パーティーメンバーを探そう☆ミスると勿論死人が出る。
……
「ぐっぐぉおぉぉぉぉっ!!!」
お尻から黒煙を立ち登らせる死神のカノーネ。
お尻を抑えてうずくまり痛みでプルプル震えていた。
その後ろでは数歩離れたフェちゃんが害虫が目の前で圧死してるるのを見ているかのような目を向けている。
「いきなりケツが爆発したけど大丈夫か、おい。」
「…問題ない。」
そう言って手で触って確認した。
良かった!お尻ある!
…………………。
……………………………。
痛みも引き歩けるようになったカノーネはフェちゃんと校内の中庭を歩いていた。
「所でクエスト実習とは何をしなければならないのだ?」
「あ?」
あっ???
何故か半場キレ気味のフェちゃんは目を限界までに開き我をガン見してきた。
ちょ凄い怖い。
「きょ、今日入学したから色々わからんのだ。ごめんなさい。」
「ひへへっ…まずわなぁ」
そう言って彼女は腰に吊るされた漆黒に染まる剣を鞘から引き抜いた。
「ちょっ何故剣を抜く!?」
黒光りする剣フェちゃんはおぞましい笑みを浮かべ腰を屈め地面がえぐれるほど力み宙へと身を飛ばす。
そしてそのまま剣を振り下ろした。
ガツンと鋭い音。
気がついたら我は鎌を使って剣を弾いていた。
「いいねぇ!いいねぇ!ひへへっ…各パーティーに配られたクエスト内容は皆バラバラなんぜ?」
猫のように器用に地面に着地したフェちゃんは体を捻りアホみたいなパワーで切りかかる。
「はっはぁ!それで!我らのクエスト内容は?ぐっ!」
それを死神の鎌で相殺させる。
やばい腕折れそう。
「いひひっ…まずはパーティーメンバーを1人増やすだってよォ!」
剣の攻撃をを相殺されたフェちゃんは次は乱れ突きを繰り出した。
一つ一つの一撃が重すぎてもう限界を迎えそうな死神。
これが勇者課程の実力か…じゃないよ。
力を振るう方向間違ってるよ?
「めっ…目星はあるのかっ…ふぅ」
カノーネは乱れ突きを交わす交わしきれないのを鎌で弾いた。
凄いな女神様これが火力を上げてとお願いした結果か。
マジ感謝。
「あああ???っあるわけ…ねぇだろっ!」
…………。
校内2階の廊下。
たまたま通りかかった男子生徒二人が窓から中庭を見た。
「おいおい、なんかやり合ってるぜ?」
「なんか叫んでるな、決闘かなにかか(笑)」
「物騒でやだねー(笑)」
……。
フェちゃんは叫ぶと地面を蹴り抜きとてつもない勢いで薙ぎ払った。
勿論我は鎌で受け止めたが力の違いを実感する。
あっ、これ…軽自動車とブルドーザーだ!
勿論我は前者である。
ぶっ飛ばされる我は中庭の銅像にぶち当たりその場に倒れ込んだ。
「ぐはっ…フェちゃん…気に入らない人…切っちゃうじゃ…ないか…。」
因みに銅像折れた。
校長の銅像。
ゆらゆらと近ずくフェちゃんは虫の息の我に剣を突きつけた。
「人☆選タイムだ。」
…。
ってこれ、決闘とかじゃないからね?
パーティー内の話し合いする時毎回すんの!?
なにこれしんど!!!
………………。
…………………………。
保健室からのリスタート。
とてつもないタイムロス。
もうほかのパーティーは内容こそは違うものの最初のお題をクリアした頃だろう。
「なぁ…こいつはどうだ?強そうだぞ?」
そう言って我は鎧を身に纏う戦士を指さした。
それを見たフェちゃんは手を剣に
「早いっ…せめて話をしよう!」
「私にわ分かる。あいつはナンセンスだ。」
「いや、我からしたらフェちゃんの方が相当ナンセンスだぞ!?」
「あ?なんか言ったか?」
「いや、ハイセンスすぎて辛い!」
彼は切られた。
「なぁ…彼女はどうだ?魔法使いそうだぞ?」
そう言って我はとんがり帽子を被りうねる木の杖を持った女子生徒を指さした。
それを見たフェちゃんは手を剣に
「だから早い!凄いな!早い!やめよう!チェンジチェンジ!」
フェちゃんはカノーネを睨み柄から手を離す。
「お前…真面目にやってんのか?」
いや、こっちのセリフだわっ!
…………。
廊下を歩く2人…。
我は骨しかないのに足が棒になるどころか全身が棒になるかのような疲労感。
棒も骨もぶっちゃけ変わらんけどな!
フェちゃんは全身血しぶきに塗れている。
相変わらず視線は忙しなくいつ倒れてもおかしくないような動きでフラフラと歩く…時折痙攣する。。
まるでゾンビ!
これまでやって分かったことが一つある。
だっ…ダメだ!
全っ然進まねぇ!!
「なんで…俺…切られて…グホァ!」
フェちゃんにぶった切られたアサシン課程の男子生徒が吐血し倒れる。
これで八人目だが、俺が指さすやつだいたい切られる!
て言うかもう俺が命令して殺ってる感じ?気分は魔王幹部?違うわい!いい加減にしろ。
これ、この学園滅ぼしてるよ!
そんな巨悪の原因フェちゃんは…
「あーっ、イライラしてきた。」
イライラしてるよ!!!
どーすんだよっ!
危機きたよ!
次は我切られるよ。
………。
歩き回ってたら食堂に来た。
と言っても色々回り道(フェちゃんに付いた血飛沫を落とすなど)してきたのでかなり時間が経ったはずだ。
机が奥まで綺麗に並び目の前には券売機がある。
食堂からは色々な食べ物が混ざりあったお腹が減るような香りがした。
まぁ、死神だからお腹減らないけど。
時間を見たらもう昼か…。
「あ゛ぁ…ショータイムの始まりだぜぇ…。」
どうやらここが次の惨殺現場でパーティ会場らしい。
このように彼女もヤル気まんまんですね。
という訳にも行かない…いや行かせない。
「な、なぁ!ところでフェちゃんお腹すいてないか?もうお昼だしさ!」
するとフェちゃんはポケットを探る。
おもむろに栄養価の高いゼリー状のパックを取り出しお昼ご飯を吸い始めた。
ぺっ…と数秒で飲み干すとそれをゴミ箱に捨てた。
そして手を剣に
「早い!何故に!?」
「あ゛ーもう抜いとこうかと思って。」
「いや、それパーティーメンバー探す前につまみ出されるよ。」
フェちゃんは舌打ちをし柄から手を離す。
思いとどまってくれたか!
そもそも朝っぱらから人を切って回るせいか我らの噂を聞きほとんどの生徒が我らと目を合わせようとしない。
筋肉質の男子生徒もアイドルのように可愛い少女生徒も不良生徒でさえ逃げてゆく。
我は少し諦めていた。
その時だった。
「あーっ…誰が俺をパーティーに入れてくれねぇかなぁー!!…あーっ、入りたいなー、俺フリーだからさー…どこかに入れるところねぇかなー!あー入りたいなぁー誰か!!あー入りたい!」
!!?
なんて食堂のど真ん中で1人で叫んでる奴がいた。
…あいつは余程死にたいらしい。
というかあれだけアピールしてて誰も誘わない時点でお察しな気がするが。
…まだ叫んでいる。
「へはは…いい度胸してんなぁ…」
フェちゃんはなんの躊躇いもなく剣を抜いた。
「いやっ…喧嘩売られてる訳じゃないから!」
「あーっ入りたい!入りたい入りたい!んほぉ!入りたい!」
いっや、わかんねぇなっ喧嘩売られてるかも知れん!!
取り敢えず声の主とんだ命知らずを俺は探した。
勿論すぐ分かったがその奇抜さに俺の読みは的中する。
声の主は半裸だった。
とても筋肉質少し行き過ぎた日焼け。
そして何故か頭だけ中世のヨーロッパ騎士兜。
そんな変態が座っていた。
そして昼食は焼き魚1匹。
仮面を取らず眺めている。
あっヤバい奴だ。
嫌な予感がした。
「フェちゃんあんなのは放置しよう。体育館!ほら体育館とか行こう。」
だが返答はない。
フェちゃんは我の横にいなかった。
ふぁ!?
っていつの間にかその変態の前にいる!?
我はフェちゃんを追った。
我がフェちゃんの後ろに着いた時…彼女は既に剣を振り上げ出ていた。
ダメだったま1人犠牲者がっ!
「フェちゃ」
「そこの女子…切る気か?」
ピタリと寸前の所でフェちゃんの剣は止まった。
この変態…もしかして出来る変態か!?
フェちゃんの刃を見切ったのか?
「ちっ…そこの筋肉ゥ…何等分がいい?3等分か?4等分かぁ?あぁ?」
フェちゃんは剣を構え直し次の攻撃に入ろうとしていた。
もう我に止める術はない。
すると変態は自分の前にある1匹の焼き魚を指さした。
「おう…2等分で頼む。」
いや、おう…じゃねぇよ魚じゃなくてお前だぞ。
そうか、彼…もとい変態はフルフェイスの騎士兜をしているせいで周りが見えてないのだ。
「へはは…ふへ…任せとけぇ。」
振り上げられ剣の重量とフェちゃんのパワーで繰り出される強烈な一撃。
変態はぶった切られた。
「だっ大丈夫か!変態!!!」
その変態は叫ぶことすらままならず椅子から崩れ落ちるように倒れ床に赤い水たまりを作る。
が、
「俺は変態じゃない。ウェルダンだ。それとそこの女子…切る方を間違えているぞ?」
そう言って変態…ウェルダンは立ち上がった。
生きている!
生きているぞこの変態!
あと多分間違えていないフェちゃんは最初からお前を切る気だったぞ。
もとい殺る気だったぞ。
「ふはっ、ふへへ…ふははははっひはははははははははははっ!!」
ヤバい!
フェちゃんがヒートアップしている!
そのままさらに剣を振り回すかと思ったがフェちゃんは剣を鞘に戻した。
!?
「あ゛ぁ…合格だ。ウェルダン。私のパーティーに入れてやるよ。」
「えっちょ、我の意見とか聞かない訳!?」
こんな変態パーティーに入れたらさらに収拾がつかなくなる…
ってか 、この無意味と思えた通り魔にそんな思惑があったとは…
「ホッ本当か!!?一昨日からやってたんだが誰も声すらかけてくれなかったんだ!」
……。
「わ、我も歓迎しよう。」
流石に我も同情した。
フェちゃんは適当に椅子に座り膝を組む。
ため息混じりに口を開いた。
「本当わよぉ…もっとしっかりした奴が良かったんだけどなぁ…なんかめんどくさくなったわ。…だる。」
どうやら通り魔にそんな思惑があった訳ではないらしい。
「…俺は死神のカノーネだこっちは勇者のフェちゃん「あ?何かってに紹介してんだよ。」で、ウェルダンは狂戦士かなにかか?」
ウェルダンは鼻で笑った。
「皆勘違いするんだ。俺は癒術課程の回復士だ。」
その肉体と変態的な見た目からは想像がつかない。
「あ゛ぁ?回復か?当たりだなぁ。流石私だぁ…」
「回復士は珍しいのか?」
その問いにフェちゃんは体をがくがく震わせ悪魔的な笑みを浮かべる。
「当たりめぇだろぉ?ふへへ、回復士はほかのパーティーも引っ張りダコだぜぇ?いっその事ほんとに2等分しちまえば良かったなぁ。回復士を2人ゲットだぜ?」
「フェちゃんはウェルダンをプラナリアとか何かと勘違いしてないかっ?」
なんて危険な発想の持ち主なんだこの子は。
「フェちゃんとカノーネ…取り敢えず保健室行っていいか?出血がとまらないんだ。」
ああ、そう言えばウェルダン…フェちゃんにぶった切られてたね。
「なぁ、回復術は自分には使えないのか?」
「あぁ、そう言えば俺は回復士だったな。いつも鏡で見る自分からは想像ができなくてな。」
余程のバカなのかついに血液が頭を回らなくなったのか。
「ならば見せよう。俺の奇跡の回復術をっ!」
そう言ってウェルダンは腹部にある傷口に手を当てた。
「ヒール!!!」
緑色にほのかに光ると同時にウェルダンがドクンと揺れた。
瞬間…ウェルダンは全身の穴という穴から血を吹き出した。
「うおおおおっ!?ウェルダン!だっ大丈夫か!?」
流石にウェルダンもよろけて膝をつく。
やっとの事で額を上げグットサイン。
「おう、成功だ。」
「いや、どこがだよっ!」
その後ろでフェちゃんが吹き出した。
「ぶっはは!こいつは当たりだなぁ!」
「いや、なにがだよっ!」
笑ってる場合じゃないっての!
「そ、そうだったな。このヒールは対象を破壊するヒールだったな。」
「いやもうそれ回復じゃないよね。」
チッチッチッとハンドサインをするウェルダン。
「うおおおおっ!俺の全力を見せてやるぜ!」
膝をついたまま謎のオーラを纏うほど力むウェルダン。
「お、おい、ウェルダンほんとに死んでしまうぞ!」
「フィールドヒールッ!!!」
食堂が一瞬光った。
……………………。
………………………………。
保健室からのリスタート。
とてつもないタイムロス。
あの後勿論食堂は爆散。
我は死神であるからかある程度のダメージ無効し薄々そんな気はしてたがフェちゃんもそよ風程度にしか思っていなかった。
爆心地というか爆破元…ウェルダンは真っ黒になって潰れていたが保健室でどうにかなった。
なってしまった。
学園の保健室は最強の魔法具が整っており指一本と魂があれば蘇生できるとかなんとか。
その為フェちゃんがぶった切った生徒も一命は取り留めているらしい。
だが保健室の魔道具は巨大故に持ち運びが困難らしく蘇生術も学園の中だけとなっている。
「いや、やっぱり無理だったな!」
ウェルダンを通り越したウェルダンが帰ってきた。
「ウェルダン…無理を承知ならしないでくれ。ウェルダンは帰ってきても食堂は帰ってこないんだよ。」
あぁ、食堂のラーメン…くっ…。
しょんぼりするウェルダンを無視しフェちゃんがクエスト内容の描かれた紙を持ってやって来た。
「お゛お゛ぃ!!次のクエスト…迷いの森を攻略せよとか抜かしてやがるぜぇ!!おっら!」
そう言って我に剣を振るうフェちゃん。
「またか!またなのか!?」
否が応でも応戦せざるを得ない死神。
「ヒールヒールヒール!!うららららららららららららららららららららららららららららら!」
広げた手のひらを交互に突き出しヒールを連射するウェルダン。
そこにいきなり現れた担任教師…。
食堂の件。
この戦闘の意味。
聞きたいことは分かる。
基本微笑む先生勿論今は笑ってなどいない。
もう我は言い訳を考えるのをやめた。
次回予告
◤◢◤◢WARNING!◤◢◤◢◤◢
霧に包まれる怪しげな森!なんていやらしい!!
こらウェルダン道草を食べない!(物理)
こらフェちゃん油を売らない!(物理)
このカノーネが棒無しポールダンスを見せる時!?
お楽しみに。