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魔眼の子 〜金環のアーモン〜  作者: きょうけんたま
蜂の巣ダンジョン編
96/206

クモの上から

「……俯眼……発動」


 クコの茶色の瞳が輝いていた。



「え?」


「どう言う事?」


「……みんな……発動したから」


「クコ魔眼なの?」


「……そう……上から……見れる」


 クコは俯瞰(ふかん)眼、上から見下ろすような視点の魔眼『俯眼(ふがん)』の持ち主であった。

 川の民の居住区をバリアのように守っていた空の川。

 その空の川から見下ろすような視点であった。


「なによー、全部見えるです」


「うおっ! 何だこりゃ」


「魔眼かぁ!」



 まるでドローンで見下ろすような視点にする『俯眼』。

 その視点を広範囲に広げたり絞ったりする『千里眼』。

 あちこちで跳ね上がる魔力の様子が見える『魔力視』。

 細部まで地形や内部構造が把握出来る『解析眼』。

 それら全てを『金環』の効果で全員が把握共有していた。

 そして、それは大きな発見をもたらした。



「やーだ、生き物じゃなーい」


「そうね! 本当に操られてるだけだわ」


「だったらさ、上の本体を先に倒すべきさね」


 キャンドルマリオネットは魔物でも何でもなかった。

 魔力もなければ中身もない。

 文字通りスモーク・ブリッジ・スパイダーの操り人形、マリオネットだ!




 それでもキャンドルマリオネットは厄介な敵だ。

 ただ、俺とラッカは川の民エリアで磨いた体術が身のこなしに役立って思ったよりダメージを貰わなかった。

 もちろん元々、体術に優れたクコも同様だし、攻防一体式のバンデージ武具も活躍している。

 ちなみに俺の考えてた名『バンで死』は却下されている……

 それに俺たちは数で上回った。

 そしてペカンも『赤き熱風』や俺達の状態が魔眼の影響で把握出来るため千里眼が安定し普通に弓攻撃が当たるようになった。


 いや、仲間を信じ始めたのだろう。


 そうなると気が済んだのか思い直したのかヒーラーとしての本分ヒールを()く役割へと自分から移っていった。




「グゴァゴァ」


 それは三体のキャンドルマリオネットを倒したところで起きた。


 ドチャ!

 ドチャ!

 ドチャッ! ドチャッ! ドチャッ!


「うげー気持ち悪〜」


 スモーク・ブリッジ・スパイダーが新たなキャンドルマリオネットを産み落とした。

 今度は、こちらより数が多い。



「まったくキリがないさね」


 ミュラーの連撃も疲れから速度が落ち始めていた。

 ヴァルトゼとファンデラはスイッチし役割を変更しているがカイのヒールが、どこまで続けられるかが問題だろう。

 俺たちもそうだ魔力量からすれば魔法攻撃もしているラッカから魔眼が切れていくだろう。

 何度もキャンドルマリオネットを産み直されればスタミナ負けだ。


「本体を倒すしかない」


「そうですね」


「よし! 任せろ」


 回復したヴァルトゼがファンデラの肩を借りてスモーク・ブリッジ・スパイダーへ斬りかかる。

 上下逆の顔へ届く……と思った、その時!



 ヴゥシャァアァァ!



 煙の糸『スモークシルク』が吹き出してヴァルトゼは捕まってしまった。


「やーだ、あんた」


「きっと『赤き熱風』も、同じ捕まり方でしょう」


 つまり近距離攻撃は厳しいと言う事になる。


「……ランドトルネードランス」


 イドリーの土魔法はどうか?


 ヴゥシャァアァァ!


 ペカンの弓も……


 同じだった。

 他の、みんなの魔法攻撃も煙の糸で防がれた。


「何かしてるの?」


「ウロボロスを(もり)に変形する」


 俺は剣形態のウロボロスに祈りと魔力を込めた。


 砂を撒き散らし二匹に離れるウロボロス。

 普段なら、そのまま腹か腕へ巻き付けるが今日は中空でイメージ変換し……


「出来た」


 (もり)形態のウロボロスだ。


「うるぁあぁ!」


 久々に投げる銛ウロボロス。

 真っ直ぐにスモーク・ブリッジ・スパイダーへと向かって行く。


 ヴゥシャァアァァ!

 ヴゥシャァアァァ!


「なっ!」


 二重にスモークシルクを張って防がれた。

 それでも皆が破れなかったスモークシルクは突き破ったが本体へは届かなかった。


「投げる動作から見られてたぜ」


「もっと速度を上げたいわね」


「出来れば見えない場所からでしょうか?」


 ピスタの解析、ラッカ、イドリーの立案はもっともだろう。


「でも、それじゃ届かなくなる」


 その時、プトレマが叫んだ!


「やべぇぞ、そろそろだ」


 魔物の活性が上がる時間がやって来た。








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