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魔眼の子 〜金環のアーモン〜  作者: きょうけんたま
多民族国家ハリラタ編
82/206

異世界的反則

 他の四人は倒れている。

 俺と王者は向き合う。

 始まるのは当然アレだ。


「こるぁ、打って来いやぁ」


 言われるまえに言ってやった。

 ニヤリと笑う王者アルベルト。


「おるぁ、バカが!」


 強烈なエルボーを見舞って来た。

 金剛の種族スキル風車を発動。


「こるぁ!」


 パシッ!


「うえい!」


「おるぁ!」


 バシッ!


「うえい!」


 交互の打ち合いに観客の合いの手が続くと……


 シューシュー


 王者の胸から湯気が昇り始めた。

 そして俺の胸からも湯気が昇り始めた。


「な、何だと? なぜ、お前が風車を使えるのだ?」


 目を見開く王者。

 俺はニヤリと笑うと溜め込んだ風車スキルを爆発させた。


「こるぁあぁぁ!」


 バシィイィィー!


 やってやった。

 強烈な一撃に吹き飛んだ王者はロープ男達の上で伸びていた。

 白目になっている、きっと意識が飛んでいるのだろう。


「勝った……勝ったぞ!」


(ん? なんで静かなんだ?)


「アーモン後ろだぜ」


 観客席からのピスタの声に振り向くと……

 王者がジャンピングエルボーで飛んで来ていた。


(そんな、ばかな)


 もう避けられない。

 そう思った時……


 バシィーン!


「くはっ、やだー」


 カイが間に飛びこんで被弾した。


「カイ!」


 俺とファンデラ、みんなが叫んだが……


「星属性のカイ戦士……グロッキーとなり離脱です」


 カイが一人目の脱落者となった。


「どうして俺を守ったんだよ」


「ばか、何の為に私達が参戦したと思ってのよ! 目を覚ましなさいよ」


 ラッカに言われて目が覚めた。

 そうだ俺の味方になる以外、参戦する意味なんてないじゃないか。

『日隠とわ』時代に大好きだったプロレス。

 見るだけだった技を自分の体で繰り出せる可能性に酔っていた。


「……ごめん」


「分かればいいのよ、あいつロープ男に回復魔法を掛けられたのよ」


「何だって? それで復活してたのか」


 異世界ならではの反則。

 外部者からの回復魔法。

 しかも種族スキル風車を(たも)てる程度ギリギリの回復。

 予想外だった。

 いや予想外だったのは俺だけだ。

 日本のプロレス知識がなければ変な民族の変な闘技に参加させられたから、あらゆる予防をしておこうとなってたはずだ。

 ここまで俺を助けてくれた日本時代の記憶が初めて逆に働いてしまった。


「どうした? 打って来いやぁ」


「やーだ!」


 ココンが打ち込むと王者アルベルトは簡単にロープ男の上へ飛んでいった。


 そして今度は大幅に回復した。


「回復魔法よ、審判反則よ!」


 審判は見て見ぬふりだ。


「わざと飛んだな、クソ野郎」





 攻撃しても種族スキル風車で力を溜め込む。

 こちらは風車で溜め込めるのは俺だけ。

 ラッカ達は攻撃されれば疲弊していく。

 おまけに外へ飛ばされればロープ男からも押し戻されながら攻撃を受けた。


「くはっ、やーだ!」


 風車で溜め込んだエルボーで狙われた俺を守って今度はココンがグロッキーだ。

 種族スキル風車を発動すると王者アルベルトは悪びれもせずロープ男に回復してもらう。


「花属性のココン戦士脱落です」


 同じパターンで俺を守ってラッカがエルボーを喰らいかけたが……


 ドワーフの種族スキル、ガードを発動。


 逆にラッカを守る形で俺が動いたが守りきれず2人同時に食らってしまった。


「謎の雷マスク、ライトニングラッカ戦士脱……」


「ま、まだよ」


 ラッカは何とか意識はあるが、とても闘える感じじゃなかった。


「いいから休んでな」


 頭に来た。

 王者アルベルトにも自分自身にも。




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