(初めての敗北)
ShadowsⅡ2(初めての敗北)
アメリカのロスのとあるレストラン。そこでシェフの修行をしているジェフは結構働き者の若者だった。チーフシェフのマクガイヤーに文句を言われながら失敗も時々しながらも健気に働いていた。
そのレストランは道路沿いにあって駐車場が広く日本で言う昔のトラック野郎達が結構休憩に来て食事をして行く。今日もてんやわんやの慌ただしさの中ででシェフとわいわいやりながらジェフはこの日も一生懸命に食事を作るのを手伝っていた。
そんな中で夜、ジェフは空耳を聞く。その声は『誰か聞こえる?』と聞こえた。ジェフはなるべく聞かないようにしていたが、それでも聞こえて来る。『・・・私の声が聞こえる?』と思わず「うるさい!」と答えてしまい周りのトラック野郎達に「なんだと!」「もういっぺん言ってみろ。ぶっ飛ばす!」と威勢が良い声に我に帰るジェフ。「悪かった。あんたたちに言ったんじゃないんだ」と謝ってその場を離れようとするジェフに「なんだ腰抜けか!」と言う侮蔑の声が飛ぶ。
『なんだと!もういっぺん言ってみろ』と心の中で思ったがジェフはキッチンに戻って行く。『やっぱり腰抜けなんだ?』と言う誰かの声がまたする。『うるさい!俺に話しかけるな!』そう心の中で思いながら「シェフ少し外します」と言い外の空気を吸いに行くジェフ。
外でゴミを入れるコンテナに蹴りを入れながら「こん畜生!なんなんだこの声は?」と八つ当たりしているジェフだった。そこにまたも声がする。『あなたの名前は?』と聞かれて「ジェフだ!お前は誰なんだ!何故こんな事をする?!」と叫んでいるジェフ。周りから見られたらあいつはちょっとおかしいんじゃないか?と思われかねない。
『私はジェニファー。あなたのような能力者を探していたんです』と聞こえる。『能力?能力とは何だ?』そう聞くジェフ。『あなたの能力は何でしょうね?それを知りたいから今から会いに行きます』と言う。
30分ほどしてジェニファーと言われる女性とジョンが車で現れる。ジェニファーはアメリカで活動する為、白鳥瑤子が見つけ出した通訳兼テレパシストだった。顔は白人特有の彫の深い顔で髪の毛は長めの黒だった。頭が良く能力者になったのに『その能力を自分たちの利益の為に使ってはいけない』と言うShadowsの考え方を否定していた。その為に自らShadowの薬を飲んで白鳥瑤子の味方になったのだ。
ジェニファーはジェフにShadowと言う薬がある事。それによって戦いが始まっている事。今迄は向こう側の人間にやられ続けている事などを話す。と同時にジェニファーはジェフを操ろうと知らぬ間にジェフの深層意識に入り込み弱みを見つけようとする。ジェフは簡単に操られてしまう。その弱みとは子供の時に怒りに任せて自分の家を滅茶苦茶にしてしまった事。その能力はテレキネシスのようだ。だが今は自分でコントロールしてその能力を封印しているようだとジェニファーは読み取った。その封印を破るにはあのShadowを使うかそれとも・・・。とジェニファーはジェフを怒らせてみる事にした。
「さっきの声は聞こえていたわよ。何故怒らないの?なぜやられっぱなしで我慢するの?それでも男なの?」と畳みかける。そしてジェフが怒りだす。「なんだと!もういっぺん言ってみろ?女だと思って良い顔をしていると思えばつけ上がりやがって!いい加減にしろ!」そう言うとジェフはテレキネシスを使ってゴミを入れるゴミバケツをジェニファーにぶつけて来る。そこにジョンが間に入ってジェニファーを庇う。ジョンはゴミバケツに蹴りを入れて弾け飛ばした。さすがにジェフもやり過ぎたかとそこで攻撃を止める。ジェニファーは「ごめんなさいね。あなたを試したの。これからの戦いは物理攻撃が出来るようになるかどうかね」と話す。
今までは能力を持っていると言っても火、水、氷、土、雷などの物理攻撃が出来る者はいたがいずれも別の空間とかで敗れている。これからは現実世界での物理攻撃が出来る方が有利なんだと言うジェニファー。だがこの能力が敵にも現れるかもしれない。
今はこの能力者のジェフが味方でいてくれる。そう思うだけでも弱い心に強さが戻って来るようだとジェニファーは思っていた。
早速、ジンにジェフをぶつけてみる事にするジェニファー。ジョンにジンの居所をハックするように言うジェニファー。それなら掴んでいますとジョンは言う。此処からそう遠く無い、いつもいる喫茶店の側のモーテルに泊っていますと言う。
一方のジン。昼間の攻撃が終わりモーテルに戻り少しだけ寛いでいる。時間はまだ10時頃か。少し早いけどもう寝るかなと考えているジンだった。だがちょっと眠るには早かったようだ。ジェフが攻撃を仕掛けて来た。それはいきなり始まった。ジンがいるモーテルは3号室だったがそこに猛スピードで突っ込んで来る大型トラックがあった。ゴゴゴゴゴ・・・。その音に寝入り端を起こされてジンは飛び起きた。そして自分の周りに鋼鉄のバリアを張る。と同時に大型トラックがモーテルの3号室に突っ込んで来た。ドドドッドドドドドドドド・・・。凄い地響きと共にトラックの前面が飛び込んで来てジンは不覚を取ってしまう。だが何とかバリアのお蔭で命だけは取り止めたようだ。肋骨何本か逝ったなと独り言を言う事だけは出来るようだが対抗する事は出来ずにいた。
今回は完全に負けの様だとジンは考えた。ちょっと見くびっていたかなと考えたが今回もそれ以上の攻撃はして来ないようだ。まだ様子を見ているのか?意識がだんだん薄れながら何故だ何故攻撃してこない。そう思っていた・・・。
今回Shadowsのジンは初めての敗北を喫する。七海の方もジェフを味方にしたばかりで信頼出来るかどうか分からないので一撃の攻撃だけにしたようだ。日本の尾形はどう出るのだろうか?