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職人街

 ピスタが工房街へ籠もってから俺は首のウロボロスを何とかしようと試みていた。


 スカルフェイスツノシャチとの戦闘の時に考えていた事。

 武器があれば、武器さえあれば……

 何とかしたい……

 諦めない……

 そんな事だったはずだが同じ事を考えてみたがピクリともしなかった。




「雷の槍ライトニングアロー」


「単純に土系統の魔法を雷系に当てはめても上手くは行きませんよ」


「はぁ、雷系の上位魔法はどんなのがあるんでしょう?」


 ラッカは雷魔法がツノシャチに効かなかった事から上位魔法の習得に乗り出していたが上手くいってないようだ。


「炎や水と氷や風系統は属性が違うだけで土系統と同じ雰囲気なんですが光と闇系統は少し違うんですよ」


「雷は光系統なんですか?」


「そうなんですが光には聖魔法も含まれるので複雑なんですよ、私は分けるべきだと思うのですが……」


 そもそも魔法にも相性があり、どの人も得意属性がある。

 とはいえ水を出したり灯りを照らしたりは一般魔法として、ある程度のレベルまでは多くの人が使える。

 攻撃魔法となると使えても得意属性でなければ威力が出ない。

 そう言う特性なのだ。

 イドリーは土属性

 ラッカは光の雷属性

 フラマウは火属性だった。

 メルカの治癒魔法は光の聖魔法になる。


「とにかく練習よ」


 ラッカのメンタルは強い。




 ピスタに工房街へ来てみろと誘われたのは翌日だった。

 何かを叩く音。

 削る音。

 運ぶ音。

 それらのやり取りの声。

 とにかく賑やかな作業音に溢れた場所だった。


「あ、いたわ」


 真っ赤になった棒状の物をハンマーで叩いていた。

 職人装束のベストを押し広げている豊満な胸がハンマーを打ち下ろす度に揺れて目のやり場に困る。

 いつもヘアバンドのように額にあるゴーグルを目に()めている所を初めて見たので、そこばかり見て目を逸らす。

 ぶっきらぼうで掴み所のないピスタだが今見る姿は真剣で輝いて見えた。

 いや実際、輝いた目をしていた。

 魔眼の解析眼が発動しているのだ。


「んぁ目が真っ赤なの」


(ピスタも目が素敵だ)


 今回は声に出さずに頭の中だけで(とど)めておけた……俺成長である。


「また君の目も素敵だ……とか思ってんでしょ? アーモン」


 顔に出ているらしい……俺まだまだである。





「おっ、アーモン来てくれて助かるぜ」


「どうしたの?」


「職人のみんなに解析眼と金環で色々と見て欲しいんだぜ」


「なるほど」


 金環を展開。

 瞳の金の輪が光を帯びて輝いた。


 それからはピスタの作業を解析眼と金環で工房にいる職人達と見て過ごした。

 途中からラッカの魔力視も織り交ぜる事で『込め』の様子を見たりした。

 夕方には、あちこちの工房から、お呼びが掛かり講習会の先生のような体験をした。


「いやぁ参考になったわい」


「苦手だった工程が克服できそうじゃ」


 新人のドワーフだけでなく熟練の職人でさえも感嘆の声をあげていた。


「ピスタのお嬢は、こんな風に見ながらやってたんか? そりゃ腕が良いはずじゃわい」


 工房主の爺さんの言葉にピスタが失笑してたのには(なご)んだ。

 それに職人達の雰囲気も和む。

 マルテルが残りたくなるのが何となく分かった気がした。


「何かさマルテルが大人になったみたいな人ばっかりだねラパ」


「そうだな明日はエブストーのパン工房に行ってみよっか?」


 一日中動いて疲れたけど心地良い疲れだった。

 それに、この時に解析眼と魔力視で見た光景が後々になって役立つ事になった。





 その夜、城では。


「今日の礼じゃ」


「今日は、ありがとのぉ」


 そして酒盛りは始まった……

 結局こうなる。



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