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運命を変えるその日まで  作者: 泳げない魚
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目覚め

まだまだ書きなれていないので投稿ペースはかなり遅いです。

 窓から差し込む太陽の光が優しく意識を浮上させる。太陽の光が良く当たる木製の簡易ベッドの上で丸い何かはもぞもぞと動く。


 朝はまだ冷えるのか少年は毛布を頭まで深く被るともっと丸くなり、脳が促す心地よい睡魔に負け二度寝を始めようとする。


 しかし、それを許すほどこの場所は優しくない。


 カンカンカンカンカン!!


 金属同士をぶつけたやかましい音が部屋に鳴り響く。


 毛布から不機嫌そうな顔を隠そうともせず顔を覗かせる少年。


 「んんぅ?」

 「んんぅ?じゃないはこのバカ弟子。今何時だと思ってんだ!もう全員揃ってるから早く広間に来い」


 黒く長い髪を後ろで結び、猫が印刷されたエプロンをかけた二十代後半ぐらいの美女がフライパンとお玉を手に声を張り上げる。


 「まだ早いですよぉ。後、1時間〜」

 少年はまだ寝たりないのかもう一度毛布深く被った。

 「レン!!起きないなら飯は抜KI…」

 「もう起床してるであります!お師匠様!!」


 飯抜きを言い終わる前に寝癖を付けたまま物凄い速度で起き上がった少年…レンは寝間着のまま部屋を出ようとする。


 「ハァ…ほんっとに現金な奴だな…。せめて着替えろバカ弟子」


 呆れたかのようにため息を付きつつ部屋を出て行く美女。


 「……またあの夢を見たなぁ」


 着替えながら思い出すのはあの地獄。自分からすべてを奪ったあの出来事。




─────────────────────────



 どうして?

 どうしてこうなった?

 何か自分が悪いことをした?

 夕飯をつまみ食いしたから?

 それとも皿を割ったのを隠したままにしているから?

 

 違う。


 でも、違うならなんで今。お母さんとお父さんは燃えてるの?


 なんで、僕が生まれ育ったあの家は燃えているの?

 

 炎が唸り上げて村全体を焼き包む。


 いつも村をつつんでいた村人の笑い声は悲鳴と怒号に変わり、稲穂が美しかった畑は蹄と軍靴に荒らされている。

 

 目の前で燃える民家の中から変わり果てた両親の声が聴こえる。


 「ニゲ…!レ…!!」

 「ハヤク……コ…カ…ハナ…テ!」


 黒焦げの何かがこちらに手を伸ばしながら叫び続ける。喉が焼け爛れてまともに声が出せないんだろう。業火によって熱された空気が気管と肺を焼き爛れさせる。


 「いやだ!お母さん!お父さん!はやく…はやくこっちに来てよ!」


 小さな影が必死に呼びかける。


 なら、君が助ければいいじゃないか。

 夢の中で何度も繰り返し見たこの光景。目の前で両親が焦げて行くのを見る事しかできない小さな影をただ後ろから見つめるだけ。

 

 今まで何度思ったことか。

 なぜあの時助けに行けなかったのか。

 なぜ火を消そうと努力しなかったのか。


 幼いながらに自分の無力さを知らされた。


 あぁ、来る。

 いつも迎える結末が。


 ミシッ!

 民家の柱にヒビが入った。

 外壁が剥がれ、天井が落ちる。


 「イキ…テ…レン」


 母とも父とも分からないその言葉を最後に自分が産まれてから8年過ごした思い出が崩れた。


 瓦礫の重量に押し潰され肉塊が飛び散る。

 自分の周りを炎とはまた違った紅が染めあげる。


 「ウワァァァァアアアアアァアア!!」


 少年は泣き叫びながら頭を掻きむしる。


 「グゥアァ!!嫌だ!嫌だイヤダイヤダ!返せ!返せ!!」


 掻きむしった頭皮から血が流れ、顔を濡らす。

 爪が剥がれ落ちてもなお掻きむしり続ける。


 そんなことをしても無駄なのに。

 どうやったって結末は変わらない。

 運命に縛られた人間という種族にはどう足掻いても結末は変えられないのだ。

 

 遠くの方から蹄の音が聴こえる。

 パカラッパカラッと一定のリズムを刻みながらこちらに向かってくる。

 

 やがて、自分を覆うほどの大きな影が目の前に現れた。


 「君は…もう壊れてるな。殺さずとも死ぬだろう。絶望の果てに君は何を見る?」


 銀色の甲冑。胸に刻まれた国章。


 ゆっくり顔を上げる自分。


 「ふふっ、なるほど……これは面白い。私の名前を教えとこう。私は─────────という」


 貴族特有の金色髪に今は業火によって紅く染まった青色の瞳。美しく整った顔立ちをしていた。


 「騎士をやっている者だ」


 騎士……。

 こいつが僕の……

 俺の人生を狂わせたやつ。


 「…殺す」


 自然と口から溢れた言葉だった。


 「私を殺す…か。いいね、楽しみしておこう。殺したければいつでも来るがいい!私はきみを待ち続けようじゃないか!」


 ─────────はそう言い走り去っていった。


 「殺す。殺してやる…。騎士を全員…」


 このとき俺は誓った。

 両親を村のみんなを殺したあいつを…


 「「皆殺しにしてやる」」


 夢の中の幼い自分と声が重なる。


 


───────────────────────────────



 意識が浮上すると着替えはいつの間にか済んでいた。

 

 鏡の前には東洋のドウギと呼ばれるものを着た自分が涙を流しながら立っていた。


 「………ん。行くか」


 そういい俺は涙を拭い部屋を出た。


読んでいただきありがとうございます。

このあとどうするかはまだまだ未定です。

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