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魔眼の子 〜金環のアーモン〜  作者: きょうけんたま
蜂の巣ダンジョン編
89/206

方位壺

 マフラーウルフにしてもイヤリングラットにしても騙すと言うかトラップ的な魔物だが……

 この蜂の巣ダンジョンは実際、壺や宝箱のトラップも多かった。


「はぁ、また方位壺(ほういつぼ)よ」


「僕は北にするぜ」


「……南」


「東に、するですよー」


「西にするわ」


「ふ、ふ、ふ、残り物には福があるのだよ。俺が太極(たいきょく)だな」

 

 方位壺とは部屋の四隅と中央に壺があり、どれかに魔石や古銭などのラッキードロップが入っている。

 残りの4つには面倒な物が入っているのだ。

 最初の一撃で開けなけれれば残りの壺は開かない為、一斉にトライする必要がある。

 たまに強めの魔物が出て来る事があるので対処可能なイドリーだけはフリーで待ち構える役だ。

 因みに配置は……

 北がピスタ。

 南がクコ。

 東がペカン。

 西がラッカ。

 太極つまり中央が俺アーモンだ。



「では、わたくしが合図しますね……せーのーでハイ!」



 バコン! バコ、バコン!



「何だぜっ!」


「なによー!」


「ふがっ!」


「やったわ古銭よ」


「しかも、金貨じゃないですか」


「……これ……何?」


 今回はラッカの西壺が当たり。

 ピスタの北壺はスライム状の粘液が弾け飛び大きな胸の谷間に溜まるわ全身ベトベトだわで大変だ。


(何かエロいので見入ってしまう)


 ペカンの東壺は大量のムカデやクモが湧き出てパニックだ。


(弓を撃つのは止めてほしい、しかも全然当たらないし)


 俺の太極壺は臭い風が吹き出して鼻が曲がりそうだ。

 残り物なのに福はなかった、どっちかと言うと残り物みたいな匂いがしただけだ。


 クコの南壺は?


「……包帯……かな?」


「巻くとミイラになるとか?」


「何にしても迂闊(うかつ)に巻くのは止めておいた方が良いですね」


 何かしらアイテムの様だが良いアイテムなのか呪い的なアイテムなのか分からなかった。





「よう、お前さんら来たんだな」


「あ、お隣さん」


「生活費を稼ぐ程度なんで低層だけやろうって事になったんですよ」


「そか、もう少し下まで降りたら宿場が出来てて面白れーんだけどな」


 多くの冒険者が毎日、外まで戻るのは大変なので宿場が出来る。

 大規模なダンジョンでは定番なのだそうだ。

 では、何故お隣さんは登って来たのか?


「俺らは一旦換金するんだわ。うちのパーティにゃポーターが居ないからよ」





 今回のダンジョンでは本当に低層の冒険者が少ない。

 稼ぎ放題?

 いや中層が稼ぎ放題だから効率の悪い低層に冒険者がいないのだ。


「ふっ、君達は低層から進めなくて可哀想だな」


 出た!


「赤っ恥……じゃなかった赤き鼠……じゃなかった赤何だっけ?」


「おいおい、覚えておかないと困った時に助けてやらないぞ」


 ぷっ、ぷぷ!


「こら、ラッカ我慢、ガ・マ・ン」


 彼らは中層へ降りるらしい。

 街でも印を褒められたらしく中層へ降りる資格があると言われたらしい。

 からかう気持ちは分かるが、やり過ぎじゃなかろうか?


()めた方が良いですよー、あなた達には、まだ早いです」


「何だと? 役立たずのヒーラーが偉そうに!」


「いえ、本当に止めたほうが良いです。ペカンは評判悪いですが経験は確かですから」


「うるさい初心者が、上から目線で話すんじゃねぇ! 行くぞお前ら」


 行ってしまった……

 冒険者たるもの自分自身の力量を計れるかどうかも実力の内。

 これで死んでも彼らは自分の責任である。

 そして身の程知らずの初心者が、あっさり死ぬなんて事くらいは良くある事なのだ。


「死ななければ良いですが……」


 その日はペカンが集中出来ないみたいなので早めに切り上げて、お隣さんと晩御飯を一緒に食べる事になった。











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