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魔眼の子 〜金環のアーモン〜  作者: きょうけんたま
蜂の巣ダンジョン編
87/206

マフラーウルフ

 それは本当に蜂の巣だった。

 日本でも、お馴染みのスズメバチの巣と同じ形、同じ模様。

 ただ大きさが桁違いだ。


「マンションかよ」


「なによー、そのマンシって?」


「いいのよペカン、アーモンは時々変な事言うから、ほっといて」


 15階くらいのマンションサイズ……それが蜂の巣ダンジョンの入口である。

 見えているだけでも、その大きさで地下には同じサイズの蜂の巣が何個も繋がってるのだと……


「ちょっと待ってくれだぜ、タイガービーの針を拾っていくぜ」


 入口付近にタイガービーの飛ばしたと思われる針が大量に落ちていた。

 これだけの針だと相手をしたのは相当腕の立つ冒険者なのだろう。

 いや逆か? 腕が立つなら針を飛ばされぬ間に倒してしまうのかも……


「ベジタブルラムの農園に来たタイガービーも、ここから来たのかな?」


「きっと、そうね」


「普段より多すぎるって言ってたけど、これじゃ当たり前だぜ」






 入口付近は、てっきりタイガービーが相手だと思ってたら別の低級魔物が多かった。


「この可愛いのが魔物なの? 殺すなんてムリよ」


「マフラーウルフよー、油断すると噛まれるです」


 クウゥン、クウゥン……


 子犬ほどの狼っぽい魔物。

 首回りの長い毛が巻きついているのでマフラーを巻いているように見える。

 クリクリした目が可愛くラッカが攻撃出来ないのも理解できる。


「ムリ、ムリ、ムリ攻撃出来ない」


「フンッ!」


 イドリーが短槍を突き出すとマフラーウルフは後方へと跳ね退いた。

 それと同時に首のマフラーが、ほどけていく。


「ラッカ下がれ!」


 ほどけたマフラーがラッカへと一直線に延びる。

 そのマフラーの先には獰猛(どうもう)な狼の顔が牙を剥き出しにしていた。



 グルルゥガァ!


 ヴァン!


 キャン!



「あ……ありがとクコ」


「……防御魔法……得意」


 クコの防御魔法で事なきを得たラッカは反省しきりだ。


「丁度いいから慟哭銃(どうこくじゅう)の試し撃ちするぜ」


「ピスタ待って私に、やらせて」



 こうして蜂の巣ダンジョン最初の魔物マフラーウルフはラッカが責任を持って仕留めた。

 マフラーウルフは幼体に見せかけ油断した敵をマフラー部分の顔本体で攻撃する習性らしく、それさえ知っていれば倒すのは簡単だった。

 この地域では定番の低級魔物らしく丘の民であるペカンにしてみれば知ってて当たり前だったらしい。



「では基本的な魔物の特性を説明するよー、です」


 先ほどの不手際を踏まえて、ここは進むよりも低層に出るであろう低級魔物についてペカンに教わろうと言う事になった。


「さすがペカン詳しいね」


「なによー、照れるです」


 いくつか前知識を入れてから再度、挑戦だ。

 最初の2階層はマフラーウルフとイヤリングラットばかりだった。

 イヤリングラットはイヤリングを(は、)めた鼠系の魔物だ。

 イヤリングの部分が魔石になっていて倒すと、そのままイヤリングが手に入る。

 ただ……


「着けたらダメよー、鼠の髭が生えるです」


「聞いてて良かったわ」


「ちっ、イヤリングラッカになれば面白かったのに」


 つまらぬ事を言ってしまった……

 こうして蜂の巣ダンジョン最初のペカンの回復魔法を掛けられるのは俺になった。

 もちろんラッカの雷撃によるダメージだ。






 ダンジョンなんて初めてで大丈夫だろうかと心配していたが、進むうちに砂漠の修道院で旧都に潜っていたのと違いがないと気がついた。

 そうなると俺とラッカは経験者みたいなものだ。


「初めてに見えないですよー」


「似たような場所の経験があるの」


 ではイドリーは、どうか?


「わたくしは若い頃に冒険者をしていましたので」


 初めて聞く話だが幅広い知識と戦闘スキルの高さ……そうだろうなぁと思った。

 ではピスタはどうか?


「ラパにも武器を試す為の小さい管理ダンジョンが街外れにあるから小さい頃は遊んでたぜ」


(そんな所で遊ぶなよ!)


 まあ解析眼があれば暗闇のダンジョンでも暗視スコープを着けてるようなもんだ。

 クコはどうだろう?


「……魔吸具を着で……何階層か……競って……一位」


(何危ない事をやってんだ川の民は)


 と言う訳で初心者ながら全員が経験者みたいなパーティーのダンジョン攻略が始まった。







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