第69話
メンテナンスのため、投稿が遅れました。
将軍とリッチロードがはっちゃけます。
こっそりとアーミンたちも(笑)
(ケイン? どうしたの?)
(何かなさいますの?)
ふたりの疑問に無言のまま、オレは一歩前に出て『陰伏』を解除した。
急に姿を現したオレを見て、目の前の3人は唖然とした後、笑い出した。
「アッハハハ! あん時のリーマンじゃねぇか、脅かすんじゃねぇよ!」
「いやあ、生きてたんですね、びっくりですよ。それに今、どこから出てきたんですか?」
「やっだぁ、あのぶっ壊れのオジサンじゃん! いっちばん合わないところに出てきちゃってるぅ!」
3人とも、げらげら笑いながらオレを見る。はあ、まったく成長してないな。
オレの呆れた顔を何と勘違いしたのか、『勇者』が口を歪めて吐き捨てる。
「何見てるんだよ、使えないおっさんのくせに! どけよ!」
そして大剣を振り回す。その軌道はオレの脳天を狙っているようだが。
ブォン!
「なっ!」
風が通り過ぎる。そのあとにオレは何事もなく立っていた。
「どっ、どういうことだ!」
信じられない様子で怒鳴る『勇者』にオレは肩をすくめる。
一歩横に動いただけでこいつの剣先は避けられるんだ。そう、今のオレなら。
「ちっ、ズレたか。ならもう一度!」
『勇者』が剣を振り上げる。怒りか焦りからか、その顔は真っ赤だ。
「頼む将軍」
「任されよう」
短い会話の後に振り下ろされる大剣。それを受け止めたのは。
「な、何しやがるんだ!」
「お初にお目にかかる。神聖エリシオ教国にて将軍職を拝するフェルディート・ラルカンスと申す者。剛腕と聞こえた『勇者』殿と是非とも一戦交えたく思いまして。いざ、勝負!」
「お、おおおっ!」
抜き放った剣で大剣を跳ね上げ、名乗りを上げる将軍。あらら、青筋が立ったままじゃん。笑顔のままってのがまた一段と怖い。
ふたりはそのまま斬り合いに移行、撃ち合うたびに飛び散る火花が凄い。少しずつ将軍が誘導しているのだろう、位置が変わっていってるな。
さて、まずは一人。
次は、と見れば、こちらは『聖女』VSリッチロード。魔法じゃなくて口論の真っ最中だ。
ガル爺さんの頭やら肩やらに居るのはアーミンたちか? ひい、ふう、みい……全部で5体、爺さんの身体に張り付いて一斉に啼いているが。あれ、オーリィも混じってる。
「それってアーミンでしょっ! 可愛いけどちっとも捕まらないって評判の! どぉしてあんたみたいな爺さんに懐いてるのよぅ!」
「さて、なんでじゃろなぁ」
「すっごい可愛いじゃん! あんたたち、ほら、私の所へ来なさいよ、ね?」
「キュキュッ!」
「キュルルキュルル!」
「きゅううう~~!」
「キュイキュイキュイ!」
「キュ~~~!」
「どーしてぇ? どうして『魅了』が効かないのよぅ!?」
「アーミンにはその手の魔法など効かぬよ。この子らは相手の真実を見抜けるから、の」
「それって私が悪いとかおかしいって事? 私は『聖女』なのよ、どうして悪いのよぅぅっ!」
「『聖女』は職業、本質には関係ないんじゃろな」
「本質ってひどい! いいから寄こしなさいよ! ペットにするんだからぁ!」
「ペット、じゃと?」
その言葉を聞いた途端、ガル爺さんの雰囲気が変わったよ。今までは出来の悪い子供をあやすような感じだったのが一気に怒りへと染まってしまった。
「そうよ、可愛いから傍に置いてみんなに自慢するの、だからちょうだ……」
「この、大馬鹿もんっっ!!」
「ひっ!」
言葉半ばに怒鳴りつけられ、『聖女』が硬直する。当然だ、『威圧』が一緒にぶつけられてるからな。
「アーミンは立派な種族じゃ! ワシらの言葉を理解し気を配り、あまつさえ手助けまでできる、賢い一族じゃぞ! それをペット扱いするとはとんでもない!! 『聖女』だかなんか知らんが、礼儀もなっとらん半端者があぁぁっ!!」
あやや、怒りのゲージが振り切られてるよ、あれ。
「キュイ!」
「キュルル~」
「キュ~イ!」
「きゅきゅきゅ!」
「キュルルル~~」
アーミンたちも一緒になって騒いでる。ダメージが半端ないんじゃないか。
で、残りはこいつか。
横目で見ていると……『賢者』は中腰になってじりじりと後ろへ下がりかけ…
「待てよ、『賢者』殿」
「わあああっっ!」
声をかけた途端に氷の柱を飛ばされた、が。
ギンッ
将軍が『勇者』を相手取る片手間に叩き落していた。
「くそっ、ならこうだっ!」
杖を構えて次々に魔法を飛ばしてくる『賢者』。焔の珠(ファイアボール、か?)、旋風の刃(ウインドカッター、だろうな)、地面からは円錐状の柱(アースピラー、で合ってるか)と土の塊(アースブロック、かな)が飛んでくるが、『バリア』ですべて弾き飛ばした。
あれ? 思ったより威力が弱い、か?
「なんだよ、何なんだよあんた! あの時はぶっ壊れてたのに、なんでそんな風に戦えるんだよっ!」
「さて、な。言う必要があるとは思わないが?」
オレの答えにカチンときたか、キッと睨まれて。
「良いさ、それなら本気出してやる! 僕が開発した複合魔法を食らえよ! 『ファイアーストーム』!」
杖に付いた魔石がきらめいて魔力を放出、その流れに『賢者』の呪文が乗ると。
ゴオオォォッッ
真っ赤な炎が渦を巻いて風を起こしながらオレたち目掛けて吹き付けてきた!
「ケイン、駄目! 逃げて!」
「兄さま! あぶないっ!」
後ろで姉妹姫が悲鳴と共に警告を発するが、オレは動かずに焔を見据え、
「ストレージ2」
スキルを発動して魔法そのものをすっぽりと収納してしまった。
いや、実はさ。獣人国の湧き場を回ってたら、いつの間にかストレージが進化しててね?
この前は大きさが拡大しただけなんだけど、今回はそれに加えて複数のストレージが操作できるようになったんだ。
なんだこのぶっ壊れチートは、って呆れたよ。もう慣れたが。
その機能を使って、2番目のストレージへ複合魔法で起こった現象を吸い込んでやった。見事に全部納まっちまったよ。オレも驚いた。
でも、もっと驚いたのは他の皆。その場にいた誰もが固まっていた。姉妹姫と『賢者』だけでなく、後方に控えていた軍隊の人間も。
動じてないのは将軍とガル爺さんくらいだな。『勇者』が固まったのをポンポンと剣の側面で叩いて斬り合いを続行しているし、爺さんに至っては大口開けた『聖女』の頭から水をぶっかけている。
オーリィが率先してローブを破いてるぞ。お前ら、それ仕返ししてるのか?
「ケイン? 今の、何したの?」
驚きと呆れを半々に滲ませてルゥが訊いてくる。隣でリィもこくこくと首を振っている。
「何って……収納しただけだが?」
「……魔法って収納出来ましたっけ?」
「アタシは聞いたことないな。リィは?」
「無理、としか聞いてませんね」
「だよね~。やっぱケインは変わってるよ!」
「その一言では済まないと思うんですが……ケイン兄さまのやることですから」
おいリィ、オレを何だと思ってるんだ。
軽く睨んだら、笑顔を返されてしまった。はぁ、女の子の考えは良く判らん。
『賢者』の方は、まだ呆然としたままだ。ちょうどいいから邪魔者を追っ払うか。オレは後ろの軍隊に向かって『音量拡大』して呼び掛けた。
「そこに控えている全員に告げる。さっさと国へ帰れ。帰らないというんならこちらにも考えがある」
ストレージ2を軍隊の目の前へ動かして口を少し開ける。
「さっき収納した魔法を、お前らに向けて解放しようか。どっちがいい?」
一瞬沈黙、そして。
ドドドドドオォッッッ・・・・・・!
砂煙が舞い、軍馬がいななき、武器や鎧のぶつかり合う音が混然一体となって辺りを覆う。砂が収まった後には国旗やのぼりが踏みにじられて散乱し、人馬の足跡がたくさん残るだけだった。
「逃げ足、早いなあ」
「自分たちに不利だとみると一気に引くのがあそこのやり方だ。変わらんな」
オレの横に来た将軍がそう教えてくれた。え、『勇者』は?
慌てて探すと斬り合いをしていた場所でうつぶせに倒れている。背中が大きく波打っているところを見ると、スタミナ切れでダウンしたか。一方の将軍は涼しい顔で剣を肩に担いでいる。
「あぁっ、ローブがボロボロ! 誰よだれよこんな事したのはぁっ!」
びしょぬれで騒いでいるのは『聖女』だ。アーミンたちは姿を消している。
うん、確信犯だな。
オレは『アポーツ』を使って3人をオレの前に集めた。
さて、お説教の時間だな。
読んでいただき、ありがとうございます。
後半ではケインのチートが炸裂しました。
次回はお説教の予定ですが……。
明日(2/2)は所用につき、更新をお休みします。




