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譲れない気持ち
◇140文字小説本文。
現場仕事で肌が荒れる。電車の窓越しに赤焼けの空が満ち。夕映えに照らされた私の冴えない顔。静かに包むトンネルの役目に癒され。駅前に忙しなく広がる買い物客を縫い、あの人の喜び期待してビール片手に家路につく。「君の義妹、ほんとに気が利くね」酒を奪い女が言った。私は兄が笑えばそれでいい。
◇設定。
若くて美しい母娘の家に、一目ぼれで転がり込んできた義父とその連れ子の兄。
入籍して仲良く暮らすもその後、母は病死。義父は事故で入院療養中。
仲の良い兄妹は、稼げない義父を助けるために共に働き、順風満帆の日だった。
大学出の兄が職場からあの社長令嬢を連れ帰って来るまでは……。
そんな感じです。