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魔眼の子 〜金環のアーモン〜  作者: きょうけんたま
砂漠の魔眼修道院編
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汲み上げ井戸

 夜間には水の使用が少なくなるのと節約の為に水脈の()み上げ装置が止められる。


(やっぱりだ、あそこに横穴がある)


 先日の藻掃除の時に停止した()み上げ井戸。

 その時に覗き込んだら横穴の様な物が見えていた。


 と言っても魔眼帯を着けたままだ、見える訳がない。

 いや着けているから見えたんだ。


 魔眼帯は建物の構造などが薄っすら光る線で見える。

 だからこそ普通なら見逃すはずの横穴を見つける事が出来たのだった。


「強化タイプにするから余計ハッキリ見えるぞ。結果オーライだ」


 強化タイプの魔眼帯はロック機構だけでなく様々な機能まで強化された上位モデルの様な物だった。




「何してんの? こんな夜中に」


 振り返るとラッカだった。


「お、脅かすなよ」


 声が上ずってしまった。


「何か隠してるわね? シスターに言っちゃおうかなぁ」


 ラッカが上目遣いで覗き込んでくる。 

 もちろん見えないんだけど……


 内緒にする約束で横穴の事を説明した。

 更に、そこへ入る為に杖まで用意した事を話すと呆れ果てていた。


「まあ、いいわ。それなら早く行きましょ!」


「え? ラッカも行く感じ?」


「魔法が必要だから杖まで用意したんでしょ? だったら私が行く方が良いでしょ。アーモンの魔法じゃあねぇ~」


 俺とラッカじゃ魔法の腕は雲泥(うんでい)の差があった。

 俺は杖でもなければ発動した魔法の状態が不安定だがラッカは杖なしでも魔法に安定性があった。

 それどころか魔眼修道士だけでなく一般修道士を含めても同年代の中では頭一つ抜け出た魔法の使い手だ。


 せっかくエラトスさんに無理言って用意してもらったのに無駄になるなんて……


「チッ、分かったよ。」


「よしよし、じゃ私に着いて来なさーい」


 何だよ偉そうに俺が見つけたんだぞ……ブツブツ言いながらも慎重に横穴まで降下した。





 そこは屈んでやっと入れる程度の横穴だったが、狭いのは入口だけですぐに立って歩ける空洞になっていた。


「へ~予想外。意外に快適。修道院と変わらないね」


「まあな」


 普通なら此処で灯り系の魔法を発動するところだろうが俺ら魔眼修道士には必要なかった。

 そもそも常日頃から暗闇の中で生活してる様なものだ。


 普段は不便(ふべん)な魔眼帯が、この地下空間では、むしろ役に立っていた。

 灯りがなくても構造が薄っすらとした光の線で把握出来るのだから。


 では、なぜ杖が必要なのか?


 それは……









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