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魔眼の子 〜金環のアーモン〜  作者: きょうけんたま
多民族国家ハリラタ編
72/206

ピスタの新武器

 あれから10日近く経っただろうか……

 丘の民エリアへ行く予定がタイガービー襲撃の後始末で遅れに遅れている。


「むしろ遅れて良かったかもですね」


「はい」


 俺はウロボロスを自分の意思でコントロール出来るようになって来た。

 外すたびに武器の試作をしているピスタが走って見に来る。

 その走る時に揺れるピスタの胸に視線が吸い寄せられるのは、まだコントロール出来ない。


「ほぉ、そうなるかぁ、びっくりだぜ」


「どうなってんの?」


 ラパの工房街で見た鍛治の工程に似た変化が、ものすごいスピードで起きてるような感じ……らしい。

 まあ聞いてもよく分からないんで任せておこう。



 ひとつ残念だったのは、イメージが上手く出来ると武器の形が変わるのだと思っていたが……

 そう甘くはなかった。


(もり)と剣だけ……てっきり慣れた短剣は、すぐ出来ると思ったんですが」


「そこは不思議ですね。でも、まずは剣を使いこなせるようになるのが先決です」


 イドリーの指導でウロボロスの剣を使っての訓練を毎日みっちり行っている。




「行っくぜー」


 ヴァスッ、ヴァスッ、ヴァスッ!


「ふんっ」


 ピスタの試作武器から放たれる針を避ける。

 その直後、短槍に見立てた棒で突いてくるイドリーを、いなす。

 いなした流れで体を回転させ刃を覆ったウロボロスで斬りかかる。

 避けられたら即、混成魔法サンドスネークを撃つ。


「上手くなりましたね」


「ありがとうございます」


「ピスタの武器も調整が進めば恐ろしいですね」


「タイガービーの針は使えるぜ」


 ピスタの試作武器はタイガービーの残していった針を飛ばす形式だ。

 最初は弓の矢に使おうとしていたが針の形が銃の弾のようだったので俺がリクエストしたのだ。

 とは言え銃の構造なんて知らないので撃ち出す感じの作れない? 的なリクエストだった。

 結果まったく新しいピスタのオリジナル武器が試作機ながら誕生した。


「スカルフェイスのツノを使ってるの?」


「そうだぜ、慟哭で撃ち出してるんだ」


「魔力量と操作、共にハードルが高そうですね」


「でも魔法が苦手な僕には、ぴったりだぜ魔法よりは簡単、簡単」


 面白いのは、その形と操作性だろう。

 細いハンマーに振り子のようにエル字型の銃身と弾倉が付いている。

 ハンマーを振るとハンマーの先端がタイガービーの針に当たり慟哭によって打ち出される。

 ハンマーを戻すなり振り上げるなりすると振り子銃身が逆へ行く事で次の弾、つまりタイガービーの針が装填されるのだ。


 ピーリーが名付けたスカルホーンシリーズ。

 最初にピーリーが作ったスカルホーンブレイド。

 次にピスタが作ったスカルホーンハンマー。

 デスリエ王女用に作られたスカルホーンレイピア。

 そして今回の最新作。

 スカルホーンガン? 何か違うなって思ったので……


「名前は慟哭銃にしたら?」


 との俺の提案が採用された。

 ピスタは名前なんて何でもいいやってタイプだ。

 こうして、この世界にも銃と言う言葉が持ち込まれてしまった。

 ちょっとした罪悪感と少年のような気持ちの高揚がないまぜになっているが……


 ヴァスッ、ヴァスッ、ヴァスッ!


 バタン!


「何やってんだぜアーモン」


「倒れるに決まってるでしょうに」


「ごめんなさ……」


(だって銃だぞ、撃ってみたいに決まってるじゃないか)


 残念ながら俺には使えないのだ。







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