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魔眼の子 〜金環のアーモン〜  作者: きょうけんたま
砂漠の魔眼修道院編
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オマモリ

「やあアーモン君、この前はありがとう。許可が出ましたよ」


「そうですか」


「もしかしたら此処で会うのも最後になるかもしれません」



 砂掃除だと言うのに、やたらハイテンションなエラトスさん。



「上手く行ったら約束を守って下さいよ」



 いつもの砂掃除以上にローテンションな俺。



「約束は守りますけど…….大丈夫ですか?」


「はい?」


「また騒動を起こさないで下さいね。何か凄いの着けられてますし……」


 エラトスさんが心配そうに尋ねるのも無理はない。




 魔眼暴走ドワーフのマルテルのせいで更に強力な魔眼帯を装着されてしまっていた。


 今までの魔眼帯は黒一色の布だったけど今度のは黒地に銀の刺繍入りだ。

 見た目は良くなったが全然喜べない。

 前みたいに簡単に外せそうにないからだ。


 それにコレを着けてるのは俺とマルテルだけで問題児の印のようで恥ずかしかった。

 実際すれ違うたびに皆、クスクス笑って行くのが最悪だった。




「ご、ごめん…」


 シスターと神父長にも叱られ初の罰掃除に来た反省ドワーフのマルテルが俺に謝る。


 結局、塔の上で魔眼帯を外す俺を見た。

 それで外し方を覚えたとマルテルが言ったせいで俺まで罰を与えられた。

 消火まで手伝ったのに魔眼暴走の責任を取らされて砂掃除になった。

 今週全部……


「もう、いいけどさ。何で外したんだよ」


「パンが見たかったんだ……」


「は?」


「いつも美味しいし香りも最高なパンの焼き色とかを見たかったんだ」


(焼き色って、お前さん見た瞬間に焼き尽くしただろ)


 そんな、しょうもない理由で俺の魔眼帯が強化タイプに変更されたなんて……


「そこ、話してないで掃除!」






 それから数日後エラトスさんの新商品オマモリが人気で売れてると聞いた。

 先日の藻を砂漠の旅で水に困らない為のお守りとして売り出したのだ。


 この世界では、御守りと言う概念が無い。

 新しい物として一気に人気が出た訳だが……


 そう俺の日本での記憶から産まれた商品だ。


 俺の日本の記憶は常にあるわけではない。

 何かの拍子に記憶の引き出しが開く。


 今回は日本の神社で育った記憶が役立った。


 そもそも此処は砂漠の修道院。

 いかにも御加護がありそうだし時に命がけの砂漠の旅人に御守りは売れない訳が無いと思った。




「あら、あれだけ絞られたのに、もうニヤニヤしてるじゃない」


 毎日の様に、からかいに来るラッカが今日も嫌味を言って行く。

 でも暴走騒動の当日は俺の事を心配して青い顔をしてたので何も言い返せない。


(ニヤニヤする理由があんだよ! もうすぐアレが手に入る……)


 ラッカの青い顔を思い出したせいで少し赤い顔になった俺だが、ある計画にニヤニヤが止まらずにいた。






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