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レアってマジ!?~巻き込まれて異世界探訪~  作者: 晶良 香奈
  ポイ捨てから旅立ちまで
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第1話

 長く温めていた作品です。やっと文章にできました。

お暇でしたらご一読くださいませ。

「よぉ、【生肉】のケイン、元気でやってるか?」

 そのあとに続くのは嘲笑交じりの笑い声。

 それを無視して歩いていると、

「おいおい、返事もないのかよ。寂しいじゃねぇか、ええ?」

 そう言って複数人で囲み、裏道へ引っ張り込む。いつものことだ。 


「何の用だ」

 仕方なしに足を止めて見回す。4人ともにやにや笑っている。

 正面にはピート。左右にドイルとニック。後ろには大柄なボリスが立ち塞がり、表からは見えないようにしている。


「今日はどれだけ取れたんだ、ホーンラビットは?」 

 正面のピートが追及してくる。

「そんなことを言う必要は無いだろ。通してくれ」

「後は肉屋に行くだけなら急ぐ必要なんてないじゃねぇかよ」

「いつもより遅い時間なんだ。無駄話している暇はない」 


「ほうほう、無駄話、ねぇ。じゃあとっとと済ませようか」

 言うなり、両脇の奴がオレの腕を抑え、ボリスが肩にかけていた袋を取って逆さに振った。どさどさと解体したホーンラビットがぶちまけられる。


「それは売り物だ、汚すな」

「ふん、俺たちに口答えなんて、良い度胸になったもんだなぁ、ええ?」

 そう言うと表情を変えて、

「おめぇなんざ、黙って肉を狩ってりゃいいんだよっ!!」


 いきなり腹に一撃が来た。


「ぐっ……!」

 痛みに思わず膝をつくとそこに容赦ない蹴りやらパンチやらが周りから浴びせられる。

「ふんっ、今日はおめぇの減らず口で時間を喰っちまった。この肉で許してやるからありがたく思え、この欠陥スキル持ちが!」


 思い思いにオレをののしると、そこにあったホーンラビットをあらかた持って行ってしまった。


「くそっ、やりたい放題しやがって…!」

 傷む体を起こして残った肉を袋に詰め、ゆっくりと歩く。

 何回か曲がって、目的の家まで来た。


「グィード爺さん、遅くなって済まない」

 声をかけてから入り口をくぐる。外は夕闇が迫って暗くなってきたが、中はさらに暗い。


 初めての人間なら立ちすくんで進めなくなるんだろうが、オレはもう慣れっこだ。すいすいと歩いて突き当りを右に折れ、扉を抜ける。


「今日の分だ。だいぶ目減りしたが、な」

「また、あ奴らか? まったく、いい若いもんが強請りたかりで暮らしておるとは……。この街も堕ちたもんだ」

「あいつらなんて可愛いもんさ。ギルドに行ったらもっとひどくなる」

「それもあってお前さんは寄り付かんのじゃろう? ギルマスは真っ当な奴なんじゃが」

「部屋へたどり着く前にオレがやられるよ」


 あいつは融通が利かんからのう、と嘆きながら静かに近寄ってきて、

「ふむ、今日も派手にやられたの。まあこれなら儂の軟膏で何とかなるか」

 右手を伸ばして棚から小さなツボを取り出すと、ふたを開けて差し出す。受け取ると、薬草特有のつんとした匂いが鼻に届いた。


「こいつ沁みるんだよな、結構」

「何を言うとる。よく効く証拠じゃ」


 ほれほれと突き出してくるすくい棒で薬を掬い取り、傷に塗る。ピリッとした感覚の後、じんわりとした熱がその場所を温め、痛みが消える。何か所かあった傷も同じようにして治った。


「毎回思うんだが、爺さんの薬は規格外だよな。作るところ見ててもさっぱりだ」

「錬金術の賜物じゃからの、部外者には理解不能じゃ」

「その理解不能なのがこの袋だけど、正直助かってるよ。これだけあればしばらくは食いつなげるしな」


 ベルトの内側から出してきた小さなきんちゃく袋。小銭入れとも思えないくらいの小ささだが、そこに手を突っ込んでみると。


「こんななりなのに、どうしてホーンラビットが10頭も入るんだろう……」

「ほっほっほ。アイテムボックスとはそういうもんじゃ」

「言ってる意味は分かるんだが、感情が追い付かない」

 グィード爺さんの笑い声に頭を振るが、気を取り直して台所に向かう。いつもより遅くなったが、晩飯の準備をしないと。


 調理台に乗せた肉の塊を一口大に刻んで、半分は油で揚げてザルに入れておく。残りの肉はさらに細かくして野菜と一緒にスープで煮込む。同時進行でやったからスープとから揚げがほぼ同時刻で食卓に並んだ。


「爺さん出来たぞ」

 呼ぶと、静かに近寄ってくる。座ったまま、動く椅子に乗って。


「その椅子も凄い物なんだが、見慣れるとなんてこともないな」

「それも真理のひとつじゃろ。さて、頂くとするかな」

 二人で食卓を囲み、オレが作ったものをほおばる。


「うまいのう。お前さん、冒険者よりも料理人になったらどうじゃ」

「こんなの、料理のうちにも入らないさ。不器用だしな」

「そうかのう。もっとも、料理店は身元の確かなものでないと雇わんのは事実じゃが」

「オレは所詮男の手料理でしかない。シェフなんてものには縁がないね」


「お前さんの理想が高すぎると儂は思うんじゃがな」

「理想は高く、現実は着実に。オレのモットーだ」

「心にもないことを」

 何のかんのと言い合いながら食事を終える。


 食器を片付け、台所をきれいにして戻ってきたら爺さんがカップを差し出してきた。そこには真っ黒な飲み物が。


「おおっ、こいつは!」

「お前さんが焦がれているモノじゃないが、かなり近いとは思っとる」

「ん……ああいや、これはこれでうまいよ。薬草か?」

「ああ、この前持ってきてくれたこいつでな」


「…! ああ、わかった。タンポポコーヒーか!」


「たんぽぽ、か。こちらじゃダンディリオンと言う名じゃ」

「ふうん。似て非なものかもしれんが、植生は近いんだな」

「そうじゃ。そのせいでお前さんはいらぬ迷惑を掛けられたんじゃが」


「もういいよそのことは。まだ納得はしてないけど、蒸し返したくないし」

「まことに済まん事をしたのう。儂の謝罪じゃ何の重みもないが」

「やめようよ爺さん。前からの繰り返しは」


 オレは笑いながらコーヒーもどきを飲み干す。多少違うが、懐かしさに胸が熱くなった。


「たびたびで済まんが、また見せてくれんか」


 グィード爺さんが水晶球を持ち出してくる。頷いて手をかざすと、水晶珠に光が灯る。

 そしてその中にオレのステータスが浮かび上がってきた。



  名前  ケイン (**:****)

  職業  冒険者 (異*界被召**・巻*込ま*し**)

  POW  15 (ス*ル発********き初期**固定)

  STR  15 (スキル*現要****に*き*期*力*定)

  VIT  15 (**ル******成に**初***固*)

  DEF  15 (*キ***要*****つき***力**)

  MGP  15 (ス*****件*****き*期能***)

  MGR  15 (*キ**現要*****つき***力**)

  INT *** (*********成に*****/不**)

  *** *** (ス***現**未達**つ***示/不**) 

  *** *** (****************/***)


  スキル ***(レア) (スキル******につき**示/不発*) 

      *****   (上*ス*ル******に*****/**動) 

  特殊ス** **神の*護と**



「おおっ、凄いな爺さん! 読める部分が増えたな!」  

「むう……これでもまだすべては無理か……」


 喜ぶオレと難しい顔をしたまま唸るグィード爺さん。

 そう、オレは巻き込まれてこの世界に来てしまったんだ。






 初めて書く異世界召喚ものです。

最初は殺伐としていますが、基本はほのぼのを目指しています。

出来るかぎり毎日更新を心がけますが、遅くなるかも^^;

気を長くして待っていただけると幸いですm(_ _)m


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[気になる点] 「あいつらなんて可愛いもんさ。ギルドに行ったらもっとひどくなる」「それもあってお前さんは寄り付かんのじゃろう? ギルマスは真っ当な奴なんじゃが」 ギルマスは、真っ当だけど無能と言うこ…
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