表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レアってマジ!?~巻き込まれて異世界探訪~  作者: 晶良 香奈
  混線! 獣人国とダンジョン編
PR
47/219

第43話

いろいろ訂正していて遅くなりました。

「じ、じゃ、……失礼、します……」

 身体が入る最低限の角度で開けて滑り込んできた人影は小さくて華奢だった。ただ、格好が何かおかしかった。


(何が……?)

 よくよく見ると、普通の格好なのに。


 だが、長袖の上衣にくるぶしまでのスカート、手には手袋をしていて頭には帽子。顔は……


(布でぐるぐる巻きにしているのか?)

 顔に傷でもあるのか、それとも恥ずかしがり屋なのか。


(あの声だと人見知りかもしれないな)

 そう思い至り、帰る旨を告げようとレックルの方を向いた。


 だが、その時。

 開けた扉が狭すぎたのか。足元が引っ掛かったのか。

 細っこいからだがよろめいた。


「あっ……」

 幽かな声を上げ、人影が倒れこむ。


「フィリー!」

 レックルが駆けてくるが、オレの方が近い。とっさに手を伸ばして支える。


 触れた途端、オレはその服の中身に驚いた。


(な、何だ、この、薄い体つきはっ!?)


 着やせ、では説明できないほど、細い体だった。


(この子、まともに食べてるのか?)

 さすがにそんなことは聞けないが、それくらいやせた身体で。


「あ、あ……し、失礼、しま、した……」

 それ以上におびえた返事をする。


「ごめんな、うっかり触ってしまった。怪我ないか?」

 脅かさないよう、音量を押さえてゆっくり話すことを心掛ける。


「あ、いえ、…ワ、ワタシこそ……その」

「レックル、椅子か何かないかな? 座らせてやりたいんだが」

 この子に話しかけるよりは、と、オレはレックルに話を振る。


「あ、ああ。すぐに持ってくるっす!」

 そう言うと、カウンターの後ろから椅子を出してきた。

「ここに座るといいっすよ、フィリー」

「あ、ありがと、レックル」


 差し出された椅子に座ったのを見て、おれの方がホッとした。声や体つきから少女だと分かったので余計にだ。


「大丈夫っすか? また調子が悪くなったんすかね?」

「あ、ワタシじゃなくて、長老様が、腰を痛めてしまって……湿布薬をもらおうと」

「長老っすか。ま~た鍬でも振るったんじゃないっすか、あの人? 気ばっかり若いから無理するんっすよね~」


 呆れた口調で話しながら、レックルの手は休みなく動いて調合していく。その手つきに迷いはない。


「で、寝てても口が達者だから煩いんっすよ。ああしろこ~しろって。フィリーにも八つ当たりしてんじゃないっすか、大人げなく?」

「まあ、レックルったら……」


 やっと緊張がゆるんだのか、小さく笑う。口元にあてた手首の袖がまくれて、中の腕がチラリ、と見えた。

 それは一見痣かと思うような色だった。黒い紋々が白い肌に浮き出して痛々しい。だが、当の本人に痛がっている様子はない。


(とすると、生まれつきかな? それは隠したくなるよな)

 何と言っても年頃のお嬢さんだし。やせぎすでも。


 それにさっきからレックルがそわそわしている。やたら口数が多いし、顔も赤い。


 うん、青春だな~。


 だとすると、オレはお邪魔虫以外の何物でもないわけだ。早々に退散するか。


 怖がらせないように棚の方を向いていたが、ゆっくりと体の向きを変える。

「じゃあ、オレはもう行くよ、レックル。邪魔したな」

「え、あ、ああ、ケイン……」


 お前、その返事だとオレの事頭から吹っ飛んでたな? まあいいけど。


「さっきは失礼したな、お嬢さん。じゃ」

「あ、い、いえ、ワタシこそ……」


 慌てて立ち上がろうとしていたのを手を振ってやめさせ、さて出ようとしたら。


「キュイッ」

 なんでこんな時に出てくるんだよっ、お前はぁっ!


「え? あ、アーミン、さま……?」

「あ~、そのアーミン、まだケインと一緒に居たんすね」


 驚いたように口を押える少女とカウンターから出てきたレックル。その手には紙袋が握られていた。


「レックル……この、ニンゲンさんと、アーミン様は?」

「あ、フィリーは知らなかったっすね。オイラ、ケインに森で助けられたんすよ。そん時にアーミンが一緒って事は分かってたっす。で、これ、湿布薬っす。使い方は中に入ってるっすけど……て、フィリー? 聞いてるっすか?」


 レックルが心配げに訊ねるほど、少女の様子がおかしい。わなわなと震えながらオレに近づくと、


「あの、ニンゲン、さん。……触っても、良い、ですか?」

 何やら必死に見てくる。て、さわる?


「握手で良いかな?」

 とりあえず、穏便に済ませる方向で手を出す。


「はい! あ、ありがとう、ございます!」

 あれ? 何故に感謝されるかな?


 手を出したまま、じっと待つ。少女は目を閉じ、息を整えてから、おもむろに両手でオレの手を包み込み……そのまま自分の額に当てた。


 その瞬間。


 少女とオレの間に光が生まれた。いや、正確には、繋いだ手の上、だな。


 まばゆいんじゃない。春の川できらめく陽光のような、朝日を受けて溶けてゆく初霜のような、そんな心が安らぐ穏やかな光だ。


 オレの中から何かが流れるのを感じる。多分これが魔力、と言うやつなんだろう。今まで魔法を使っておきながら感じたことなかったオレが鈍感なのかもしれないな。


 光が収まると少女はオレの手を放し、自分の手のひらを見せる。そこにはさまざまに色を変える、透き通ったビー玉状のものがあった。


「へえ、きれいだなそれ」


 ビー玉の表面を様々な色が流れ、一瞬たりとも定まらない、でもそれが当然といった風な存在感を主張している。元の世界に在ったオパール、アレに似ているんじゃないかな。


 などとのんきに考えていたんだが……少女の方はそれどころじゃなかった。


「で、出来、ました! ワタシにも、出来ましたぁ!」


 今までのはかなげだった様子は消え去り、飛び跳ねんばかりに喜んでいた。

 実際、あまりの喜びように顔に巻いた布がずり落ちかけている。腕もかなり露出してきて……あれ? なんだか紋々が薄くなってないか?


「フ、フィリー落ち着いて! ケインがビックリしてるっす!」

「あっ……やだ、ワタシ!……ご、ごめんなさいニンゲンさん」

「あ~~、いや、別に謝られるようなことでは……それより、今のは何だったか教えてくれるかな?」


 オレとしては今の現象の意味を教えてほしい、切実に。


「は、はい。あの、ワタシのスキルなんです……」

「スキル?」

「そうっす。ただ、今まで発動したことなかったんすよ、一度も」

レックルが隣で補足する。


「ちなみにどういったスキルか教えてもらえる?」

「……『触れた相手の魔力を魔珠として顕現させる』です」


「魔珠。ならこれは」

 手のひらのビー玉を指さす。

「オレの魔力、って事?」

「はい、そうです!」


 嬉しそうに肯定してくれるな、この子。いや、スキルが使えてうれしい気持ちはよっく分かるよ。オレの時もそうだったから。でも、何故このタイミング?


「前に、村のおばば様に言われたんです。『アーミン様が手伝ってくださる』と。だから、だから」


 そう言って、オレの前で跪く。ちょ、やめて!


「アーミン様、お力をお貸しいただきありがとうございました。心より感謝申し上げます」

 うん、オレじゃなくってオーリィにね。なるほど。


「お前にだってよオーリィ」

「キュル~~~」

 あ、こいつも困ってる。


「ケインはフィリーまで助けるんすね、凄いっすよ」


 レックル。お前、そんなにイラついた声出すなよ。

 オレがお邪魔虫だって事分かってるからさ。


 俺たちの駆け引きなどわかってない少女が更に爆弾を落とす。

「その上でお願いがございますアーミン様。ワタシたちの村へお越しいただけないでしょうか?」





 遅くなりましたが読んでいただき感謝です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ