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魔眼の子 〜金環のアーモン〜  作者: きょうけんたま
多民族国家ハリラタ編
78/206

男は黙ってろ

「アーモン、ラッカが大変だぜ」


「どうした! やつらに何かされたのか?」


 ピスタが飛び込んで来たのは次の日の夕方だった。

 ピスタが()(びた)っているムキムキ爺さん達のトレーニング場へラッカが朝に来たらしい。


「それでラッカが弟子入りを志願したと?」


 イドリーが冷静に話を聞いてくれたお陰で勘違いして飛び出さずに済んだ。


「そうなんだぜ」


 ムキムキ爺さん達はトレーナーのような立場らしく何故かラッカが弟子入り志願した。

 その熱意に受け入れられて猛特訓中らしい。

 さらに意味不明なのはココンとカイまで一緒に練習しているとの事だった。






 パタン

 トスッ

 シュッ


「よし」


「ありがとうございます」


 オラっとした特訓をイメージして来てみると意外にも静かな練習風景だった。

 グランド技を繰り返し教えて貰っていた。

 ココンとカイは体格を活かして体重をかける技を習っている様子だ。

 そして3人共に川の民の民族衣装、あのウエットスーツのような皮の服を纏っていた。

 こうして見るとウエットスーツてよりレスリングコスチュームだな。


「あのぉ、ラッカさんや? お前さん何をしとるだよ」


「私も、やるわ」


 ラッカは、とても恐ろしい顔で、そう言った。


「何を?」


「ウロボロスに挑戦するって言ったのよ」


「は?」


 クックック


 トレーナーのムキムキ爺さん達はケラケラと笑っている。


「兄ちゃん気付いてないんだな?」


「何がですか?」


 クックック


「女は黙ってろ! だよ」


(しまったぁあぁぁ!)


「あのぉ、ラッカさんや、アレは勢いでさ、そのぉ……」


「男は黙ってろ!」


 ムキムキ爺さん達の大爆笑に見送られながら俺はトレーニング場を後にした。


「グフッ」


「イドリーまで笑う事ないでしょ!」


「いや、悪かった、すまん……でも、グフッ、グフフフ」


 最悪だ!

 どうして、こうなった?

 しかもさらに意味不明なのは……


「やーだ、わたすも、やーる」


「やだー、わたすも、やるー」


 ココンとカイまで挑戦するらしい。

 6人で一つのベルトを掛けて闘うとか聞いた事がない。

 そもそもウロボロスはベルトでも何でもないんだけど。




 魔法が得意な3人が数日トレーニングしたところで何が出来ると言うのか……

 とは言え練習風景を見たからには気になる。

 俺も技を習得せねば……


「イドリー試したい事があるんだけど良いかな?」


 こうして俺も負けてられないので技の練習を開始した。






 その頃、一本橋の上からロープを降ろす者が、いた。


「丘の民が来たぞー」


 闘技場の方から聞こえて来た声に見に行ってみることにした。


(ココンとカイの旦那が心配して迎えに来たのだろう)


 案の定そうだった。


「やーだ、あんた迎えに来てくれただか?」


「心配したぞココン何だ? その覆面は」


「ここの人達に被せられただよ」


 来る時に話していたイケメンの旦那は本当に2人共イケメンだった。

 だってエルフなんだもん。

 そして猛烈に強かった。

 イキリ出て来た若僧を魔法も使わず次々と倒したところで……


「族長を呼べ! 返答次第では空の川を吹き飛ばすぞ」


 真っ青な顔で族長が飛んで来た。

 面識があるらしく逆らわないどころか手を出した若僧を叱責(しっせき)していた。

 そしてココンとカイの魔吸具を外そうとしたが……


「いいんーだ、あんた、わたす魔法なしで闘ってみたいんーだ」


「わたすも、同じだー」



 もうね意味不明すぎてカオス。

 いやケイオスだ。


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