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魔眼の子 〜金環のアーモン〜  作者: きょうけんたま
多民族国家ハリラタ編
66/206

闇雲海域(ハロウィン特別号)

ハロウィン当日と言う事で書いたハロウィン特別号です。

一応、この時点での最新話として差し込める内容にしてありますので途中の方、初めての方はネタバレ要素含んでおります。注意願います。

因みに読み飛ばしても本編に影響はありません。

 夕暮れに船首へと船員が集まっている。

 イノウタを中心に何やら話し合っている所へデスリエ王女も歩み寄って行く。


「やだぁ、もう闇雲(やみくも)なのぉ?」


「はぁ、緊張感がなくなるので花の民は止めて欲しいですが……そうです。例の海域です」


「やだぁ、怖いぃ、キャッ!」


 何でもラパとハリラタの途中どうしても通らなければならない海域らしく名を闇雲海域(やみくもかいいき)という。

 毎回なにかしら不可思議な現象が起こるのだと……


「前回は何が起きたんですか?」


「前回は海上屋敷(かいじょうやしき)が現れて晩餐会(ばんさんかい)に招かれました」


「僕には楽しそうに聞こえるぜ?」


 とんでもなかった。

 幻惑的な現象ではあったらしいが……

 席に座った人それぞれの大切な人の生首がフォークとナイフと共に置かれていたそうだ。


「あらあら、怖いわ」


「んぁ、それで? それで?」


 なぜカシューさん、ワクワクしてる感じ?

 イノウタ含め従者や船員達は狂気の叫び声をあげていたそうだが……


「デスリエ王女が見たこともない冷たい表情で片付けたんです」


 王女の前にだけ生首が何百と並んでいたそうだ。

 それだけ王女が大切に思う人間が多いと言う事だろうか?


「やだぁ、思い出したら漏らしそうぅ、キャッ!」






 そんな話をしている間に辺りには霧が立ちこめ始めて来た……

 やがて海面が、ゆっくりと押し上げられ何かが浮上して来た。


「何? 何? 幽霊船か何か? いやー」


 怖がりのラッカ、もう半狂乱である。


「んぁ、幽霊船、見たいなの」


 どうやらホラー好きのカシュー楽しみ過ぎて半狂乱である。


「あらあら幽霊船では、ないみたいね」


「何だぜ? こりゃ」



 カボチャだった……



 いや正確にはジャック・オー・ランタンだ。

 ハロウィンでお馴染みのニッコリカボチャ……

 ただ大きさが異常だった。


「王船の3倍近く、ありますね。皆、警戒を!」


 見た目のポップさにボケっとしてしまったがイノウタは即座に警戒を強めた。

 流石である。




「そっち行ったぞ!」


「きゃー無理ー!」


「ふんっ!」


 現在、巨大カボチャの口から出てくる二次元的な見た目のコウモリやオバケを皆で倒している。

 ヒューマンの種族スキル、クイックを発動。

 獣人の種族スキル、レイジを発動。

 俺はスキルで倒す。


 ポンッ!

 倒すと音がして煙が弾ける。


 イドリーは短槍で、ピスタは大槌スカルホーンハンマーで、ラッカは?

 珍しく役立たずだった……


「んぁ、飴を拾うなの」


「あらあら、倒すとお菓子に変わるのね」


 カシューとメルカはドロップアイテムのお菓子を拾っている。

 もう、ラッカも拾う役に回りなよ。


 デスリエ王女は草原の民モードで倒して……


「やだぁ、チョコ欲しいぃ、キャッ!」


 花の民モードで、お菓子を拾う。

 すごく強そうになったり、すごく楽しそうになっり忙しい。

 大量の二次元コウモリと二次元オバケを、ようやく倒し終わると……


「ボス級が出ました警戒を!」


「強そうに見えないぞ」


「んぁ、可愛いなの」


 ドラキュラ的な体と装束に頭が……カボチャだった。


「パンプキンフェイスだ」


 その時、上空から何かが降りて来た。

 大きなコウモリ的な翼を広げ、ゆっくりと下降して来たのは……


「なあ、なあ、ヘーゼルたん、これってマジ?」


「たんって言うな、死ねばいいのに」


 銀髪でアメジスト色の瞳の魔族ヘーゼルと首だけ男のベハイムだった。


「スカルフェイスはどこ?」


「久しぶりヘーゼル、スカルフェイスは出てないぞパンプキンフェイスだ」


 相変わらず可愛いヘーゼルの問いかけだ即座に返事をしてしまったらラッカが恐ろしい顔で見ていた。


「子らよ、我とて間違える事がある。許せよ」


 どうやらパンプキンフェイスとスカルフェイスを間違えて駆け付けてしまったようだ。


「ちっ!」


「あ、ヘーゼルたん、今さ舌打ちしたっしょ!」


「死ねばいいのに」


 そう言うとヘーゼルはベハイムをパンプキンフェイスへ投げつけた。


 ポンッ!


 ボス級と思われたパンプキンフェイスは一撃で煙となりカボチャケーキへと姿を変えた。

 今の攻撃……


「もしかしてスカルフェイスツノシャチを倒したのもベハイムを投げたの?」


 ニヤリともせず無表情、無言のままヘーゼル達は飛び立って行った……


「酷くね? ヘーゼルたん、オイラ投げるとか酷くね? オイラこれでも元神よ」


 無言なのはヘーゼルだけだったが……




 ボス級を倒すと霧は、すっかり晴れて穏やかな海上へと姿を戻していた。


「イノウタ様、闇雲海域を抜けたようです」


「ですね、皆さま警戒を解かれて大丈夫かと……」


「やだぁ、パンプキンケーキ食べようよぉ、キャッ!」


 恐ろしい海域、恐ろしい夜だった。

 いや、みんなには半分は楽しい海域、楽しいお菓子拾いだっただろう。

 パンプキンケーキを食べながら盛り上がっている。

 しかし、俺には今夜一番の恐怖が今まさに目の前に迫っていたのだ!


「久しぶり~ヘーゼル~よね、アーモン」


 ラッカの顔が恐ろしいのである……








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