートな場でも。
世界中の医大から客員教授へのオファーが多いが、すべて断っている。
彼女の弱点は周囲の一部には知られている。
女性研究者や女子職員。
後者の中には、中年の万年助手が。
どきどきお局様になり、才媛に年中いやみを。
先日は、「夏で暑いのに大変ですね」
まだ若い才女は一見無表情でかわしているような感じだが、内心はかなりキレていて、復讐の機会をねらっていた。
ついに、念願がかなったというか、彼女には待望の手段が。
万年助手のおばさんがどうなったかは省略。
このウイルスはスーパー耐性のトップクラスに位置し、感染すると治療薬は皆無。
才媛の研究者のもとには、頻尿や尿失禁で笑われている若い女子から、
多数の相談が寄せられている。